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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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87/223

第87話 黒霧狼王

実ダンジョン戦開始。


忘れられた洞窟の軍勢は黒霧の森へ降り立った。


濃い霧。


湿った空気。


視界の悪い森。


完全な敵の本拠地だった。


「嫌な地形ですね」


リリスが呟く。


「守るには良い」


アルベルトは周囲を観察する。


木々は高い。


足場は悪い。


霧が濃い。


待ち伏せ向き。


自然発生型らしい環境だった。


ダンジョンコアが表示を出す。


⸻


実ダンジョン戦


勝利条件


敵ダンジョンコア破壊


制限時間


24時間


⸻


長期戦も可能。


だが。


アルベルトは長引かせるつもりはなかった。


「偵察」


アダプトロードが指示を出す。


シャドウリーパー。


シャドウウルフ。


数体の斥候が森へ消えた。


待機。


十分。


二十分。


やがて。


シャドウリーパーが戻る。


報告。


敵接近。


数は十以上。


「来ます」


リリスが言った瞬間。


霧が揺れた。


飛び出してきた。


ダークウルフ。


六体。


ブラッドウルフ。


四体。


敵は速い。


一気に距離を詰めてくる。


しかし。


忘れられた洞窟も以前とは違った。


「前へ」


森護兵将が吠える。


重低音。


配下強化発動。


鉄牙兵達が前進する。


激突。


ダークウルフが飛び掛かる。


森護兵将が正面から受け止める。


圧倒。


力負けしていない。


むしろ押していた。


巨大な爪。


横薙ぎ。


ダークウルフ二体が吹き飛ぶ。


さらに追撃。


一体撃破。


「強いですね」


リリスが感心する。


英雄種。


伊達ではなかった。


側面。


ブラッドウルフが回り込む。


そこへ。


岩牙守護将。


巨大な拳が振り下ろされる。


轟音。


地面が砕ける。


ブラッドウルフが転がる。


そのまま重岩熊兵が追撃。


撃破。


アダプトロードが冷静に指示を飛ばす。


「左包囲」


「右抑制」


「中央前進」


軍勢が動く。


狼達は連携が強い。


だが。


こちらも軍団だった。


戦闘開始から十分。


敵先遣隊壊滅。


忘れられた洞窟の勝利だった。


しかし。


アルベルトは首を振る。


「様子見だな」


「ですね」


本隊ではない。


偵察隊。


戦力確認。


その程度だった。


その時。


夜宝守が反応する。


耳が動く。


鼻が動く。


そして。


突然走り出した。


「またですか!」


リリスが叫ぶ。


夜宝守は止まらない。


一直線。


黒影樹の方向だった。


森護兵将が追う。


しかし。


速い。


夜宝守は戦闘能力こそ高くない。


だが。


探索能力は異常だった。


数分後。


戻ってくる。


何かを咥えていた。


黒い果実。


情報解析。


⸻


黒影果


夜属性素材


希少度:高


⸻


リリスが固まる。


夜宝守が誇らしげだった。


当然。


ナイトレイブンウルフへ献上する。


「またですか」


リリスが呟く。


ナイトレイブンウルフは果実を食べる。


その瞬間。


ダンジョンコアが反応した。


⸻


ナイトレイブンウルフ


進化条件達成率


44%


↓


47%


⸻


沈黙。


「増えましたね」


「ああ」


一気に三%。


大きい。


かなり大きい。


夜宝守は満足そうだった。


完全に目的達成である。


◇


その時。


シャドウリーパーが再び戻る。


今度は緊急報告だった。


映像共有。


リリスの表情が変わる。


アルベルトも目を細める。


そこにいた。


黒霧狼王。


そして。


群れ。


二十体以上。


いや。


三十体近い。


さらに。


狼だけではなかった。


黒い影。


大型個体。


見たことがない。


表示。


⸻


シャドウファング


危険度:高


⸻


「幹部ですね」


リリスが言う。


「ああ」


黒霧狼王の横。


護衛。


側近。


そんな立ち位置だった。


さらに。


もう一体。


表示。


⸻


ブラッドファング


危険度:高


⸻


沈黙。


アダプトロードが地図を見る。


森護兵将が牙を鳴らす。


岩牙守護将が拳を握る。


敵もこちらを認識していた。


本隊が動く。


群れ全体が動き始める。


そして。


黒霧狼王が咆哮した。


森全体が震える。


無数の狼が呼応する。


圧力。


統率。


王の力だった。


リリスが息を飲む。


今まで戦った相手とは違う。


四十一年生き残った自然発生型。


その頂点。


アルベルトは静かに笑った。


「面白いな」


「言うと思いました」


リリスは即答した。


黒霧狼王。


シャドウファング。


ブラッドファング。


三十を超える狼の群れ。


対するは。


アダプトロード。


森護兵将。


岩牙守護将。


シャドウリーパー。


そして。


夜宝守とナイトレイブンウルフ。


両軍が向かい合う。


霧の森。


その中心で。


ついに本当の戦いが始まろうとしていた。

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