未完成終章ダイジェスト1
完結済みのトップページリンクからの新規読者さんもいなくなった頃なので、ひっそりと残骸を投稿します。
面白さ、読みやすさ等の推敲は一切していないので、オマケとかプロットみたいな感覚でお読み下さい。
あと次の2で唐突に終わっています。本当にぶつ切りです。
ジャスティナ11歳のときに事件は起こった。
すべてを裏で操っていた存在が人類の前に姿を現したのだ。
その名は――天使。
黄金の天輪に、純白の翼。
人間とは違う清らかな姿。
魔族とは違う清らかな思想。
全てを救済するという、鏖の清らかな殺意。
人類は抵抗した。
王都のローランド王が旗頭になって国々をまとめた連合騎士団。
禁忌聖女であるミスティが率いる教会と十二の枢機卿。
そして――魔王ブラック・オブ・カオスを頂点とした魔王軍と十二の魔将軍。
結果は、呆気ないほど早く決まった。
二重スパイだったイフィゲニアが天使情報を人類側に流し、連合騎士団が道を作り、ミスティ達が援護をして、ブラック・オブ・カオスと魔将軍の圧倒的な力。
天使は倒れた。
……だが今思えば、それは天使が仕掛けた罠だったのだ。
勝利の油断。
天使は死に際……私に向かって魂喰いの剣を投げ放った。
それをかばったミスティ。
勇者ジャスティナと、魔王ブラック・オブ・カオスの前で――ミスティは心臓を貫かれていた。
ミスティは、ジャスティナとブラック・オブ・カオスにとって一緒に暮らした家族だった。
計り知れないショックだっただろう。
天使は目標を果たした。
その日、真の魔王と、真の神が誕生したのだから。
周辺は消滅した。
* * * * * * * *
それから十年が経った。
人類の天敵、白き神と呼称されることになったジャスティナは、人間年齢で言えば、もう21歳なのだろう。
魔王の強制力によって感情を失った魔族たちが人類を蹂躙し続け、今や人々の生存圏は十分の一にも満たない状態だ。
魔王ブラック・オブ・カオスと、白き神ジャスティナが生殺与奪権を握っていると言っても過言ではない。
協力者もあり、どうしてこの状況になったのかわかってきた。
星の古き成り立ちに関係があるらしい。
伝承によると、この世界は……戦神テュールが最初の所有者らしい。
彼は闘争による進化を良しとして、そういう世界をデザインした。
魔王と人間の王が永遠に戦うことによって、より良き世界を目指す呪詛と祝福。
そのため、各地に生と死を繰り返すシステムとなる戦乙女の遺骸を楔として祭った。
王都が戦乙女の名であるレギンレイヴだったのも、そこからなのだ。
その後、遠き地から漂流者がやってきた。
遙か昔にオリジナルの白き神を失い、存在意義を失いかけていた天使たちである。
白き神の側近であった二柱の大天使と、量産された低級天使たち。
大天使は白き神がお隠れになったのは大いなる御意志として諦めるも、低級天使たちは復権を考えていた。
大天使の片方――熾天使は堕天して、システムに抗う優しい魔王……オウマ殿になった。
もう片方の大天使――正天使は、低級天使たちの元に留まり、彼らを説得して導こうとしていた。
しかし、新たな身体を作るための転生の儀の隙に、低級天使たちが反乱を起こしたのだ。
自分たちの次代の神に祭り上げるために、転生の儀に禁呪を埋め込んだ。
正天使は最後の抵抗として、自らを封印して人間の母体に入った。
そして記憶を無くして勇者として育っていった。
それが――私の最愛の妹ジャス。
今では人類の天敵、白き神ジャスティナと呼ばれるモノ。
「――聖女ステラ、出立の用意が調いました」
「わかった、杭打ちの枢機卿マギウィル・マクドゥガル。すぐ行く」
私は……私をかばって亡くなられたミスティ様の跡を継いで、聖女として教会をまとめ上げた。
だが、人類側はあまりにも脆弱だ。
ミスティ様が最後の命を消費して使った転移魔法によって、十年前の消滅現象から逃れた私たちだったが、戦力の大半は失われてしまった。
魔将軍は魔王に付き、教会の最高戦力である聖女の私は十年近く修行をしたとて、まだまだ未熟者だ。
それに……十二の枢機卿と名乗ってはいるのだが、未だに一人欠けているのだ。
全員揃わなければ聖女として禁忌の力である“種族異端審問”が全力で使えない。
「修行にいってしまったあんな馬鹿一人でも、いないとそれなりに不便なものだな……」
「聖女ステラ? 何か仰いましたか?」
「いいや、何でもない。役に立たない想い出を振り返っていただけだ」
人類に残された大きな都市は、ここ王都レギンレイヴのみとなった。
我が父ローランド亡き今、私はこの国の女王でもある。
出生のわからぬ我が身であったが、なるほど大地と星か。と母から名の由来と素性を明かされたときは驚いたものだ。
とにかく、もう人類には物資も人員も時間も無い。
戦える者をすべて動員した、最後の聖戦が強制的に始まる。
私は声高らかに宣言する。
「我らが敵は魔王城に在り! 地を覆い尽くす魔王軍! 一騎当千の魔将軍! 邪悪なる魔王ブラック・オブ・カオス! そして神を自称する不敬なるジャスティナ!」
愛しかった……いや、今も愛しい者たちに向かって、こんな言葉を吐くのは辛い。
だけど……あの二人から、しっかりやれと今も背中を押されている気がするのだ。
「敵は強大……だが恐れるな! この聖女ステラ・レギンレイヴと共に――人類の全てを以て魔王を、神を討ち滅ぼすべし! 聖戦なるぞ、我に続け!!」
人類最後の希望ともいえる、脆弱で疲れ果てた人類軍は、災厄が待つ魔王城へと出立したのであった。




