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もしも十年前に戻ったら  作者: 茶々
第1章 動き始める人生
20/28

#20頼られるのは良いのか悪いのか


「おはようございまーす!」


 丁度レジがすいているとき横から挨拶される。

振り向くとそこにはエプロンを身に着けた林さんがいた。頭には三角巾を身に着けている。完全にレジに入る格好だ。


「おはよう林さん。そっか今日からだっけ?」


「うん、今日が最初の研修。ついつい早く着いちゃったからとりあえず挨拶しておこうと思ったら、一番近くにあるレジにいたのが河野くんだったから挨拶しておいたんだ~」


 今日の僕のシフトは14時から18時だ。林さんは15時から18時らしい。

そして今は14時半。確かに来るの早いな。すでにエプロン着ているということは今よりも早く来ていたということだろうし。


「とえりあえず着替えてきてって杉野さん言われたんだけど、杉野さんどこにいるかわかる?」


「杉野さんならさっき向こう側のレジに行ってたよ。ちょっとしたら戻ってくるんじゃないかな」


 ちなみに今隣のレジには誰もいない。さっきまで杉野さんが入っていたが少し離れますと言って事務所の方に行っていた。その時に林さんがちょうど来たのだろう。

僕はすでに四回目のバイトで、一回目があれだったので一人でレジを任されている。いや、僕だからいいけどほかの新人さんだったら結構危険よ?まあほかの人にはこうはしないんだろうけど。


「そっか、じゃあ事務所の前で待ってればいいかな?」


「うん、それで大丈夫だと思うよ…と、ちょっとごめんね。いらっしゃいませ」


 林さんと話していたら、お客さんがレジに向かってきそうだったので、会話を切る。

林さんは空気を読んで、少し横にそれて待っていてくれた。


「ありがとうございましたー」


 日曜日の昼過ぎということでお客さんは少ないので、一人対応したら次のお客さんは全然来ない。

すくのはいいんだが暇なんだよなぁ…。


「わ~…店員さんだぁ…」


「え?」


「ああ、ごめんね。河野くんがすっかり店員さんだったからついつい口に出ちゃった」


 ああ、そういうことか。確かに僕も初めてやった時は、「え?自分が店員でいいの?」みたいな意味の分からない感想抱いてたからそれに近い感じだろう。まあ林さんの場合自分ではなく僕にその感想を向けてきているんだが。


「というかそのパネル?全部覚えてるの?」


 林さんが野菜などのバーコードの付いていない商品を手で入力するための液晶パネルを指さしながら聞いてくる。


「一応覚えてるかな?レジやってたら勝手に体が覚えてくれるよ」


 実際身体が覚えてくれはするが最初は大変だった。

なんだかんだ野菜だけで2ページにわたりパネルがあり合計60個近くの場所を覚えなきゃいけないからな。それに加え果物やお惣菜、魚まである。そりゃあ最初は覚えるまで結構かかるわ。まあ今回の人生はもともと覚えてたのとほとんど変わらなかったから余裕、というか覚えていたんだが。


「河野くんってここでバイト始めたの先週だよね…?」


「うん、そうだけど」


「一週間とは思えないほど仕事が板についてない?」


「あー確かに自分でもそれは少し思う。あってるのかもしれないね」


 といいごまかす。

実際は板についていて当たり前だからな。二年やっていたんだし。


「あ、林さんごめんね、お待たせ」


 林さんと話していたら向こうから杉野さんが歩いてきた。


「あれ?二人知り合い?ってそうか高校一緒だったっけ?」


「はい、林さんと一緒にここでバイトしようって話になってここの面接受けたんですよ」


「あーそうだったんだね、まあ初めてのバイトだもんね友達と一緒の方が気楽か」


「そうですね、河野くん頼りになるのでとても気が楽です」


 林さんが杉野さんに笑いながら言う。


「あーわかる。河野くん頼れるよね。平気でレジ任せちゃうもの。とても入りたての子とは思えなくて」


「いや、それはどうなんですかね…?」


 実際研修二回目からもう教えることもないし、一人でも平気そうということで一人でレジをしていた。問題はないんだが、それでいいのか?とは思った。


「とりあえず林さん、色々説明するから一旦事務所の方来てもらっていい?」


「はい了解です」


 そういって二人は事務所の方に歩いていく。


「やっぱり暇だな」


 日曜で客の少ないレジに取り残された。僕は一人つぶやいた。




――――――――――――――――――




「やっぱり河野くんおかしいよ…」


 バイトを終えて、林さんの家の方へ歩き始めたところで、林さんが話しかけてくる。


「確かに普通よりは覚え早かったかもしれないけど、全然普通だよ」


 一度経験した仕事ということで少しずるをしている感じがあって、多少心苦しいが、実際一週間の中で4回も同じことをやっていればこんなものだろうとも思う。


「とはいってもあのパネルは覚えられる気しないよ~」


 まあ、わかる。

さらに一番怖いのが、例えばきゅうりをパネルで打つときに、きゅうりのパネルが全く見つけられないときがある。一回目に探すのが本当に難しい。

本当に見つけづらいんだよな。一回見つければ楽なんだけど。


「まあそればっかりはやって覚えるしかないよ」


「まあ、仕事自体は結構楽しいからバイト先ここにしてよかったかも。河野くんがいるのはもちろん杉野さんやほかの人たちも優しい人たちだったしね」


 実際僕が前の人生であそこでのバイトを続けられていたのは、ほかの人のお陰っていうのが大きいだろう。


「だよね。僕も続けられる気がするよ。混んでくると息つく暇ないぐらいずっとしゃべり続けないから結構きついんだけどね」


「へー…。ちょっと怖いかも。まあ何かあってもみんな助けてくれそうだけどね」


「だと思うよ。混む時間帯は大体どこのレジにも入ってないで事務仕事してる人が一人はいるしね」


「あ、そうなんだね。それなら少し安心かな」


「うん、だから林さんも何も心配せずに仕事できると思うよ。僕もできるだけ手助けするしね。僕も新人だけど」


「ふふ、頼りにしてるよ」





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ありがとうございます。


次回投稿は29日です。

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