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【連載版】ホームパーティーに誰も来なくて、冷めた手作り料理を孤独にモソモソ食べる魔王様『……そうだ! 王国軍に一般入隊して魔族を滅ぼそう!』  作者: タック
エピローグ

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王都に来てから十五年後

 我が名は深淵の暗黒王ブラック・オブ・カオス

 この世界の半分を支配する魔族達の長――魔王である。

 ……いや、今は人間として暮らしている、ただのオウマ・ブラオカともいう。


 くくく、今日は人間界にやってきてから十五周年であり、娘の六歳の誕生日でもある!

 血湧き! 肉躍る! 饗宴を催して労ってやろうではないか……ッ!

 そう、やる事はいつものホームパーティーである!


 この王都にある広々(ひろびろ)マイホームの中は、きらびやかな飾り付けや、テーブルの上に載った料理でいっぱいだ。

 ラム肉の香草焼き、シーフードシチュー、温野菜サラダ、ショートケーキにモンブラン等々。

 妻と娘、友人達を人数無制限でオモテナシするという気概の元に、それはもう愛情を込めた手作り料理を用意しまくった!

 どれだけやってきても、我は全力で対処してやろう!


「フゥーハハハ! ……いや、ちょっとおかしい。時間になっても誰もこないのである」


 我は賢者のような冷静さを取り戻して、浮かれ気分で装備していた紙製三角帽子をソッと外した。

 あの時のトラウマが蘇る。

 十五年前、魔王城でホームパーティーを開催して、誰もこなかった時の事を……。

 まさか今回も、冷めた料理を孤独にモソモソ食べる魔王となるのだろうか。


「娘まで来ないなんて……そんな……。うぅ、泣きそうになってきたのである……」


 人間の友も沢山できたし、魔将軍たちとも仲直りした。

 なのに、それなのに……。

 落ち込んで暗い気持ちに捕らわれ――いや、違う。本当に部屋の中が暗くなってきた。


「な、なんなのであるか!?」


 その暗さは見覚えがある。

 魔影を操るイフィゲニアのものだ。

 そしてドアが開かれる音と共に、誰かが入ってくる気配がした。


「ただいま。お久しぶりです、オウマ殿」


「よう、帰ったぜ。オウマちゃん」


「そ、その声は……」


 我は聞き覚えがあった。

 いや、忘れるはずもない。

 旅立ってからかなりの年月が経っていたが、それは我が懐かしき友。


「ステラ! キザイル!」


「くふふ、感動の再会じゃな。どれ、妾が明かりを付けてやろう」


 竜魔将軍ドゥルシアの声が聞こえると、ピカッと何かが光った。

 それは見覚えのあるハゲ頭だった。


「うおっ!? まぶしっ!? ハゲ筋肉人間の頭が光って明かりが!!」


「だっはっは! 俺に反射したドゥルシアの炎だっての!」


 明るくなった周囲には、親しい人間達が立っていた。

 部屋が狭くなったと勘違いする程の数だ。

 すっかりと大人の女性になった聖女姿のステラに、頬に傷を作りながらも逞しく背が伸びたキザイル。


「二人とも! よく戻ってきたのである! ……それにしても、見ない内に随分と格好が変わったのであるな……?」


「教会で修行してたら教皇ミスティ様に、次代の教皇の立場を押しつけられました……。あと、見つかった父が国王だったので今度、私が王女にもなるらしいです」


「ミスティって教皇だったのであるか!? しかもステラが王女!?」


「僕の方は異世界を巡る武者修行してきて、実力で竜殺しの枢機卿の跡を継いだよ」


「主役みたいなパワーアップの仕方であるな! キザイル!」


 その他にも、十二の魔将軍がズラリと並んでいた。


「ごめんね、オウマ様。どうしてもグゴリオンがサプライズをしたいっていうからさ~。仕方なく影の演出で暗くしたりしたんだ」


「やはり突然暗くなったのはイフィー、お主の仕業か」


「ふん、ワタシはオウマ様を驚かせたら楽しいかと思っただけですよォ」


「大体はお主が裏で糸を引いているな、グゴリオン……」


 その他にもキザイルの兄マギウィルや、立場がバレてバツの悪そうなミスティ、外見が幼女のままのハーシア、すっかり禿げた騎士団長ライオネルなどが団員を引き連れてやってきていた。


