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もしも十年前に戻ったら  作者: 茶々
第1章 動き始める人生
14/28

#14独りに慣れていない人生



「よし、全部来たかな」


 業者の人が、最後の一つの段ボールを部屋に入れる。

今からは、ベッドの組み立てや、机の組み立てをやらなければならない。

ベッドは、スペース有効活用のためにロフトベッドにしている。なのでベッドの下は空く予定だ。まだ何も組み立てていない状態なので部屋は段ボールだらけだが。

 業者が帰り、部屋にはお父さんとお母さんと僕だけになる。兄はバイトだ。


「よし、じゃあ組み立てるか」


「うん、頑張ろう」


 ここからが一番大変になるだろう。

前回の人生での引っ越しの時は、友達に手伝ってもらって組み立てた。あの時は平気で昼から夜までかかった。思い出すだけで苦痛だが、部屋が完成した時の達成感は凄かった。

今回は前回と違って、三人での組み立てなので少しは楽になるだろう。そう思っておかないとやる気が起きない。



「はぁ、お疲れ。ありがとうお父さんお母さん」


「うん、お疲れ。だいぶ部屋になったね」


 ベッドに机、本棚とタンスを組み立てて、その他家電なども配置した。外は暗くなっている。

だが、苦労した甲斐もあっていい部屋になった。ベッドの下にテレビとミニテーブルを置いて、食事するスペースを作り、逆側の壁にはPCデスクを置いている。まだPCはないが、バイトを始めて貯金がたまったら最初に買おうと思っている。PCはあると何かと便利なので。ゲームをしたいっていう気持ちもあるしね。

キッチンには、二口コンロがある。これは絶対必須だ。

前回の人生での部屋は一口コンロだった。今回の部屋は二口コンロだ。このマンションは分譲マンションなので、部屋ごとに微妙に設備が違う。なので二口の部屋なのはとてもありがたい。

料理をするときに、コンロが一つだとメイン料理とスープを同時に作れないのがとても嫌だった。なので今回は料理が前より楽しくなりそうだ。

シンクが狭いのは変わらずなので、そこだけ大変だが。

 結局家具家電はお父さんが買ってくれてた。お年玉やお小遣いをずっと使わずに貯金していたのだが、卒業祝いと合格祝いで買ってくれた。めちゃくちゃ助かった。もう少し貯金をすれば今出ている一番いいパソコンを買えるのでうれしい。最初の給料が入ったら買えるだろう。

とにかくこれで引っ越しが終わった。まだ完全とは言えないが、生活するには問題ないぐらいの部屋にはなっている。


「とりあえず夜ごはん食べに行こうか」


「そうだね、結構お腹空いちゃった」


 お母さんがそう提案してくれたので僕たちは外に出てご飯を食べに行った。




――――――――――――――――――




「じゃあ、帰るね。初めての一人暮らしで、色々大変だろうけど頑張ってね。まあ颯太のことだから、大丈夫だろうけど」


「今日は組み立て手伝ってくれてありがとう。なんかあったら連絡するね」


 お父さんたちが、家から出ていく。

ついに部屋には、一人になってしまった。前回の人生では、これが当たり前だったのに少し寂しさを感じてしまう。仕方ないだろう。今回は孤独じゃなかったのだから。

とりあえず明日は何も予定がないので、生活必需品を買い出しに行こう。

それをすれば生活に何も困らない状態になる。高校の制服の受け取りなどは、もう終わっている。要するに高校の入学準備は全部終わっている。

だが、僕はほかの人よりも少し準備が多い。なぜなら、新入生代表だったからだ。

 一昨日高校から電話があり、新入生代表だということを知らされた。なので来週高校に行くことになっている。原稿を渡されたり、当日の流れの説明を受けたりする。

実は、林さんには言わないで置いている。ちょっと驚かせたいという気持ちがあるからだ。

そんなわけで、原稿を考えなければならない。まだまだやることは多い。


「今日のところは、さっさと寝るか」


 そう思い、パジャマやタオルを用意してシャワーを浴びることにした。

ちなみにユニットバスなので、湯船にお湯をためる気にはならなかった。面倒くさいしね。




――――――――――――――――――




『引っ越し終わった?』


『うん、何とか終わったよ。結構疲れたけどね』


 シャワーから上がったら、林さんからメッセージが来ていた。


『お疲れ様。私は明後日に引っ越しだよ荷物は明日業者さんが持って行って、私は明後日にそっちに行く感じ』


『そうなんだ、引っ越しの時は親御さんの来てくれるの?』


『一応来てくれることにはなってるよ。その日には帰っちゃうけど、ちょっとだけ手伝ってくれるみたい』


『それはよかったね。もし大変そうなことあったら言ってね、高校に近いなら僕の家からも近いだろうから、すぐ手伝いに行くよ』


『ありがとう、一日で片づけ終わらなかったら手伝いお願いしちゃうかも』


『了解。ひと段落着いたら引っ越し祝いと合格祝いしようね』


『そうだね!楽しみにしてる』


 ついに林さんが、引っ越してくるのか。いまにして思うと、なかなかに行動力のある子だと思う。高校生の女の子が一人暮らしっていうのは親としてはだいぶ不安だろうによく説得したものだ。

