↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
96/223

第96話 忘れられた研究区画

鋼影狼は配合陣の前に立っていた。


黒霧狼王。


鋼影狼。


成功率八十二%。


第三因子候補あり。


管理室には緊張が漂っている。


森護兵将もいる。


岩牙守護将もいる。


アダプトロードもいる。


全員が見守っていた。


「本当にやるんですか」


リリスが最後の確認をする。


アルベルトは少しだけ考えた。


そして。


配合画面を閉じた。


沈黙。


リリスが固まる。


アダプトロードも珍しく目を見開いた。


「主?」


「やらない」


管理室が静まり返る。


数秒。


誰も反応できなかった。


「え?」


リリスが最初に声を出した。


「やらないんですか?」


「やらない」


「本当に?」


「本当だ」


珍しかった。


配合士が配合を我慢した。


歴史的瞬間だった。


「どういう風の吹き回しです?」


「少し気になった」


アルベルトは別の画面を開く。


黒影樹。


リリス進化。


記録解放。


最近起きた出来事。


全部並べる。


そして。


一つの共通点に辿り着いていた。


「このダンジョンだ」


「忘れられた洞窟?」


「ああ」


最近は配合ばかり見ていた。


魔物ばかり見ていた。


だが。


本当に不自然なのは別だった。


忘れられた洞窟そのもの。


三十年以上存続。


歴代記録。


配合眼。


リリス。


全部が繋がっている。


そんな気がしていた。


その時だった。


リリスが突然頭を押さえる。


「っ!」


強い光。


金色の光。


記録妖精の能力が反応する。


「リリス!」


アルベルトが支える。


リリスの視界に映像が流れ込む。


知らない場所。


広い通路。


石壁。


魔法灯。


そして。


大量の部屋。


今の忘れられた洞窟には存在しない空間。


『第二育成区画』


そんな文字が見えた。


さらに。


『第三実験区画』


『特殊環境区画』


次々と映像が流れる。


そして。


最後。


一枚の地図。


そこで映像が途切れた。


リリスが大きく息を吐く。


管理室が静まり返る。


「見えたか」


アルベルトが聞く。


リリスはゆっくり頷いた。


「ありました」


「何がだ」


「もっと広いんです」


沈黙。


「このダンジョン」


リリスは震える声で続ける。


「今の形じゃありません」


管理室が静まり返る。


「どういう意味です?」


「忘れられた洞窟はもっと大きかったんです」


アルベルトの目が細くなる。


リリスが記憶を整理する。


断片。


映像。


知識。


それらを繋げていく。


「複数階層がありました」


「階層」


「育成区画がありました」


さらに。


「実験区画も」


アダプトロードが反応する。


森護兵将も見る。


岩牙守護将も動きを止めた。


「研究施設か」


アルベルトが呟く。


リリスが頷く。


「多分」


そして。


さらに衝撃的な言葉を口にした。


「忘れられた洞窟は防衛型じゃありません」


「ん?」


「育成型です」


沈黙。


誰も喋らない。


育成型。


聞いたことがない分類だった。


リリスも知らない。


だが。


記録がそう告げている。


「魔物を育てる施設」


「配合を研究する施設」


「特殊環境を作る施設」


「そういうダンジョンでした」


アルベルトが立ち上がる。


面白い。


実に面白い。


三十年前の研究者。


配合眼。


忘れられた洞窟。


全部が少しずつ繋がり始めていた。


その時。


管理室の奥。


今まで誰も気にしていなかった壁。


その壁が光る。


全員が振り向く。


石壁に文字が浮かび上がる。


⸻


記録妖精確認


管理権限照合


適合者確認


⸻


リリスが固まる。


アルベルトも驚く。


壁が動き始めた。


長い年月閉ざされていた石壁。


ゆっくり。


ゆっくりと開いていく。


中から現れたのは。


下へ続く階段だった。


誰も知らない。


誰も見たことがない。


忘れられた洞窟の奥。


完全な未発見区画。


リリスの声が震える。


「ありました……」


アルベルトは笑う。


久しぶりに。


本当に楽しそうに。


「探索だな」


「絶対そう言うと思いました」


リリスは呆れた。


だが。


自分も同じだった。


気になる。


知りたい。


この先に何があるのか。


三十年前に何があったのか。


忘れられた洞窟とは何なのか。


鋼影狼の配合は一旦延期になった。


しかし。


代わりに現れたのは。


それ以上の謎だった。


忘れられた洞窟の本当の歴史。


その扉が、ついに開こうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。