第86話 実ダンジョン戦参加資格
定期ランキング戦開始。
忘れられた洞窟中央広間。
ダンジョンコアが静かに輝いていた。
全員の視線が集まる。
アダプトロード。
森護兵将。
岩牙守護将。
シャドウリーパー。
夜宝守。
そしてナイトレイブンウルフ。
忘れられた洞窟の主力が揃っていた。
◇
表示が現れる。
⸻
定期ランキング戦
対戦相手選定中
⸻
沈黙。
しばらくして。
文字が切り替わる。
⸻
対戦相手決定
936位
『黒霧の森』
⸻
リリスが頷く。
「近い順位ですね」
「ああ」
新人リーグらしい組み合わせだった。
942位と936位。
順位差は六。
大きすぎない。
小さすぎない。
定期ランキング戦らしい相手だった。
◇
さらに情報が表示される。
⸻
ダンジョン種別
自然発生型
存続年数
四十一年
⸻
アダプトロードが腕を組む。
「古参」
「ああ」
新人リーグに残っているとはいえ。
四十一年生き残ったダンジョン。
弱いはずがない。
◇
そして。
次の表示。
⸻
実ダンジョン戦選択可能
選択結果待機中
⸻
リリスが画面を見る。
「来ましたね」
「ああ」
942位。
忘れられた洞窟は新人リーグ上位へ到達している。
その特典。
実ダンジョン戦参加資格。
今までのランキング戦は違う。
仮想戦場のみ。
安全な戦いだった。
だが。
ここから先は違う。
◇
守備側。
つまり黒霧の森が選択できる。
仮想戦場か。
実ダンジョンか。
しばらく待つ。
そして。
結果が表示された。
⸻
守備側選択
実ダンジョン
⸻
沈黙。
リリスが息を吐く。
「自信があるんですね」
「そうだろうな」
自分の縄張り。
自分の地形。
自分の魔物。
そこで迎え撃つ。
自然発生型らしい選択だった。
◇
偵察映像が展開される。
初めて見る。
実際の相手ダンジョン。
深い森。
濃い霧。
視界が悪い。
複雑な地形。
完全なホームグラウンドだった。
◇
映像が進む。
狼。
狼。
また狼。
「多いですね」
リリスが呟く。
表示が流れる。
⸻
ダークウルフ
シャドウウルフ
ブラッドウルフ
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群れ。
完全な群れ型だった。
◇
さらに奥。
森の中心。
巨大な狼が現れる。
通常個体の倍近い体格。
漆黒の毛並み。
赤い瞳。
圧倒的存在感。
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黒霧狼王
⸻
「ボスですね」
「ああ」
間違いない。
群れの中心。
黒霧の森の王だった。
◇
その時。
夜宝守が反応する。
珍しい。
今までで一番大きな反応だった。
「グルル……!」
視線は黒霧狼王ではない。
さらに奥。
そこだった。
◇
一本の巨大な樹。
黒い樹木。
夜のような魔力が滲み出ている。
アルベルトが情報解析を発動する。
結果が表示される。
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黒影樹
希少素材
夜属性高濃度
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リリスが固まる。
夜宝守の尻尾が凄い勢いで揺れている。
◇
さらに。
もう一行。
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ナイトレイブンウルフとの相性
高
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沈黙。
夜宝守が黒影樹を見る。
次にナイトレイブンウルフを見る。
また黒影樹を見る。
誰の目にも分かった。
欲しいのだ。
◇
「分かりやすいですね」
リリスが呟く。
夜宝守は隠そうともしない。
むしろ。
今すぐ行きたいらしい。
◇
アダプトロードが前へ出る。
「主」
「なんだ」
「取るか」
沈黙。
リリスが頭を抱えた。
「まず勝利です」
「そうだな」
アルベルトも頷く。
だが。
目は黒影樹から離れていなかった。
◇
軍団整列。
森護兵将が前衛をまとめる。
岩牙守護将が防御陣形を確認する。
シャドウリーパーは既に影へ消えた。
夜宝守は。
ナイトレイブンウルフの前に立つ。
護衛するように。
当然のように。
◇
そして。
最後の表示が現れる。
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実ダンジョン転送開始
60秒前
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初めての実ダンジョン戦。
初めて見る他人の本拠地。
初めて挑む自然発生型ダンジョン。
忘れられた洞窟。
942位。
その新たな戦いが始まろうとしていた。




