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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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42/223

第42話 森林戦

特殊昇格戦まで七日。


忘れられた洞窟は着実に戦力を増やしていた。


冒険者も増えた。


DPも増えた。


配合も成功した。


順調と言えば順調だった。


だが。


970位という壁は、今までとは別格だった。


◇


その日の朝。


ダンジョンコアが光る。


新しい通知。


⸻


特殊昇格戦情報公開


⸻


アルベルトとリリスが同時に確認する。


⸻


対戦相手


970位


翠緑の樹海


支配魔物


フォレストウルフキング


⸻


戦場地形


森林地帯


⸻


特殊効果


獣系魔物能力微上昇


⸻


沈黙。


数秒後。


リリスが言った。


「最悪ですね」


「最悪だな」


アルベルトも同意した。


◇


森林。


狼。


獣系強化。


完全に相手の庭だった。


「嫌がらせですか?」


「たぶん違う」


「本当ですか?」


「たぶん」


リリスは信用しなかった。


◇


しかし。


嘆いても仕方ない。


アルベルトはすぐに思考を切り替える。


「確認するぞ」


「何をです?」


「戦力だ」


◇


現在戦力。


⸻


シャドウリーパー ×1


シャドウウルフ ×1


ジェルウルフ ×1


シャドウスライム ×1


ビッグスライム ×2


フォレストウルフ ×7


スライム ×12


⸻


リリスが腕を組む。


「改めて見ると変な集団ですね」


「そうか?」


「狼とスライムが半々です」


「確かに」


◇


ジェルウルフがぷるぷるしている。


フォレストウルフが距離を取っている。


仲が良いのか悪いのか分からない。


◇


「相手は?」


リリスが聞く。


アルベルトは情報を表示する。


⸻


フォレストウルフ ×39


ハイフォレストウルフ ×8


フォレストウルフキング ×1


⸻


「多い」


「多いな」


「かなり多い」


「かなり多いな」


二人は現実逃避をやめた。


◇


問題はフォレストウルフキングだった。


群れを率いる王。


そして単体でも強い。


ホブゴブリンロードとは違う。


指揮官でありながら前線にも立つ。


厄介極まりない。


◇


「暗殺します?」


リリスが言う。


「できればな」


「できないんですね」


「ああ」


アルベルトは素直に認めた。


◇


森林地帯。


視界不良。


相手も狼。


シャドウリーパーの奇襲が通る保証はない。


むしろ返り討ちの可能性もある。


◇


「珍しいですね」


「何がだ」


「アルベルトさんが慎重です」


「強いからな」


◇


リリスは少し笑う。


実はこれが珍しい。


今までのアルベルトは、


配合する。


突っ込む。


勝つ。


だった。


◇


だが。


今回だけは違う。


970位。


特殊昇格戦。


初めて本格的な壁に当たっている。


◇


その後。


二人は何日も作戦を練った。


敵の特徴。


群れの行動。


地形。


能力。


徹底的に分析する。


◇


そんな中。


アルベルトは一つの結論に辿り着いた。


「勝負はキングじゃないな」


「え?」


リリスが顔を上げる。


◇


「キングを倒せば勝ちじゃない」


「そうですね」


「問題は群れだ」


◇


フォレストウルフキングを倒しても。


狼三十九体。


ハイフォレストウルフ八体。


それらは残る。


◇


「つまり?」


「数を減らす」


アルベルトが答える。


◇


リリスは目を瞬かせる。


「普通ですね」


「普通だな」


「もっと変な作戦かと思いました」


「失礼だな」


「毎回変な作戦でしょう」


反論できなかった。


◇


さらに三日。


戦力強化。


配置訓練。


連携確認。


やれることは全てやった。


◇


そして。


特殊昇格戦前日。


ダンジョンコアが光る。


⸻


特殊昇格戦


開始まで24時間


⸻


◇


その夜。


リリスがふと尋ねる。


「勝てそうですか?」


静かな広間。


アルベルトは少し考える。


◇


「分からん」


珍しい答えだった。


◇


「おお」


リリスが驚く。


「そんなにですか」


「ああ」


◇


勝てるかもしれない。


負けるかもしれない。


正直半々だった。


◇


だが。


アルベルトは不思議と楽しそうだった。


「研究者ですね」


「何がだ」


「強敵が好きなんですよ」


「否定はしない」


◇


翌朝。


ダンジョンコアが輝き始める。


ついにその時が来た。


⸻


特殊昇格戦


開始


⸻


白い光。


転移。


視界が塗り潰される。


◇


そして。


次の瞬間。


景色が変わった。


◇


森。


巨大な木々。


深い茂み。


倒木。


岩場。


どこを見ても森林だった。


◇


対面。


狼の群れ。


数十体。


圧倒的な数。


◇


そして中央。


銀色の巨体。


フォレストウルフキング。


◇


ガオオオオオオオオ!!


咆哮が響く。


森全体が震えた。


◇


リリスが顔を引きつらせる。


「大きいですね」


「ああ」


「思ったより大きいですね」


「ああ」


「帰ります?」


「帰れない」


「ですよね」


◇


戦闘開始まで十秒。


カウントダウンが始まる。


◇


10


9


8


◇


アルベルトは周囲を観察する。


地形。


敵配置。


逃げ道。


障害物。


全て記憶する。


◇


5


4


3


◇


リリスが小さく笑った。


「いつもの顔ですね」


「そうか?」


「何か思い付いた顔です」


◇


アルベルトの口元が少し上がる。


否定しない。


つまり当たりだった。


◇


2


1


0


⸻


戦闘開始


⸻


狼の群れが一斉に駆け出す。


970位。


翠緑の樹海。


フォレストウルフキング。


忘れられた洞窟最大の戦いが幕を開けた。

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