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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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第66話 大成功というロマン

防衛戦から二日後。


忘れられた洞窟管理室。


アルベルトは朝から配合画面を見ていた。


非常に真剣な顔で。


リリスは嫌な予感しかしなかった。


「主殿」


アダプトナイトゴブリンも警戒している。


「なんだ」


「配合」


「配合だな」


「危険」


「まだ何もしてないぞ」


しかし。


画面にはしっかり候補が表示されていた。


【樹猿戦士】


【紅森狼】


成功率78%


予測結果


【森護兵】


前衛型。


軍団向き。


かなり優秀。


「今回は安全ですね」


リリスも頷く。


珍しく高成功率。


戦力補強にもなる。


問題ない。


だが。


アルベルトの視線は別の場所にあった。


【プニシャドウ】


【樹猿戦士】


成功率22%


予測結果


???


「駄目です」


「却下」


二人が即答する。


「まだ何も」


「顔です」


「顔」


完全に読まれていた。


――――――


その時だった。


リリスがふと思い出したように言う。


「そういえば説明していませんでしたね」


「何をだ」


「配合結果です」


アルベルトが首を傾げる。


成功か失敗ではないのか。


するとリリスが説明を始めた。


「配合には四段階あります」


「ほう」


「失敗」


当然。


「成功」


これも当然。


「そして大成功」


アルベルトの目が少し光る。


嫌な光り方だった。


リリスは続ける。


「成功より上位の個体が誕生します」


「なるほど」


「ごく稀です」


アダプトナイトゴブリンも補足する。


「一流配合士でも数回」


「そんなものか」


「さらに」


リリスが言う。


「超成功があります」


沈黙。


アルベルトの目がさらに輝く。


リリスは頭を抱えた。


「その顔になると思いました」


「面白いな」


「面白くありません」


超成功。


伝説級。


多くの配合士が一生で一度見られるかどうか。


完全なロマンだった。


そして。


アルベルトはロマンが大好きだった。


――――――


話題を変えるように。


リリスが別の説明を始める。


「そういえばこちらも」


画面を開く。


ランキング一覧。


1000位から901位。


新人リーグ。


現在の忘れられた洞窟は954位。


「これ、冒険者も見られるのか?」


アルベルトが聞く。


「もちろんです」


「そうなのか」


「公開情報ですから」


実は街の冒険者ギルド。


学校。


酒場。


様々な場所にランキング掲示板がある。


冒険者は攻略先を選ぶ参考にする。


ダンジョンは知名度を上げるために競う。


そういう仕組みだった。


「だから最近、忘れられた洞窟の噂が増えているんです」


「なるほど」


アダプトナイトゴブリンも頷く。


「急成長」


「目立つ」


「挑戦増加」


「面倒だな」


「面倒です」


意見が一致した。


――――――


その頃。


街の冒険者ギルド。


掲示板の前。


数人の冒険者が集まっていた。


「また上がったぞ」


「忘れられた洞窟か」


「最近よく聞くな」


954位。


忘れられた洞窟。


防衛戦連勝。


急成長中。


少しずつ名前が知られ始めていた。


「軍隊みたいに動くらしい」


「幹部もいるとか」


「黒いスライムもいるぞ」


「最後だけ意味分からん」


全員が頷いた。


――――――


一方その頃。


当の黒いスライムは。


「ぷに!」


机の上で跳ねていた。


平和だった。


非常に。


しかし。


その瞬間。


ぽよん。


勢い余る。


机から落下。


ころころころ。


配合装置へ向かって転がっていく。


「危ない!」


リリスが叫ぶ。


「ぷにぃ!?」


プニシャドウも慌てる。


しかし止まらない。


ころころ。


ころころ。


そのまま配合陣の上を転がった。


青白い魔法陣が一瞬だけ輝く。


そして。


通知が表示された。


【幸運発動】


【特殊補正付与】


沈黙。


「……」


「……」


「……」


全員が固まる。


当の本人だけが。


「ぷに?」


首を傾げていた。


「今の何ですか?」


リリスが聞く。


「知らん」


アルベルトも初めて見た。


アダプトナイトゴブリンが画面を見る。


「主殿」


「なんだ」


「嫌な予感」


「奇遇だな」


「私もです」


リリスも同意した。


しかし。


もう配合準備は完了している。


アルベルトは視線を戻した。


【樹猿戦士】


×


【紅森狼】


成功率78%


【実行しますか?】


「やるか」


「賛成です」


「問題なし」


全員一致だった。


配合開始。


光が溢れる。


管理室全体が包まれる。


数十秒後。


眩い光の中。


新たな通知が浮かび上がった。


【特殊配合――】


リリスが目を見開く。


アダプトナイトゴブリンも固まる。


アルベルトも息を呑んだ。


そこに表示されていた文字は。


【大成功】


だった。


忘れられた洞窟史上初。


そして。


幸運の黒いスライムが転がった直後に起きた。


誰にも説明できない奇跡だった。

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