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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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第47話 鋼影狼

アルベルトは迷わなかった。


【ハイフォレストウルフ × アイアンウルフ】


成功率62%。


未知種。


十分だ。


「基準がおかしいんですよね」


リリスが呆れたように言う。


「六割ある」


「失敗率四割あります」


「成功の方が高い」


「そういう問題じゃありません」


だがアルベルトは既に決めていた。


DPを投入する。


魔法陣が展開される。


銀色の光と緑色の光が混ざり合い、二体の狼が中央へ引き寄せられていく。


配合開始。


光が膨れ上がる。


リリスも思わず身を乗り出した。


何だかんだ言って気になる。


数秒後。


光が弾けた。


そして現れたのは――


「おお」


アルベルトが珍しく素直に感心した。


リリスも目を見開く。


そこに立っていたのは、黒銀色の毛並みを持つ大型の狼だった。


普通のフォレストウルフより一回り大きい。


アイアンウルフの金属質な装甲を持ちながら、無駄のないしなやかな体躯をしている。


鋼影狼こうえいろう


レア度:高


適性:奇襲・前衛


能力:鋼毛皮、影歩き


「成功しましたね」


「ああ」


「しかも当たりです」


「ああ」


珍しく二人の意見が一致した。


能力を確認する。


鋼毛皮。


防御力上昇。


影歩き。


短距離の影移動。


「強いですね」


「強いな」


単純に強かった。


今までの配合結果の中でも上位に入る。


少なくともフォレストウルフやアイアンウルフを大きく超えている。


「量産したい」


アルベルトが呟く。


「始まりましたね」


リリスは遠い目をした。


成功した途端に量産を考え始める。


この男は本当に変わらない。


しかし次の瞬間。


新たな通知が表示された。


【新規配合達成】


【特殊配合経験値獲得】


【配合士ランク上昇】


「ランク?」


アルベルトが眉を上げる。


これも初めて見る表示だった。


詳細を開く。


【配合士ランク:2】


【新機能解放】


【複合配合解放】


沈黙。


リリスが嫌な顔をした。


「嫌な予感しかしません」


「俺もだ」


「楽しそうですね」


「少しな」


複合配合。


名前からして危険だった。


説明を読む。


【三体以上の魔物を素材として配合可能】


リリスが頭を抱えた。


「解放しちゃいましたか」


「解放されたな」


「絶対ろくなことになりません」


実際、アルベルトも同意見だった。


ろくなことにはならないだろう。


だが。


面白そうではある。


「顔に出てます」


「そうか」


「隠してください」


その時だった。


洞窟入口付近で警戒反応。


アルベルトとリリスが同時に振り向く。


また冒険者か。


そう思ったが違った。


配下のフォレストウルフが慌てた様子で駆け込んでくる。


何かを発見したらしい。


アルベルトは映像を確認する。


そして少し驚いた。


「これは……」


「どうしました?」


リリスも画面を見る。


そこに映っていたのは洞窟ではなかった。


森だった。


忘れられた洞窟の周辺地域。


これまで探索していなかったエリア。


そして。


そこにいた。


巨大な昆虫型魔物。


鎌を持つ異形。


さらに周囲には大量の同種個体。


「マンティス系……」


リリスが呟く。


アルベルトも頷いた。


見間違いではない。


数日前に見たランキング情報。


969位の支配種族。


マンティス系魔物だった。


「近いですね」


「ああ」


「近すぎません?」


「近いな」


つまり。


969位のダンジョン勢力圏が、この近くまで広がっているということだ。


今まではランキングだけの存在だった。


だが違う。


実際に隣にいる。


競争相手が。


リリスが真面目な表情になる。


「どうします?」


アルベルトは少し考えた。


配合。


戦力強化。


ランキング戦。


色々ある。


だが。


まず優先すべきことは一つだった。


「偵察だな」


リリスが安堵する。


珍しくまともな判断だった。


いきなり突撃ではない。


「良かったです」


「何がだ」


「戦いを選ばなくて」


アルベルトは不思議そうな顔をした。


そして言う。


「相手を知らないと配合方針が決まらない」


リリスは前言を撤回した。


やはり目的は研究だった。


忘れられた洞窟970位。


鋼影狼という新戦力を手に入れたアルベルトは、ついに自分より上位のダンジョンへ目を向け始める。

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