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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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第44話 召喚石と配合士

970位への昇格から三日後。


忘れられた洞窟は久しぶりに平和だった。


冒険者の襲撃もない。


ランキング戦もない。


配下達も順調に成長している。


そして。


アルベルトは暇になった。


「嫌な予感しかしません」


リリスが即座に言った。


「なぜだ」


「アルベルトさんが暇だからです」


「失礼だな」


「今まで暇になった時にろくなことしてません」


反論できなかった。



そんな中、リリスが新たな情報を整理していた。


上位管理精霊への進化後、処理できる情報量は大幅に増えている。


「そういえば」


「何だ」


「970位到達で学園側の公開情報も増えました」


「ほう」


アルベルトが興味を示す。



表示されたのはランキング上位者の簡易情報だった。


もちろん詳細までは分からない。


だが戦力傾向くらいは見える。



970位台。


960位台。


950位台。


一覧を眺める。


そして。


アルベルトは気付いた。


「似ているな」


「何がです?」


「戦力構成だ」



リリスも確認する。


確かにそうだった。


ウルフ系中心。


ゴブリン系中心。


アンデッド系中心。


似たような構成が多い。



「配合してないからですね」


「なるほど」


一般的なダンジョンマスターは召喚石で戦力を集める。


育成する。


進化させる。


それが普通だ。



一方でアルベルトは。


スライムと狼を混ぜる。


影を混ぜる。


新種を作る。


常識から外れている。



「他の人は大変ですね」


リリスが言った。


「そうか?」


「召喚石ですよ」



召喚石。


この世界で最も一般的な戦力獲得手段。


魔物が封印された結晶。


砕けば魔物を召喚できる。



ただし。


何が出るかは運も絡む。



「そういえば」


アルベルトが首を傾げる。


「召喚石を買ったことがないな」


「買う必要ありませんからね」


リリスが呆れる。



一般生徒なら。


良い召喚石を買うために資金を貯める。


レア召喚石を手に入れて喜ぶ。


当たりを引いて歓喜する。



しかしアルベルトは。


登録したら召喚できる。


しかも配合までできる。



「ずるいですね」


「便利だな」


「普通の人が聞いたら泣きますよ」



その時だった。


入口付近で警戒反応。


冒険者。


しかも複数。



「来ました」


「早いな」


映像を確認する。



そこにいたのは四人組。


中級冒険者。


さらに。


リーダーらしき男が取り出した物を見て、リリスが声を上げた。


「召喚石です!」



男が結晶を砕く。


光が広がる。


そして。


現れた。



アイアンウルフ。



金属質の毛並みを持つ狼。


明らかに普通のフォレストウルフより強そうだった。



「なるほど」


アルベルトが興味深そうに眺める。


「こういうのが出るのか」



さらに二個目。


三個目。



アイアンウルフ。


ストーンゴーレム。


ブラッドバット。



次々に魔物が現れる。



「豪華ですね」


「高そうだな」


「かなり高いです」



リリスが情報を確認する。


「全部レア召喚石です」


「へぇ」


「へぇじゃありません」



普通なら驚くところだった。


しかし。


アルベルトは別の部分に注目していた。



アイアンウルフ。


ストーンゴーレム。


ブラッドバット。



配合候補。


表示可能。



「駄目です」


リリスが即答する。



「まだ何も言ってない」


「顔です」



「登録したい」


「言いましたね」



リリスは頭を抱えた。



しかし。


アルベルトの言葉は正しかった。


あれらは未知の魔物。


忘れられた洞窟には存在しない。


つまり。


新たな配合素材だ。



「倒すか」


「その言い方はやめてください」


「登録したい」


「もっと駄目です」



二人がそんなやり取りをしている間にも、冒険者達は奥へ進んでくる。



アイアンウルフ。


ストーンゴーレム。


ブラッドバット。


そして中級冒険者四人。



今までで最も強力な侵入者だった。



「どうします?」


リリスが尋ねる。



アルベルトは少し考える。


そして。


笑った。



「新素材確保だな」



「研究者の発想なんですよ、それ」



戦力差は小さくない。


だが。


アルベルトの目には既に新しい配合候補しか映っていなかった。



忘れられた洞窟970位。


次の成長は、ランキング戦ではなく。


新たな魔物との出会いから始まろうとしていた。

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