「こんなに沢山、我のホームパーティーに……。やはり、いいものであるな。うぅ……泣けてきたのである」


「オウマちゃん、泣くのは早いぜ」


「オウマ殿、最愛の妻と娘の登場がまだですよ」


 キザイルとステラは、その二人をエスコートしてきた。

 一人は学生だった頃とあまり変わらない背丈の、金髪碧眼の女性。


「オウマ、この王都にやってきてくれてありがとう。あたしは……貴方と出会えてとても幸せ」


「おぉ、我が妻ジャスティナ」


 あれからオウマは魔王学校の校長をしながら、魔族と人間の種族間の問題を次々と解決していった。

 それが落ちついたとき、十六歳のジャスティナと結婚。

 一人の子供を授かったのだ。


「パパ、泣いてるの~?」


 我が娘が脚に抱きつき、心配そうに見上げてきた。

 大きな瞳にまん丸ほっぺ、シルバーグレーの髪。

 左右に生えた角はまだ小さく、愛らしい眼差しをこちらに向けている。


「い、いや。魔王は泣かないのである。いいか、我が娘ラフィエル……。これは眼にサラダ用のレモン汁が飛び散っただけなのである!」


「すごい! やっぱり魔王ってすごい! ラフィエルも大きくなったら魔王になるの!」


「フゥーハハハ! そうか、我のようになりたいのであるかー!」


「わははー! パパみたいな魔王になるのであるー!」




 昔――魔将軍達に裏切られ、最初は滅ぼしてしまおうと思っていた世界。

 しかし、我は人間の世界で様々な出会いを経験した。

 初めての友、守るべき絆、育つ新たな才能。

 ……そして、最愛の家族。


 誰も来なかったホームパーティーから始まったお話は、誰もが集まる幸せなホームパーティーで締めくくられた。




「ラフィエルも自分だけの魔王軍を作るぞー!」


 ――我の娘が別世界に召喚され、新たな魔王軍を作るのはまた別のお話である。

 後書き。

 オウマとジャスティナの娘が、別世界で偽名の魔王っぽいものをやっている作品はこちら。

 現在連載中の『伝説の竜装騎士は田舎で普通に暮らしたい ~SSSランク依頼の下請け辞めます!~』です。

 懐かしいキザイル家の神剣を振るったり、宿屋のメイドをしたり、結構な登場頻度です。

 ドゥルシアさんも龍形態のちょい役で出たりしています。キザイルは今後、異世界からの剣士として登場するかも!?




 ここからはちょっと蛇足のお話。

 本来、書籍だったら三巻分くらいの続きプロットがありました。

 各魔将軍と交流したり、キザイルの兄が枢機卿だったり、裏で糸を引いていた黒幕の天使が登場したり、元々寿命が残り少なかったミスティがステラを庇って死んだり、天使側の長の転生体だったジャスティナがオウマと共に人類の敵になったり。


 終盤は教皇の立場と、十二の枢機卿を引き継いだステラが人類の旗印となって、最愛の二人と戦う展開です。人類、魔族の半数が滅んでいます。

 竜殺しの枢機卿が抜けた十一の枢機卿で戦うも、魔王本来の力は絶大。

 もうダメだというところでキザイルが帰還。良いところを持っていき、正気に戻るオウマ。


 星の主導権を巡り、世界を守る魔王オウマと、世界を滅ぼす天使ジャスティナが激突――。

 というのが本来のラストでした。


 本作は総合日刊ランキング二桁に初めて載った連載作品で、色々と勉強になりました。

 応援して下さった読者様に感謝です!

 まだまだなろうの活動は続けていくので「気が向いたら他のもチラッと見てやるぜ~」と思って頂けたらありがたいです。


 ではでは、またどこかで!

 ……あ、下のリンクから飛べる『竜装騎士』なんてオススメですよ(しつこい)。

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新連載を開始しました。
国を救うことに疲れてしまった強すぎる竜装騎士が、相棒の竜と共に田舎に移り住むスローライフ(?)なお話です。
どうぞ、こちらもよろしくお願いします。


『伝説の竜装騎士は田舎で普通に暮らしたい ~SSSランク依頼の下請け辞めます!~』
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