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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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第48話 次の壁

ランキング戦まで十二日。


忘れられた洞窟。


管理室。


アルベルトは朝から管理画面を眺めていた。


現在順位。


【970位】


998位から始まった忘れられた洞窟は着実に順位を上げている。


普通なら喜ぶべき状況だった。


だが。


アルベルトは別の部分を見ていた。


【新人リーグ】


その文字だった。


「どうしたんです?」


リリスが聞く。


「気になった」


「何がです?」


アルベルトは画面を指差した。


「新人リーグ」


「ああ」


リリスは苦笑した。


確かに説明していなかった。


「卒業式では93位とか100位とかのダンジョンが出ていただろう」


「出ていましたね」


「なのに今は970位だ900位だと言っている」


「その話ですか」


リリスは管理画面を操作する。


学園資料が表示された。


そこには有名ダンジョンの名前が並んでいる。


第93位《白銀渓谷》


第127位《蒼海迷宮》


第188位《紅蓮鉱山》


どれも卒業式で聞いた名前だった。


「これは歴代評価順位です」


「歴代評価?」


「簡単に言えば名門ダンジョンランキングですね」


長年の実績。


卒業生の人気。


歴史。


功績。


そういったものを総合して評価している。


「卒業式で発表されるのはこっちです」


「なるほど」


「そして今見ているのは現役順位」


画面が切り替わる。


【970位】


忘れられた洞窟。


現在順位。


「こっちは現在の強さです」


「毎月変動するのか」


「します」


リリスは頷いた。


「だから白銀渓谷が現役93位とは限りません」


「違うのか」


「違います」


現役150位かもしれない。


現役50位かもしれない。


それは現在のダンジョンマスター次第だった。


アルベルトは納得する。


「名門校ランキングと現在成績ランキングみたいなものか」


「その認識で大丈夫です」


珍しく説明が一発で通った。


――――――


さらに画面が切り替わる。


【1000位~901位】


新人リーグ


【900位~701位】


下級リーグ


【700位~401位】


中級リーグ


【400位~101位】


上級リーグ


【100位~11位】


最上級リーグ


【10位以内】


伝説級


「これがリーグです」


「順位帯か」


「はい」


ダンジョンマスターの経験ではない。


現在順位による区分。


それだけだった。


「つまり今の俺達は」


「新人リーグ所属です」


「弱いな」


「弱いですね」


即答だった。


――――――


その時。


管理画面が光った。


新しい通知。


【昇格挑戦戦 参加条件達成】


沈黙。


「何だこれは」


リリスが固まる。


「え?」


「知っているのか」


「知っていますけど……」


様子がおかしい。


「普通こんなに早く出ません」


「そうなのか」


「そうなんです」


アダプトジェルゴブリンも画面を見る。


そして頷いた。


「異常」


「そこまでか」


「そこまで」


二人が揃って断言した。


――――――


リリスは説明を始める。


「ランキング戦には二種類あります」


「ほう」


「一つは定期ランキング戦」


毎月開催される。


全ダンジョン共通。


最も一般的なものだった。


「もう一つが昇格挑戦戦です」


「違いは?」


「条件を満たしたダンジョンだけ挑戦できます」


アルベルトは興味を持つ。


「勝てば?」


「順位が大きく上がります」


魅力的だった。


非常に。


「その顔やめてください」


「何も言っていない」


「分かります」


リリスは断言した。


挑戦する気満々である。


――――――


話題を変えるように。


リリスが別の画面を開いた。


「それと最近順位が上がっている理由ですが」


「理由?」


「冒険者です」


映像が表示される。


忘れられた洞窟入口。


数人の冒険者がいる。


少し前まで見なかった光景だった。


「増えたな」


「順位が上がりましたから」


ダンジョンには価値がある。


珍しい魔物。


素材。


宝箱。


攻略実績。


順位が上がれば注目も集まる。


冒険者も来る。


――――――


その時。


一人の冒険者が石を取り出した。


淡く光る石。


「召喚石か」


アルベルトが呟く。


「はい」


リリスが頷く。


「一般的な冒険者の主力ですね」


石が砕かれる。


光が広がる。


そして。


巨大な熊が現れた。


【アースベア】


分厚い筋肉。


巨大な体格。


一目で強いと分かる。


「強そうだな」


「人気の召喚獣です」


さらに別の冒険者。


召喚石を砕く。


今度は巨大な蜥蜴。


金属質の鱗。


鋭い爪。


【アイアンリザード】


「硬そうだな」


「実際硬いです」


さらに。


三人目。


黒い鳥が現れる。


翼を広げる。


鋭い眼光。


【ダーククロウ】


「飛ぶのか」


「飛びます」


アルベルトは興味深そうに見ていた。


リリスは嫌な予感がした。


非常に。


――――――


「配合士は珍しいんですよ」


リリスが説明する。


「普通は召喚石を使います」


召喚石で魔物を呼ぶ。


育成する。


戦わせる。


それが一般的。


アルベルトのように配合を繰り返して新種を作る方が少数派だった。


「なるほど」


アルベルトは頷く。


しかし。


視線は別の場所に向いていた。


アースベア。


アイアンリザード。


ダーククロウ。


三体を交互に見ている。


「主殿」


アダプトジェルゴブリンが言う。


「なんだ」


「素材を見る目」


沈黙。


リリスが頭を抱えた。


やはりだった。


「配合のこと考えてますよね?」


「少し」


「少しじゃありません」


否定しなかった。


――――――


その日の午後。


忘れられた洞窟では訓練が続いていた。


シャドウリーパーが影を駆ける。


アダプトジェルゴブリンが指示を飛ばす。


スライム達が資源を運ぶ。


順調だ。


だが。


足りない。


アルベルトは感じていた。


970位。


ここまでは来た。


しかし。


ここから先は違う。


960位台。


950位台。


新人リーグ上位。


強敵ばかり。


「今の戦力だと厳しいですね」


リリスが言う。


「同意」


アダプトジェルゴブリンも頷く。


「戦力不足」


短い。


だが正しい。


その時だった。


管理画面が光る。


新しい通知。


【新規配合候補解放】


アルベルトの視線が止まる。


次の瞬間。


新たな項目が表示された。


【複合配合】


沈黙。


リリスが固まる。


アダプトジェルゴブリンも固まる。


「何だこれは」


アルベルトが呟く。


リリスがゆっくり答えた。


「高位配合技術です」


「高位」


「三体以上を素材にします」


アルベルトの目が輝いた。


先ほど見た。


アースベア。


アイアンリザード。


ダーククロウ。


自然と頭に浮かぶ。


リリスは察した。


「やめてください」


「まだ何も言っていない」


「言う前に分かります」


アダプトジェルゴブリンも頷く。


「危険」


満場一致だった。


だが。


アルベルトは画面から目を離さない。


新人リーグ上位。


昇格挑戦戦。


そして。


複合配合。


忘れられた洞窟は再び大きく動き出そうとしていた。


ランキング戦まで十一日。

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