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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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39/223

第39話 970位の壁

忘れられた洞窟。


989位。


だがアルベルト達の次の相手は970位だった。


十九位差。


普通ならあり得ない。


しかし特殊配合型認定によって、その常識は覆された。


そして現在――


「強いな」


アルベルトはそう呟いていた。


◇


三日後。


忘れられた洞窟。


中央広間。


アルベルトは新たに表示された情報を眺めている。


⸻


特殊昇格戦


挑戦対象


970位


翠緑の樹海


支配魔物:フォレストウルフ


推定魔物数:48


⸻


「四十八」


リリスが読む。


「多いですね」


「ああ」


今までで最多だった。


小鬼の巣穴が二十七体。


ほぼ倍である。


しかも。


情報はまだ続いていた。


⸻


確認個体


フォレストウルフ ×39


ハイフォレストウルフ ×8


フォレストウルフキング ×1


⸻


沈黙。


リリスがゆっくり顔を上げる。


「無理では?」


「まだ分からない」


アルベルトは冷静だった。


しかし。


これは確かに今までとは違う。


◇


その日から。


アルベルトは徹底的に調査を始めた。


特殊昇格戦には実地偵察権が付与されている。


これも特典だった。


相手ダンジョン周辺の調査が可能になる。


つまり。


今まで通り情報戦ができる。


「行くぞ」


「また遠足ですね」


「偵察だ」


「はいはい」


◇


翠緑の樹海。


到着した瞬間。


違いが分かった。


広い。


とにかく広い。


森が続いている。


木々が高い。


視界が悪い。


そして。


気配が多い。


「嫌ですね」


リリスが言う。


「嫌だな」


アルベルトも同意した。


今までの敵は洞窟だった。


狭い。


閉鎖空間。


だから少数でも戦えた。


しかし森は違う。


敵がどこにいるか分からない。


◇


その時。


シャドウリーパーが反応する。


木の上。


何かいる。


アルベルトが配合眼を発動した。


⸻


フォレストウルフ


脅威度:低


⸻


一体。


二体。


三体。


四体。


まだ増える。


全部木の上だった。


「狼ですよね?」


「ああ」


「何で木の上に?」


「知らん」


アルベルトも少し驚いていた。


◇


さらに奥へ進む。


すると。


別の群れを発見した。


今度は明らかに大きい。


体長二メートル近い。


筋肉量も違う。


⸻


ハイフォレストウルフ


脅威度:中


⸻


「これが八体ですか」


「ああ」


そして。


問題はその先だった。


◇


森の中心。


巨大な樹木。


その根元。


そこにいた。


全長四メートル。


銀色の毛並み。


圧倒的な存在感。


周囲の狼達が自然と距離を取っている。


⸻


フォレストウルフキング


脅威度:高


⸻


アルベルトの目が細くなる。


今までの敵とは違う。


ホブゴブリンロードは指揮官だった。


だが。


この個体は違う。


単純に強い。


「なるほど」


アルベルトが呟く。


「何がです?」


「統率型じゃない」


リリスが画面を見る。


確かに。


新しい項目が表示されていた。


⸻


戦闘傾向


王獣型


⸻


◇


帰還後。


アルベルトは考え込んでいた。


ホブゴブリンロード戦。


あれは簡単だった。


王を倒せば終わった。


だが今回は違う。


キングを倒しても群れは残る。


むしろ暴走する可能性が高い。


「面倒ですね」


「ああ」


「久しぶりに勝ち筋が見えません」


リリスが言う。


それは事実だった。


初めて。


本当に初めて。


アルベルトは即座に攻略法を思い付かなかった。


◇


その夜。


召喚一覧を眺める。


スライム。


ゴブリン。


シャドウ。


スケルトン。


ビッグスライム。


シャドウスライム。


そして。


新しく追加された項目。


⸻


フォレストウルフ


召喚可能


⸻


アルベルトの目が止まる。


リリスも気付いた。


「登録されたんですね」


「ああ」


「召喚します?」


「当然だ」


即答だった。


◇


翌朝。


召喚実行。


光が集まる。


そして。


一匹の狼が現れた。


フォレストウルフ。


初の獣系魔物だった。


「おお」


リリスが少し感動する。


スライムばかり見ていたので新鮮だった。


だが。


次の瞬間。


アルベルトの配合眼が反応する。


⸻


フォレストウルフ × シャドウリーパー


成功率 18%


⸻


フォレストウルフ × シャドウスライム


成功率 64%


⸻


フォレストウルフ × ビッグスライム


成功率 71%


⸻


沈黙。


リリスが天井を見上げた。


「嫌な予感しかしません」


「奇遇だな」


「アルベルトさんは嫌な予感してませんよね」


「全く」


知っていた。


その顔だ。


新しい素材を見つけた時の顔だ。


◇


970位との戦いまで残り十五日。


アルベルトはまだ勝ち筋を見つけていない。


だが。


新しい素材は手に入った。


そして。


新しい配合候補も。


忘れられた洞窟の急成長は、まだ終わりそうになかった。

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