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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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第39話 970位の壁

忘れられた洞窟。


989位。


だがアルベルト達の次の相手は970位だった。


十九位差。


普通ならあり得ない。


しかし特殊配合型認定によって、その常識は覆された。


そして現在――


「強いな」


アルベルトはそう呟いていた。



三日後。


忘れられた洞窟。


中央広間。


アルベルトは新たに表示された情報を眺めている。



特殊昇格戦


挑戦対象


970位


翠緑の樹海


支配魔物:フォレストウルフ


推定魔物数:48



「四十八」


リリスが読む。


「多いですね」


「ああ」


今までで最多だった。


小鬼の巣穴が二十七体。


ほぼ倍である。


しかも。


情報はまだ続いていた。



確認個体


フォレストウルフ ×39


ハイフォレストウルフ ×8


フォレストウルフキング ×1



沈黙。


リリスがゆっくり顔を上げる。


「無理では?」


「まだ分からない」


アルベルトは冷静だった。


しかし。


これは確かに今までとは違う。



その日から。


アルベルトは徹底的に調査を始めた。


特殊昇格戦には実地偵察権が付与されている。


これも特典だった。


相手ダンジョン周辺の調査が可能になる。


つまり。


今まで通り情報戦ができる。


「行くぞ」


「また遠足ですね」


「偵察だ」


「はいはい」



翠緑の樹海。


到着した瞬間。


違いが分かった。


広い。


とにかく広い。


森が続いている。


木々が高い。


視界が悪い。


そして。


気配が多い。


「嫌ですね」


リリスが言う。


「嫌だな」


アルベルトも同意した。


今までの敵は洞窟だった。


狭い。


閉鎖空間。


だから少数でも戦えた。


しかし森は違う。


敵がどこにいるか分からない。



その時。


シャドウリーパーが反応する。


木の上。


何かいる。


アルベルトが配合眼を発動した。



フォレストウルフ


脅威度:低



一体。


二体。


三体。


四体。


まだ増える。


全部木の上だった。


「狼ですよね?」


「ああ」


「何で木の上に?」


「知らん」


アルベルトも少し驚いていた。



さらに奥へ進む。


すると。


別の群れを発見した。


今度は明らかに大きい。


体長二メートル近い。


筋肉量も違う。



ハイフォレストウルフ


脅威度:中



「これが八体ですか」


「ああ」


そして。


問題はその先だった。



森の中心。


巨大な樹木。


その根元。


そこにいた。


全長四メートル。


銀色の毛並み。


圧倒的な存在感。


周囲の狼達が自然と距離を取っている。



フォレストウルフキング


脅威度:高



アルベルトの目が細くなる。


今までの敵とは違う。


ホブゴブリンロードは指揮官だった。


だが。


この個体は違う。


単純に強い。


「なるほど」


アルベルトが呟く。


「何がです?」


「統率型じゃない」


リリスが画面を見る。


確かに。


新しい項目が表示されていた。



戦闘傾向


王獣型




帰還後。


アルベルトは考え込んでいた。


ホブゴブリンロード戦。


あれは簡単だった。


王を倒せば終わった。


だが今回は違う。


キングを倒しても群れは残る。


むしろ暴走する可能性が高い。


「面倒ですね」


「ああ」


「久しぶりに勝ち筋が見えません」


リリスが言う。


それは事実だった。


初めて。


本当に初めて。


アルベルトは即座に攻略法を思い付かなかった。



その夜。


召喚一覧を眺める。


スライム。


ゴブリン。


シャドウ。


スケルトン。


ビッグスライム。


シャドウスライム。


そして。


新しく追加された項目。



フォレストウルフ


召喚可能



アルベルトの目が止まる。


リリスも気付いた。


「登録されたんですね」


「ああ」


「召喚します?」


「当然だ」


即答だった。



翌朝。


召喚実行。


光が集まる。


そして。


一匹の狼が現れた。


フォレストウルフ。


初の獣系魔物だった。


「おお」


リリスが少し感動する。


スライムばかり見ていたので新鮮だった。


だが。


次の瞬間。


アルベルトの配合眼が反応する。



フォレストウルフ × シャドウリーパー


成功率 18%



フォレストウルフ × シャドウスライム


成功率 64%



フォレストウルフ × ビッグスライム


成功率 71%



沈黙。


リリスが天井を見上げた。


「嫌な予感しかしません」


「奇遇だな」


「アルベルトさんは嫌な予感してませんよね」


「全く」


知っていた。


その顔だ。


新しい素材を見つけた時の顔だ。



970位との戦いまで残り十五日。


アルベルトはまだ勝ち筋を見つけていない。


だが。


新しい素材は手に入った。


そして。


新しい配合候補も。


忘れられた洞窟の急成長は、まだ終わりそうになかった。

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