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16

 アキラは涼子を腕に抱き、天井を見上げている。

欲の全てを涼子にぶつけた。後に残るのは虚無感だけだ。五反田のシティホテルは以前、涼子とセックスしようとして未遂に終わった場所だった。ただ、悲しくて。ただ、会いたくて。涼子の顔がみたかった。

 涼子は部屋に入ってきてすぐアキラに犯されている最中、何度も絶頂に達した。アキラは野暮なことは聞かない。こうして部屋にまで来たということが答えだからだ。

「ねぇ、2回戦しようか」

 涼子が甘い声を出す。アキラは裸のまま立ち上がった。

「2回戦は医者にとめられているんだ」

 つまらない冗談を言うと、涼子は案外ウケた様子だった。

「なんだか漫画みたいなセリフね」

 そう言って涼子もベッドから出た。

「次の展開は、横浜へ行く約束をする。電話がかかってきたところを私がフェラチオをする。アキラに急な仕事がはいるけれど、車で横浜ふ頭に行って優しいキスをする」

「なんだ、知ってたのか」

「世代だもん」

「女性が見るような漫画じゃないぞ」

「あら、光栄ね。私のこと女として見てくれてたなんて」

「女じゃなかったらあんなことするかよ」

「ふふ」

 涼子はゆっくりかがみ、アキラのペニスを咥えた。なまめかしく、ゆっくりと唾液をたらしながら。下からアキラの様子を伺う時、涼子の瞳は餓えた子犬のように憂いを帯びていだ。

 そろそろ絶頂に到ろうかという時、アキラのスマホが鳴った。星崎詩音と表示されている。アキラはスマホをベッドに放り投げて、涼子の後ろに回り激しくつき続けた。鏡越し涼子のEカップが揺れるたび、アキラは涼子の全てを支配したいと強く思った。

                  

「詩音だったんでしょ?」

 ブランチを食べている最中に涼子が言う。アキラはオレンジジュースにミルク入れてストローでかき混ぜた。

「いや、めんどくさいクライアントだったから出なかった」

「へぇ」

 それが嘘だと言うことくらい涼子には解っていたはすだ。それ以上は訊ねてこなかった。

「ねぇ、9月29日を過ぎたら復讐は終わるんでしょ?」

「そこまで逃げ切れたらね」

「それまでは?」

「正直、何されるか解らない。ナイフで刺される可能性だってある」

「え?さすがにそこまでは………」

「いや、あるね。地元のツレに聞いたんだけど、今回の蒲田の火災で亡くなったのはライト君の友達だって話だ」

「それ、悪いけどアキラには関係ないじゃん」

「関係はないよ」

「アイツ何を考えているの?」

「さぁ。さすがに神じゃないからそこまでは解らない。けれども、アイツの祈織ちゃんに対しての執着、俺に対する恨み、それに付け加えて大事な友達が亡くなったらしい。仕事にも来ていない。ということは、アイツはこの数週間で全てを失ったんだ」

「全てを失ったからって………」

「一緒に仕事もしたけど、リアルでも占術を使っても、そういう奴なんだよ」

「可哀相な人ね。単なる逆恨みじゃない」

「そう。だけど、こうなることは占術で予測していた。後は単純に、リアルで会った時に、貯金がないことや仕事でも一日働いて一万二千円しか貰っていないことも聞いていた。そこに来て今度は仕事にもでていないとなると、次の仕事を始めたとしても、もう俺らを追いかけるだけの経済的余力はないんだよ」

「だったらさ、祈織ちゃんを連れて沖縄にでも行ってたら?」

「沖縄かぁ」

「私は9月29日にバースデイライブがあるから、それまでは正直忙しい。でも祈織ちゃんは有給休暇でフリーだから、後はアキラが大丈夫であれば」

「僕だったら大丈夫だよ。すでにノマドワーカーだからさ」

「それじゃ決まり!最高なプランじゃない」

 アキラはズボンを履こうとした。その時、涼子がズボンを奪い取り何かを差し出した。

「な、なんだ?」

 涼子はアキラの口にカプセルのようなものを突っ込んだ。そして、水を差しだした。

「飲んで。元気になるから」

「んぐぐ。バイアグラかよ」

「ふふ。だってしばらく会えないじゃない」

 アキラは「こんなの効くのかよ?」と疑問を投げかけたが、40分ほどでアキラの股間はもりもりと立ち始めた。エロ過ぎるピアニストの甘い罠と熱すぎる情事。


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