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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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第65話 注目ダンジョン

翌朝。


忘れられた洞窟管理室。


アルベルトは朝から画面を見つめていた。


珍しいことではない。


問題はその内容だった。


【注目ダンジョン認定候補】


達成率83%。


あと少し。


「面倒ですね」


リリスが言う。


「そうか?」


「目立ちます」


「別にいいだろう」


「普通のダンジョンなら困ります」


アダプトナイトゴブリンも頷く。


「主殿」


「なんだ」


「注目」


「そうだな」


「挑戦増加」


「ああ」


つまり。


防衛戦が増える。


面倒だった。


特にアダプトナイトゴブリンが。


書類仕事が増える。


部隊管理も増える。


胃が痛い。


まだ胃はないが。


気分的に。


――――――


その頃。


訓練場。


プニシャドウは新しい遊びを覚えていた。


「ぷに!」


ぴょん。


紅森狼の頭へ飛び乗る。


定位置だった。


最近お気に入りらしい。


紅森狼も諦めていた。


「ぷに!」


得意げ。


しかし。


次の瞬間。


勢い余って前へ落ちる。


ころころころころ。


地面を転がる。


「ぷにぃ……」


目を回していた。


リリスが吹き出す。


「相変わらずですね」


「相変わらずだな」


だが。


その時だった。


転がった先。


訓練用の魔力結晶箱。


どん。


箱が倒れる。


中身が散らばる。


「あ」


リリスが声を上げる。


プニシャドウも固まる。


まずい。


怒られる。


そう思った。


しかし。


通知が現れた。


【魔力結晶精製率上昇】


【資源生成量微増】


沈黙。


全員が画面を見る。


「……なんで?」


リリスが言う。


誰も分からない。


アダプトナイトゴブリンが確認する。


原因。


プニシャドウが転んだ場所。


そこに落ちていた魔力結晶。


偶然。


偶然重なった。


偶然圧縮された。


偶然品質が上がった。


「幸運」


アダプトナイトゴブリンが呟く。


プニシャドウの特性だった。


本当に発動している。


「主殿」


「なんだ」


「面白い」


リリスが振り向く。


「また感染してません?」


「事実」


否定しなかった。


――――――


昼。


新たな通知が現れる。


【防衛戦申請】


【挑戦者 968位《牙猿樹海》】


管理室が静まる。


また来た。


二度目の防衛戦だ。


リリスがため息を吐く。


「早いですね」


「注目され始めた」


アダプトナイトゴブリンが言う。


その通りだった。


急成長するダンジョン。


勝てば美味しい。


負けても失うものは少ない。


挑戦者から見れば格好の標的だった。


「受けるか」


「拒否できません」


「そうだったな」


ランキング戦だからだ。


避けられない。


――――――


戦場。


《牙猿樹海》。


敵は猿系魔物中心。


木の上を飛び回る。


機動力特化。


数も多い。


「厄介ですね」


リリスが言う。


しかし。


アダプトナイトゴブリンは冷静だった。


「問題なし」


指示を出す。


紅森狼隊前進。


フォレストウルフ展開。


シャドウウルフ遊撃。


部隊が動く。


以前なら乱戦。


今は違う。


完全に軍団だった。


そして。


今回は新戦力もいる。


紅森狼。


群れ強化。


連携補正。


部隊全体が強化される。


結果。


戦闘は予想以上に一方的だった。


敵猿部隊撃破。


ボス撃破。


ダンジョンコア破壊。


終了。


【防衛戦勝利】


【順位維持】


【連続防衛記録更新】


忘れられた洞窟はまた勝った。


――――――


帰還後。


アルベルトは戦利品を確認していた。


猿系魔物。


樹木系魔物。


登録完了。


そして。


当然のように。


配合候補一覧を開く。


「主殿」


「なんだ」


「顔」


「顔です」


二人同時だった。


完全に読まれている。


しかし。


今回は違った。


アルベルトが見ていたのは高成功率。


【樹猿戦士】


【紅森狼】


成功率78%


予測結果


【森護兵】


「高いですね」


「高い」


珍しく安全だった。


すると。


机の上。


プニシャドウが画面を見る。


「ぷに?」


小さな身体が震える。


その瞬間。


別の候補が表示された。


【プニシャドウ】


【樹猿戦士】


成功率22%


予測結果


???


沈黙。


「……」


「……」


「……」


アルベルトの目が輝く。


リリスが頭を抱える。


アダプトナイトゴブリンが天井を見上げる。


「主殿」


「なんだ」


「駄目です」


「却下です」


即座だった。


しかし。


アルベルトは画面を閉じない。


プニシャドウも画面を見ている。


「ぷに?」


何も分かっていない。


ただ。


なぜか嬉しそうだった。


そして。


誰も気付いていない。


幸運。


魔力吸収。


変異適性。


進化条件。


プニシャドウは少しずつ。


本当に少しずつ。


“ただ可愛いだけの魔物”ではなくなり始めていた。


その成長は。


忘れられた洞窟の未来を大きく変えることになる。

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