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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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第42話 森林戦

特殊昇格戦まで七日。


忘れられた洞窟は着実に戦力を増やしていた。


冒険者も増えた。


DPも増えた。


配合も成功した。


順調と言えば順調だった。


だが。


970位という壁は、今までとは別格だった。



その日の朝。


ダンジョンコアが光る。


新しい通知。



特殊昇格戦情報公開



アルベルトとリリスが同時に確認する。



対戦相手


970位


翠緑の樹海


支配魔物


フォレストウルフキング



戦場地形


森林地帯



特殊効果


獣系魔物能力微上昇



沈黙。


数秒後。


リリスが言った。


「最悪ですね」


「最悪だな」


アルベルトも同意した。



森林。


狼。


獣系強化。


完全に相手の庭だった。


「嫌がらせですか?」


「たぶん違う」


「本当ですか?」


「たぶん」


リリスは信用しなかった。



しかし。


嘆いても仕方ない。


アルベルトはすぐに思考を切り替える。


「確認するぞ」


「何をです?」


「戦力だ」



現在戦力。



シャドウリーパー ×1


シャドウウルフ ×1


ジェルウルフ ×1


シャドウスライム ×1


ビッグスライム ×2


フォレストウルフ ×7


スライム ×12



リリスが腕を組む。


「改めて見ると変な集団ですね」


「そうか?」


「狼とスライムが半々です」


「確かに」



ジェルウルフがぷるぷるしている。


フォレストウルフが距離を取っている。


仲が良いのか悪いのか分からない。



「相手は?」


リリスが聞く。


アルベルトは情報を表示する。



フォレストウルフ ×39


ハイフォレストウルフ ×8


フォレストウルフキング ×1



「多い」


「多いな」


「かなり多い」


「かなり多いな」


二人は現実逃避をやめた。



問題はフォレストウルフキングだった。


群れを率いる王。


そして単体でも強い。


ホブゴブリンロードとは違う。


指揮官でありながら前線にも立つ。


厄介極まりない。



「暗殺します?」


リリスが言う。


「できればな」


「できないんですね」


「ああ」


アルベルトは素直に認めた。



森林地帯。


視界不良。


相手も狼。


シャドウリーパーの奇襲が通る保証はない。


むしろ返り討ちの可能性もある。



「珍しいですね」


「何がだ」


「アルベルトさんが慎重です」


「強いからな」



リリスは少し笑う。


実はこれが珍しい。


今までのアルベルトは、


配合する。


突っ込む。


勝つ。


だった。



だが。


今回だけは違う。


970位。


特殊昇格戦。


初めて本格的な壁に当たっている。



その後。


二人は何日も作戦を練った。


敵の特徴。


群れの行動。


地形。


能力。


徹底的に分析する。



そんな中。


アルベルトは一つの結論に辿り着いた。


「勝負はキングじゃないな」


「え?」


リリスが顔を上げる。



「キングを倒せば勝ちじゃない」


「そうですね」


「問題は群れだ」



フォレストウルフキングを倒しても。


狼三十九体。


ハイフォレストウルフ八体。


それらは残る。



「つまり?」


「数を減らす」


アルベルトが答える。



リリスは目を瞬かせる。


「普通ですね」


「普通だな」


「もっと変な作戦かと思いました」


「失礼だな」


「毎回変な作戦でしょう」


反論できなかった。



さらに三日。


戦力強化。


配置訓練。


連携確認。


やれることは全てやった。



そして。


特殊昇格戦前日。


ダンジョンコアが光る。



特殊昇格戦


開始まで24時間




その夜。


リリスがふと尋ねる。


「勝てそうですか?」


静かな広間。


アルベルトは少し考える。



「分からん」


珍しい答えだった。



「おお」


リリスが驚く。


「そんなにですか」


「ああ」



勝てるかもしれない。


負けるかもしれない。


正直半々だった。



だが。


アルベルトは不思議と楽しそうだった。


「研究者ですね」


「何がだ」


「強敵が好きなんですよ」


「否定はしない」



翌朝。


ダンジョンコアが輝き始める。


ついにその時が来た。



特殊昇格戦


開始



白い光。


転移。


視界が塗り潰される。



そして。


次の瞬間。


景色が変わった。



森。


巨大な木々。


深い茂み。


倒木。


岩場。


どこを見ても森林だった。



対面。


狼の群れ。


数十体。


圧倒的な数。



そして中央。


銀色の巨体。


フォレストウルフキング。



ガオオオオオオオオ!!


咆哮が響く。


森全体が震えた。



リリスが顔を引きつらせる。


「大きいですね」


「ああ」


「思ったより大きいですね」


「ああ」


「帰ります?」


「帰れない」


「ですよね」



戦闘開始まで十秒。


カウントダウンが始まる。



10


9


8



アルベルトは周囲を観察する。


地形。


敵配置。


逃げ道。


障害物。


全て記憶する。



5


4


3



リリスが小さく笑った。


「いつもの顔ですね」


「そうか?」


「何か思い付いた顔です」



アルベルトの口元が少し上がる。


否定しない。


つまり当たりだった。



2


1


0



戦闘開始



狼の群れが一斉に駆け出す。


970位。


翠緑の樹海。


フォレストウルフキング。


忘れられた洞窟最大の戦いが幕を開けた。

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