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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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第83話 配合祭り

忘れられた洞窟。


中央広間。


久しぶりに全員が集められていた。


アダプトロード。


森護兵将。


シャドウリーパー。


ナイトレイブンウルフ。


そして大量の下級魔物達。


リリスは嫌な予感しかしなかった。


「始まるんですね」


「ああ」


アルベルトは頷く。


「配合だ」


やはりだった。



942位。


ここまで来た。


だが上を見ればまだ足りない。


先輩卒業生。


自然発生ダンジョン。


どれも強敵ばかり。


だからこそ。


強化が必要だった。


アルベルトは配合一覧を開く。


今回の方針は決まっている。


主力は使わない。


まずは下級個体。


登録済み素材。


消えても被害が少ない個体から試す。


「珍しく慎重ですね」


「研究だからな」


「研究だから危険なんですよ」


リリスは知っている。


アルベルトの研究欲は危険だ。



最初の候補。



ゴブリン


×


岩牙兵


予測結果


ゴブリンファイター


成功率 63%



「行くか」


「普通ですね」


配合陣が光る。


二体が包まれる。


数秒後。


光が消える。


そこに立っていたのは。



ゴブリンファイター



「成功ですね」


「ああ」


予測通りだった。


剣を持った戦闘型ゴブリン。


悪くない。


だが特別でもない。


量産向き。


そんな評価だった。



二回目。



ゴブリンファイター


×


アイアンリザード


予測結果


アイアンゴブリン


成功率 51%



リリスが顔をしかめる。


「低くないですか」


「普通だ」


普通ではない。


アルベルト基準だった。


光が広がる。


しばらく沈黙。


そして。


光が消えた。


何もいない。



配合失敗



「あ」


リリスが呟く。


素材消滅。


久しぶりの失敗だった。


「消えましたね」


「ああ」


「二体とも」


「ああ」


少しだけ空気が重くなる。


これが普通の配合だ。


だから配合士は少ない。


成功する保証などない。



しかし。


アルベルトは止まらない。


三回目。


四回目。


成功。


失敗。


成功。


失敗。


配合は続いた。


気付けば周囲に新しい魔物が増えている。


その一方で消えた魔物も少なくない。


リリスが呆れる。


「久しぶりに見ました」


「何をだ」


「普通の配合士です」


アルベルトは首を傾げた。


意味が分からないらしい。



その時だった。


一つの候補で手が止まる。



岩牙重兵


×


ストーンゴーレム


予測結果


岩壁守護兵


成功率 68%



「これですね」


リリスも頷く。


前衛不足。


それを補える。


今後を考えても重要だった。


「行くぞ」


配合開始。


光が広がる。


全員が見守る。


そして。


数秒後。


異変が起きた。


光が揺れた。


リリスが眉をひそめる。


「ん?」


何かがおかしい。


予測時と反応が違う。


アルベルトも気付く。


その時。


ぷにが近付いてきた。


ぷるぷる揺れている。


配合陣のすぐ近く。


嫌な予感しかしない。


「ぷに?」


リリスが呼ぶ。


遅かった。


ぽよん。


ぷにが光へ飛び込む。


「ちょっ!?」


次の瞬間。


光が爆発した。



しばらく誰も喋らなかった。


煙が晴れる。


そこに立っていた魔物を見て。


全員が固まる。


大きい。


重い。


だが。


予測結果と違う。


アルベルトの目が輝いた。


リリスは頭を抱えた。


通知が表示される。



配合成立


予測結果との差異を確認


特殊結果発生



沈黙。


さらに続く。



個体名


岩牙守護将


新種認定



誰も喋らない。


リリスだけが呟いた。


「岩壁守護兵じゃありません」


「ああ」


アルベルトは笑っていた。


久しぶりだった。


研究者の顔。


「面白いな」


「絶対そう言うと思いました」


予測外。


未知。


前例なし。


普通の配合士なら頭を抱える。


だが。


アルベルトは違った。


むしろ喜んでいる。



岩牙守護将はゆっくりと周囲を見回した。


三メートル近い巨体。


岩の鎧。


岩牙重兵の重厚さ。


ストーンゴーレムの耐久力。


さらに。


その瞳には知性があった。


森護兵将が興味深そうに近付く。


アダプトロードも観察している。


情報解析。


結果が表示された。



岩牙守護将


戦闘適性:高


防御適性:極高


統率適性:中


成長適性:高



リリスが固まる。


「統率適性?」


防御型のはずだった。


壁役のはずだった。


なのに。


統率適性が存在する。


予測結果には無かった能力。


完全な予測外だった。


アルベルトは静かに呟く。


「異常成功か」


配合眼でも読めなかった結果。


研究資料にも載っていない。


だが。


一つだけ確かなことがあった。


忘れられた洞窟はまた新しい可能性へ足を踏み入れた。


そして。


ぷには満足そうに転がっていた。


リリスは確信する。


「絶対ぷにですね」


「かもしれないな」


「否定してください」


アルベルトは否定しなかった。


だから余計に不安だった。


配合祭りはまだ始まったばかり。


忘れられた洞窟の強化は。


ここからさらに加速していくのだった。

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