林さんは、初めての一人暮らしだからできるだけの手助けはしよう。なんだかんだで僕は慣れているしね。

林さんとのメッセージを終了して、僕はスマホを閉じた。


「違和感が凄い」


 布団に入って天井を見た時にそんな言葉が自然と出てきてしまう。

前回の人生で毎日のように見ていた天井だ。

それを今新しい人生でも見ている。それがとても違和感だ。

 とても昔のはずなのに、なぜかそこまで昔には感じない記憶。感覚的には二週間ぐらいの旅行から帰ってきたぐらいの感覚だ。

 そんなことを考えているうちすぐにとてつもない睡魔が襲ってきた。

なんだかんだ引っ越しで疲れていたのだろう。


「寝よう」



――――――――――――――――――




 翌日は、買い物をしに行った。

前回の人生で、毎日のように行っていたスーパーに生活必需品を買いに行った。慣れ親しんだ場所すぎて数年の期間が空いているのに、違和感なく買い物ができる。

ちょっとした位置の違いはあるけど、内装は同じなので商品を探す必要もなくかごに入れていける。

 食器などは家にあったものを持ってきているのであるが、シャンプーなどは何もない。

キッチン周りの商品なども何もないので、なんだかんだで買うものは多い。

 

「あらかた買ったかな」


 レジにかごを持っていき会計をすます。

結構な値段になったな。まあ必要なものだし仕方ない。

 荷物を家に持ち帰り、ものを配置する。


「あれ、やること終わっちゃった」


 荷物を片付けて、今の時間は昼過ぎだ。

今日のやることが終わってしまった。どうしようか。とりあえず昼ご飯を食べよう。そのあとは勉強でもしようかな。最近何もできていなかったし。



 ご飯を食べて、机に勉強道具を置く。


「高校の勉強の予習でもしておくか」


 高校の教科書はまだないが、とりあえずでテキストは買ってある。

勉強の内容に特に懐かしさなどを覚えないのが悲しい。本当に高校の経験はゼロなので、勉強内容の記憶なども何もない。

なので中学以上に勉強をしていかなければ、成績を保つことができる気がしない。なので前以上に頑張らなければ。




――――――――――――――――――




「あ、今何時だ」


 外は暗くなってきていた。

何時間か勉強をしてしまっていたようだ。高校の勉強は難しいので、勉強をして悪いことはないけどね。


「ご飯食べて、寝るか」


 一日が気づいたら終わっていて、夜になってご飯を食べて寝る。

懐かしい生活だ。昔だったら勉強ではなく一日中ゲームやネットだったが。

高校が始まるまでは、こんな感じの日が多くなりそうな気がするな。まあやることがないのは事実なので仕方がないだろう。

林さんが引っ越して来たら、どこかに遊びに行ったりするだろうけど、それも少し先の話だろう。引っ越してきてすぐは何かと忙しいだろうし。暇になっても精神的に落ち着くまではどこかに遊びに行くほどの余裕はないと思う。


「あー、なんだかんだで落ち着くな」


 前回の人生で一人暮らしをしていた時から、五年以上がたっている。

だが、四年以上住んでいたこの部屋。まあ部屋自体は違うが、内装は同じなので、ほぼ同じようなものだ。とにかくこの部屋は慣れ親しんだものがある。

僕は前の人生の記憶がつい最近のようにまだ思えている。

なぜだかはわからない。だが、鮮明に覚えていて感覚的にもつい最近の出来事なのだ。

今回の人生の出来事も当然つい最近のことに感じるが、二つの記憶がつい最近のことに思っている。

結構変な感覚だが、特に気持ち悪いということもない。逆に前回の人生の記憶が薄れるほうが気持ち悪そうだ。自分の中に自分じゃない記憶があるみたいな感覚になりそうな気がする。それはすこし嫌なので鮮明に残っていてくれてよかった。


「はやくパソコンほしいな」


 前回、部屋でダラダラしているときはパソコンで適当に動画を流していた。

その時間がだいぶくつろげていたので、同じ環境にしたい気持ちがある。

まあすぐに買えるだろう。現状でだいぶお金はたまっているしね。ちょっとバイトしたら買える。少し楽しみだ。





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