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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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第58話 幹部会議

昇格挑戦戦から三日後。


忘れられた洞窟。


管理室。


アルベルトは上機嫌だった。


理由は簡単。


登録魔物が増えた。


配合候補が増えた。


順位も上がった。


そして何より。


新人リーグ卒業条件を達成した。


今の忘れられた洞窟は絶好調だった。


「嫌な予感しかしません」


リリスが呟く。


「そうか?」


「その顔は絶対に何かやります」


「失礼だな」


否定になっていない。


その時だった。


管理室の扉が開く。


入ってきたのはアダプトナイトゴブリン。


最近になって知能がさらに向上し、簡単な会話なら成立するようになっていた。


アルベルトは振り向く。


「どうした」


アダプトナイトゴブリンは一礼した。


「主殿」


リリスが少し驚く。


前より発音が自然になっている。


進化の影響だろう。


「報告」


「聞こう」


「戦力再編完了」


アダプトナイトゴブリンは資料を差し出した。


リリスが目を見開く。


「作ったんですか?」


「必要」


実際に整理されていた。


第一戦闘隊。


鋼影狼隊。


第二戦闘隊。


ジェルウルフ隊。


第三戦闘隊。


フォレストウルフ隊。


遊撃隊。


シャドウウルフ隊。


そして。


幹部直属部隊。


アイアンシャドウウルフ。


「凄いですね」


「有能だな」


アダプトナイトゴブリンは少しだけ胸を張った。


しかし次の瞬間。


資料の端に気付く。


アルベルトの手元。


開いている画面。


配合候補一覧。


沈黙。


アダプトナイトゴブリン。


リリス。


二人が同時に見る。


そして。


「主殿」


「なんだ」


「成功率二十三%」


「そうだな」


「却下」


即答だった。


リリスが吹き出す。


「早いですね」


「明らか」


アダプトナイトゴブリンは真面目な顔で続ける。


「戦力不足」


「そんなにか?」


「前衛不足」


「そうだな」


「主力不足」


「そうだな」


「成功率二十三%」


「低いな」


「却下」


リリスが頷く。


完全に正論だった。


しかし。


アルベルトも負けない。


「成功したら強いぞ」


「失敗したら消失」


「うむ」


「却下」


「却下です」


二対一だった。


その頃。


洞窟の外では別の動きが起きていた。


――――――


「また上がってるぞ」


酒場の片隅。


新人冒険者達がランキング表を見ていた。


「忘れられた洞窟?」


「最近よく聞くな」


「特殊配合型らしい」


「何それ」


「知らん」


誰も詳しくは知らない。


ただ。


急激に順位を上げている。


それだけは有名だった。


「954位か」


「早くないか?」


普通は何年もかかる。


それを数か月で突破している。


少しずつ。


忘れられた洞窟の名は広がり始めていた。


――――――


一方その頃。


忘れられた洞窟。


管理室。


アルベルトは別の画面を見ていた。


新しい配合候補。


その中に。


妙なものがある。


【ジェルスライム】


【シャドウウルフ】


成功率19%


予測結果


???


「駄目です」


リリスが即答する。


「却下」


アダプトナイトゴブリンも即答する。


「まだ何も言ってない」


「顔です」


「顔」


二人の連携が完璧だった。


しかし。


アルベルトは気になる。


成功率は低い。


だが未知。


それが気になる。


非常に気になる。


「研究価値はある」


「危険です」


「損失が出る」


「だが」


アルベルトが言いかけた時。


管理室の外で爆発音が響いた。


ドォン!


三人が固まる。


慌てて外へ出る。


そこには。


ナイトレイヴンウルフがいた。


口から黒い魔力を吐いている。


そして。


洞窟の壁が吹き飛んでいた。


沈黙。


「……」


「……」


「……」


ナイトレイヴンウルフは尻尾を振っていた。


褒めてほしそうだった。


リリスが頭を抱える。


アダプトナイトゴブリンも固まっている。


そして。


初めて。


彼は深いため息を吐いた。


「主殿」


「なんだ」


「問題増加」


「そうだな」


「却下できない」


リリスが吹き出した。


その瞬間だった。


通知が現れる。


【ナイトレイヴンウルフ】


【成長率60%到達】


【新能力獲得】


【影砲】


三人が画面を見る。


そして。


壁を見る。


もう一度画面を見る。


原因は明白だった。


「覚えたてですね」


「覚えたてだな」


「危険」


アダプトナイトゴブリンが真顔で言う。


その意見には全員賛成だった。


だが。


アルベルトの目は別の意味で輝いていた。


新能力。


新進化。


新配合。


忘れられた洞窟は今、急激な成長期に入っている。


そして。


誰も気付いていなかった。


この数日後。


アルベルトが実行する”成功率19%の配合”が、忘れられた洞窟の未来を大きく変えることになるとは。

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