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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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第40話 初めての来訪者

970位への特殊昇格戦。


その準備を進めていたある日のことだった。


忘れられた洞窟のダンジョンコアが強く光る。


アルベルトが振り返る。


リリスも気付いた。


通知だった。



特殊配合型認定完了


公開情報更新



さらに続く。



ダンジョン注目度上昇


冒険者来訪率上昇



「来たか」


アルベルトが呟く。


「何がです?」


「本業だ」



リリスは少し考える。


そして苦笑した。


「そういえばダンジョンって冒険者を迎え撃つ施設でしたね」


「そうだな」


「ランキング戦ばかりで忘れてました」


「俺も少し忘れていた」


二人は顔を見合わせた。


最下位時代。


誰も来なかった。


だからランキング戦ばかりだった。


しかし今は違う。


特殊配合型認定。


未知の魔物。


二連続格上撃破。


少しずつ忘れられた洞窟の名前が広まり始めている。



昼過ぎ。


入口付近のスライム達が騒ぎ始めた。


ぷるぷる。


ぷるぷる。


警戒の合図だった。


「来ましたね」


「ああ」


アルベルトは立ち上がる。


忘れられた洞窟、初の来訪者である。



洞窟入口。


三人の若い冒険者が慎重に進んでいた。


剣士。


槍使い。


魔術師。


典型的な新人パーティだった。


アルベルトはコア越しに確認する。



冒険者パーティ


総人数:3


脅威度:低



「新人ですね」


「ああ」


リリスも頷く。


まだ荒削りだ。


装備も安物。


動きも硬い。


おそらく学園都市周辺で依頼を受け始めたばかりなのだろう。



三人は話していた。


「ここで合ってるよな?」


「ああ」


「特殊配合型のダンジョン」


「変な魔物がいるらしいぞ」


アルベルトは少し驚く。


もう噂が広まっている。


特殊配合型認定の影響は想像以上だった。



「どうします?」


リリスが尋ねる。


「迎撃する」


「殺します?」


アルベルトは少し考えた。


そして首を振る。


「必要ない」


「意外ですね」


「新人だ」


それだけだった。



アルベルトは合理主義者だ。


侵入者を排除する。


ダンジョンを守る。


それは当然。


しかし。


無意味な殺害は好まない。


特に新人相手なら尚更だった。


「殺せば脅威は減りますよ?」


リリスが聞く。


「冒険者も減る」


「なるほど」


「死体は一度しか使えない」


「はい」


「生きて帰れば噂になる」


リリスは思わず笑った。


「経営者みたいですね」


「ダンジョン運営だからな」



新人冒険者達は第一広間へ到達する。


そこでスライムを発見した。


「スライムか」


剣士が笑う。


「楽勝だな」


剣を振るう。


一体撃破。


二体撃破。


新人でも倒せる相手だった。



だが。


その瞬間。


影が動いた。


壁際。


岩陰。


黒い液体のような魔物が現れる。


「なっ!?」


冒険者達が固まる。


初めて見る魔物だった。


シャドウスライム。


図鑑にも載っていない。


未知の存在。



魔術師が慌てて魔法を放つ。


しかし当たらない。


影のように動く。


姿が消える。


現れる。


また消える。


新人達は完全に混乱した。


「何だよこれ!」


「聞いてないぞ!」


「特殊配合型って本当だったのか!」



その時。


さらに背後から気配。


シャドウリーパーだった。


黒い鎌が静かに首筋へ添えられる。


剣士の全身が硬直する。


一歩も動けない。


戦えば死ぬ。


本能がそう告げていた。



静寂。


数秒。


誰も動かない。


そして。


魔術師が震えながら言った。


「……負けだ」


槍使いも頷く。


剣士も剣を下ろした。


戦意喪失。


完全敗北だった。



その瞬間。


ダンジョンコアが判定を下す。



侵入者制圧成功


冒険者撤退


DP獲得


120



リリスが通知を見る。


「倒してなくても貰えるんですね」


「ああ」


アルベルトも確認していた。


さらに詳細が表示される。



撃退報酬


120DP


※撃破時は追加報酬あり



「なるほど」


「ちゃんと差があるんですね」


「らしいな」



新人冒険者達は逃げるように洞窟を出ていった。


その背中をアルベルトは見送る。


「逃がすんですね」


「今回はな」


「今回は?」


「コアを壊しに来るなら話は別だ」


リリスは少しだけ背筋が寒くなった。


アルベルトは優しいわけではない。


必要なら殺す。


ただ無駄を嫌うだけなのだ。



夕方。


再び通知が届く。



冒険者評価更新


忘れられた洞窟


危険度上昇


注目度上昇



さらに。



冒険者生還報告確認


知名度上昇



「宣伝されましたね」


「ああ」


新人達は間違いなく話す。


特殊配合型。


未知の魔物。


見たことのない戦術。


噂は広がる。



その夜。


ダンジョンコアが再び光った。



特殊配合型特典


魔物図鑑更新



説明が表示される。



特殊配合型


発見済み一般種を召喚可能


※特殊個体は対象外


※特殊配合型限定



リリスが目を丸くする。


「限定?」


「ああ」


「他のダンジョンマスターは?」


「使えないらしい」


「反則ですね」


アルベルトも同意した。


「俺もそう思う」



学園都市。


数日後。


酒場で三人の新人冒険者が熱弁していた。


「本当にいたんだ!」


「スライムじゃなかった!」


「影の魔物だ!」


周囲の冒険者達が興味を示す。


「特殊配合型?」


「聞いたことないな」


「どこのダンジョンだ?」


少しずつ。


確実に。


忘れられた洞窟の名は広がり始めていた。


そしてその噂は、


やがて新人だけではなく、もっと危険な冒険者達を呼び寄せることになる。


アルベルトはまだ知らない。


次にやって来る来訪者が、忘れられた洞窟にとって最初の試練になることを。

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