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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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83/223

第83話 配合祭り

忘れられた洞窟。


中央広間。


久しぶりに全員が集められていた。


アダプトロード。


森護兵将。


シャドウリーパー。


ナイトレイブンウルフ。


そして大量の下級魔物達。


リリスは嫌な予感しかしなかった。


「始まるんですね」


「ああ」


アルベルトは頷く。


「配合だ」


やはりだった。


◇


942位。


ここまで来た。


だが上を見ればまだ足りない。


先輩卒業生。


自然発生ダンジョン。


どれも強敵ばかり。


だからこそ。


強化が必要だった。


アルベルトは配合一覧を開く。


今回の方針は決まっている。


主力は使わない。


まずは下級個体。


登録済み素材。


消えても被害が少ない個体から試す。


「珍しく慎重ですね」


「研究だからな」


「研究だから危険なんですよ」


リリスは知っている。


アルベルトの研究欲は危険だ。


◇


最初の候補。


⸻


ゴブリン


×


岩牙兵


予測結果


ゴブリンファイター


成功率 63%


⸻


「行くか」


「普通ですね」


配合陣が光る。


二体が包まれる。


数秒後。


光が消える。


そこに立っていたのは。


⸻


ゴブリンファイター


⸻


「成功ですね」


「ああ」


予測通りだった。


剣を持った戦闘型ゴブリン。


悪くない。


だが特別でもない。


量産向き。


そんな評価だった。


◇


二回目。


⸻


ゴブリンファイター


×


アイアンリザード


予測結果


アイアンゴブリン


成功率 51%


⸻


リリスが顔をしかめる。


「低くないですか」


「普通だ」


普通ではない。


アルベルト基準だった。


光が広がる。


しばらく沈黙。


そして。


光が消えた。


何もいない。


⸻


配合失敗


⸻


「あ」


リリスが呟く。


素材消滅。


久しぶりの失敗だった。


「消えましたね」


「ああ」


「二体とも」


「ああ」


少しだけ空気が重くなる。


これが普通の配合だ。


だから配合士は少ない。


成功する保証などない。


◇


しかし。


アルベルトは止まらない。


三回目。


四回目。


成功。


失敗。


成功。


失敗。


配合は続いた。


気付けば周囲に新しい魔物が増えている。


その一方で消えた魔物も少なくない。


リリスが呆れる。


「久しぶりに見ました」


「何をだ」


「普通の配合士です」


アルベルトは首を傾げた。


意味が分からないらしい。


◇


その時だった。


一つの候補で手が止まる。


⸻


岩牙重兵


×


ストーンゴーレム


予測結果


岩壁守護兵


成功率 68%


⸻


「これですね」


リリスも頷く。


前衛不足。


それを補える。


今後を考えても重要だった。


「行くぞ」


配合開始。


光が広がる。


全員が見守る。


そして。


数秒後。


異変が起きた。


光が揺れた。


リリスが眉をひそめる。


「ん?」


何かがおかしい。


予測時と反応が違う。


アルベルトも気付く。


その時。


ぷにが近付いてきた。


ぷるぷる揺れている。


配合陣のすぐ近く。


嫌な予感しかしない。


「ぷに?」


リリスが呼ぶ。


遅かった。


ぽよん。


ぷにが光へ飛び込む。


「ちょっ!?」


次の瞬間。


光が爆発した。


◇


しばらく誰も喋らなかった。


煙が晴れる。


そこに立っていた魔物を見て。


全員が固まる。


大きい。


重い。


だが。


予測結果と違う。


アルベルトの目が輝いた。


リリスは頭を抱えた。


通知が表示される。


⸻


配合成立


予測結果との差異を確認


特殊結果発生


⸻


沈黙。


さらに続く。


⸻


個体名


岩牙守護将


新種認定


⸻


誰も喋らない。


リリスだけが呟いた。


「岩壁守護兵じゃありません」


「ああ」


アルベルトは笑っていた。


久しぶりだった。


研究者の顔。


「面白いな」


「絶対そう言うと思いました」


予測外。


未知。


前例なし。


普通の配合士なら頭を抱える。


だが。


アルベルトは違った。


むしろ喜んでいる。


◇


岩牙守護将はゆっくりと周囲を見回した。


三メートル近い巨体。


岩の鎧。


岩牙重兵の重厚さ。


ストーンゴーレムの耐久力。


さらに。


その瞳には知性があった。


森護兵将が興味深そうに近付く。


アダプトロードも観察している。


情報解析。


結果が表示された。


⸻


岩牙守護将


戦闘適性:高


防御適性:極高


統率適性:中


成長適性:高


⸻


リリスが固まる。


「統率適性?」


防御型のはずだった。


壁役のはずだった。


なのに。


統率適性が存在する。


予測結果には無かった能力。


完全な予測外だった。


アルベルトは静かに呟く。


「異常成功か」


配合眼でも読めなかった結果。


研究資料にも載っていない。


だが。


一つだけ確かなことがあった。


忘れられた洞窟はまた新しい可能性へ足を踏み入れた。


そして。


ぷには満足そうに転がっていた。


リリスは確信する。


「絶対ぷにですね」


「かもしれないな」


「否定してください」


アルベルトは否定しなかった。


だから余計に不安だった。


配合祭りはまだ始まったばかり。


忘れられた洞窟の強化は。


ここからさらに加速していくのだった。

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