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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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第72話 足りない条件

ランキング戦まで二日。


忘れられた洞窟。


管理室。


アルベルトは朝から画面を見ていた。


珍しいことではない。


だが。


今日は少し違った。


理由は一つ。


――――――


追加進化候補存在


解放条件未達成


――――――


この表示だった。


昨夜から消えていない。


アダプトナイトゴブリンの進化候補。


隠された第三候補。


それが気になって仕方がなかった。


「寝ました?」


リリスが聞く。


「寝た」


「何時間です?」


「三時間」


「寝てませんね」


ほぼ予想通りだった。


――――――


アルベルトは記録を見返していた。


ゴブリン。


アダプトジェルゴブリン。


アダプトナイトゴブリン。


今までの進化履歴。


戦闘履歴。


取得データ。


全てだ。


「共通点がある」


アルベルトが呟く。


「何です?」


「適応だ」


リリスも頷く。


そこは間違いない。


アダプト系統の核。


敵を学ぶ。


環境へ適応する。


それが特徴だった。


――――――


アルベルトはさらに記録を追う。


そして。


ある事実に気付く。


「足りない」


「何がです?」


「経験」


沈黙。


リリスが首を傾げる。


経験?


レベルではない。


戦闘回数でもない。


――――――


その時。


画面が反応した。


文字が浮かぶ。


――――――


追加候補解析中


条件候補


異種戦闘データ不足


――――――


全員が固まる。


「戦闘データ?」


アダプトナイトゴブリンが聞く。


アルベルトは考える。


そして。


理解した。


――――――


「お前はゴブリンばかり戦っている」


沈黙。


確かにそうだった。


ゴブリン。


ホブゴブリン。


ホブゴブリンロード。


最近も岩牙の巣を見ている。


戦ってきた相手の大半がゴブリン系。


――――――


「つまり」


リリスが言う。


「もっと色々な相手と戦え?」


「そういうことだろう」


管理室が静かになる。


なるほど。


確かにアダプトらしい。


様々な敵へ適応する。


その経験が足りないのだ。


――――――


その時。


プニシャドウが跳ねた。


「ぷに!」


全員が見る。


プニシャドウは管理画面をぺちぺち叩く。


すると。


別の画面が開いた。


――――――


周辺魔物情報


更新


――――――


「あ」


リリスが声を上げる。


新しい情報だった。


――――――


北部湿地


出現確認


リザードマン


ポイズンフロッグ


ウォータースネーク


――――――


アルベルトの目が光る。


「なるほど」


「なるほどじゃありません」


リリスが即座に突っ込む。


嫌な予感しかしない。


――――――


一時間後。


忘れられた洞窟外周。


アダプトナイトゴブリン。


森護兵将。


シャドウリーパー。


プニシャドウ。


遠征部隊が編成されていた。


「本当に行くんですか」


「行く」


「昇格挑戦戦二日前ですよ?」


「だからだ」


アルベルトは即答する。


経験不足なら補う。


単純な話だった。


――――――


湿地帯。


初めて見る環境だった。


ぬかるみ。


水場。


視界を遮る葦。


洞窟とは全く違う。


そして。


最初に現れた。


リザードマン。


二足歩行の爬虫類。


槍を持っている。


「ほう」


アダプトナイトゴブリンが前へ出る。


戦闘開始。


――――――


十分後。


勝利。


リザードマン撃破。


アダプトナイトゴブリンは傷を負っていた。


だが。


表情は悪くない。


「強かった」


素直な感想だった。


ゴブリンとは違う。


槍術。


間合い。


戦い方。


全て違う。


――――――


その後も続く。


ポイズンフロッグ。


ウォータースネーク。


次々と戦う。


学ぶ。


適応する。


アダプトナイトゴブリンは確実に成長していた。


――――――


夕方。


忘れられた洞窟へ帰還。


全員疲れていた。


プニシャドウだけ元気だった。


「ぷに!」


何故か勝ち誇っている。


戦ったのは主に他のメンバーだった。


――――――


その時。


配合眼が反応した。


アルベルトが立ち上がる。


文字が浮かぶ。


全員が見る。


――――――


追加条件達成


進化候補更新


閲覧可能


――――――


沈黙。


そして。


リリスが額を押さえた。


「達成しちゃいました」


「達成したな」


アルベルトは満足そうだった。


アダプトナイトゴブリンは少し緊張する。


森護兵将も興味深そうに近付く。


シャドウリーパーは影から見下ろす。


プニシャドウは跳ねる。


「ぷに!」


――――――


第三の進化。


ついに条件が揃った。


ランキング戦まで二日。


昇格挑戦戦を目前に。


忘れられた洞窟最大の進化イベントが、ついに始まろうとしていた。

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