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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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第97話 第二育成区画

石壁の奥。


誰も知らない階段が続いていた。


忘れられた洞窟に長く住んでいるリリスですら見たことがない。


アダプトロードも知らない。


森護兵将も知らない。


もちろんアルベルトも知らない。


本当に未発見の区画だった。


「罠は?」


リリスが聞く。


「あるだろうな」


アルベルトは即答した。


三十年以上前の施設。


何もない方がおかしい。


そのため探索隊が編成された。


先頭。


シャドウリーパー。


索敵担当。


その後ろ。


アルベルト。


リリス。


アダプトロード。


さらに森護兵将。


岩牙守護将。


忘れられた洞窟の主力が集まっている。


夜宝守も来ていた。


何故かいた。


当然のようにいた。


「お前も来るのか」


「グル!」


やる気だった。


そして。


ぷにもいた。


「ぷに!」


当然のようにいた。


リリスはもう突っ込まなかった。


慣れてしまったのである。


階段は長かった。


思った以上に深い。


百段。


二百段。


さらに続く。


途中で魔法灯が現れ始めた。


消えている。


だが形は残っている。


古い。


非常に古い。


それでも崩れていない。


保存状態は驚くほど良かった。


「管理されていたんでしょうか」


リリスが呟く。


「かもしれない」


三十年放置された施設には見えなかった。


そして。


十分ほど進んだ頃。


ついに終点へ到達する。


巨大な扉。


石製。


中央に紋章。


見たことのない紋章だった。


リリスが近付く。


すると。


記録妖精の能力が反応する。


金色の光。


紋章が発光する。


そして。


文字が浮かび上がった。



第二育成区画


認証完了



管理権限確認



管理補佐妖精認証



「私です!」


リリスが驚く。


次の瞬間。


扉が開いた。


重い音。


長い年月閉ざされていた空間。


その先が姿を現す。


全員が息を飲んだ。


広い。


とにかく広かった。


管理室の何倍もある。


いや。


中央広間並みかもしれない。


さらに。


そこには不思議な設備が並んでいた。


円形の池。


特殊な檻。


魔法陣。


育成槽。


見たことがない物ばかりだった。


「これは……」


リリスが呟く。


記録が反応する。


断片的な知識。


少しずつ流れ込む。


「育成施設です」


「育成」


「はい」


池を指差す。


「水棲魔物育成槽」


次。


檻。


「高機動種訓練区画」


さらに。


魔法陣。


「属性適応施設」


沈黙。


アダプトロードが周囲を見る。


森護兵将も見る。


岩牙守護将も見る。


全員同じ感想だった。


異常だ。


普通のダンジョンではない。


ここは明らかに研究施設だった。


その時。


夜宝守が走り出した。


「あっ」


リリスが声を上げる。


だが遅い。


夜宝守は施設の奥へ消える。


数秒後。


戻ってきた。


何かを咥えている。


「またですか」


リリスが頭を抱える。


夜宝守は得意げだった。


咥えていたのは黒い結晶。


情報解析。


表示。



育成結晶


品質:極高


用途:育成施設起動



沈黙。


アルベルトの目が輝く。


リリスが嫌な予感を覚える。


「まさか」


「起動するか」


「しますよね」


当然だった。


育成施設。


未発見区画。


研究設備。


配合士が興味を持たないはずがない。


育成結晶が設置される。


魔法陣へ投入。


数秒。


何も起きない。


失敗か。


そう思った瞬間だった。


施設全体が震えた。


光。


次々と魔法灯が点灯する。


三十年以上眠っていた設備が目を覚ます。


池に水が流れ始める。


魔法陣が起動する。


育成槽が光る。


通知が現れた。



第二育成区画


起動成功



育成補正解放



成長率上昇



特殊育成可能



管理室が静まり返る。


リリスが固まる。


アダプトロードも珍しく驚いている。


そして。


アルベルトだけが笑っていた。


「なるほど」


「何がです?」


「このダンジョンはやはり研究施設だった」


配合だけではない。


育成。


進化。


環境適応。


全てを研究する場所。


それが忘れられた洞窟の正体だった。


その時。


施設中央。


大きな石碑が光り始める。


新たな文字。


全員が視線を向ける。



研究記録 No.2


閲覧可能



リリスが息を飲む。


三十年前の記録。


研究者の残した資料。


忘れられた洞窟の秘密。


その一端が、ついに明かされようとしていた。

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