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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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第60話 ぷにぷにの新戦力

プニシャドウが誕生して三日。


忘れられた洞窟では一つの問題が発生していた。


「ぷに」


「……」


「ぷに!」


「……」


「ぷにぃ!」


「うるさいですね」


リリスが呟いた。


プニシャドウである。


とにかくアルベルトの後をついて回る。


管理室。


訓練場。


洞窟内。


どこへ行っても。


ぷにぷにぷにぷに。


ついてくる。


「懐いているな」


アルベルトは少し嬉しそうだった。


「主殿」


アダプトナイトゴブリンが真顔で言う。


「なんだ」


「戦力になっていない」


正論だった。


今のところ。


プニシャドウの戦績。


転ぶ。


ぶつかる。


迷子になる。


寝る。


以上。


「ぷに」


抗議するように身体を震わせる。


しかし威厳はゼロだった。


その時。


ナイトレイヴンウルフが近づく。


最近急成長中の若手エース候補。


プニシャドウを見る。


プニシャドウも見る。


数秒。


ナイトレイヴンウルフが鼻でつつく。


ぷに。


転がる。


ころころころ。


壁に激突。


「ぷにぃ……」


涙目だった。


リリスが吹き出す。


「弱すぎません?」


「弱いな」


「弱い」


満場一致だった。


しかし。


次の瞬間。


異変が起きる。


転がった先。


床に落ちていた魔力結晶の欠片。


プニシャドウが食べた。


ぱく。


身体が少し膨らむ。


また食べる。


さらに膨らむ。


「また成長しましたね」


「成長しているな」


この三日で分かったこと。


プニシャドウは異常な速度で魔力を吸収する。


しかも。


ほとんど無駄がない。


【魔力吸収】


【吸収効率上昇】


通知が流れる。


「希少能力かもしれません」


リリスが分析する。


アダプトナイトゴブリンも頷く。


「成長特化」


「だろうな」


アルベルトは興味深そうに眺める。


プニシャドウ。


今は弱い。


しかし将来性はある。


問題は。


「ぷに!」


アルベルトの膝へ飛び乗る。


「……」


「……」


「……」


仕事をしろ。


全員そう思った。


その頃。


忘れられた洞窟の外では。


少しずつ噂が広がっていた。


「聞いたか?」


「忘れられた洞窟か?」


冒険者ギルド。


新人達が話している。


「あそこ魔物が隊列組むらしいぞ」


「本当かよ」


「指揮官がいるらしい」


「ダンジョンで?」


信じられない。


普通のダンジョンではあり得ない。


しかし。


実際に見た冒険者達が証言している。


しかも。


敗北して帰ってきている。


954位。


忘れられた洞窟。


最近になって急激に知名度を上げていた。


――――――


一方その頃。


忘れられた洞窟。


アダプトナイトゴブリンが部隊訓練を行っていた。


「隊列維持」


ウルフ達が動く。


以前より遥かに統率されている。


軍団育成型。


その評価は伊達ではなかった。


しかし。


訓練場の端。


ぷに。


ぷに。


ぷに。


プニシャドウが必死についていこうとしていた。


足が短い。


いや足すらない。


移動が遅い。


「ぷにぃ!」


置いていかれる。


可哀想だった。


アダプトナイトゴブリンがため息を吐く。


「主殿」


「なんだ」


「戦力外」


「まだ決めるのは早い」


「希望的観測」


「そうかもしれん」


リリスは思った。


この会話。


少し前なら自分だけだった。


今は違う。


アダプトナイトゴブリンもいる。


最近では。


「主殿」


「なんだ」


「成功率三十%」


「高いな」


「低い」


みたいな会話も増えた。


良い傾向だ。


たぶん。


その時だった。


訓練中のフォレストウルフが転ぶ。


勢い余って崖から落ちそうになる。


危険。


誰もがそう思った。


しかし。


ぷに。


黒い影が伸びる。


プニシャドウだった。


身体が平たく広がる。


影のように。


フォレストウルフを受け止めた。


落下阻止。


全員が固まる。


「今の……」


リリスが呟く。


プニシャドウも固まっていた。


自分でも驚いているらしい。


通知が現れる。


【影変形を習得】


【新能力獲得】


「おお」


アルベルトの目が輝く。


アダプトナイトゴブリンも初めて興味を示した。


「主殿」


「なんだ」


「少しだけ訂正」


「ほう」


「戦力外候補から保留へ変更」


リリスが吹き出した。


プニシャドウは何も分かっていない。


ただ。


褒められたと思ったのだろう。


身体をぷるぷる震わせる。


「ぷにー!」


得意げだった。


そして。


誰も気付いていなかった。


影変形。


魔力吸収。


無限に近い成長性。


この小さな失敗作が。


忘れられた洞窟の常識を、また一つ壊そうとしていることに。

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