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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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第37話 王を討て

ランキング戦開始。


忘れられた洞窟990位。


小鬼の巣穴989位。


順位差は一つ。


だが戦力差は大きかった。


ゴブリン十五体。


ホブゴブリン八体。


ホブゴブリンウォリアー三体。


そして。


ホブゴブリンロード。


対する忘れられた洞窟。


アルベルト。


リリス。


シャドウリーパー。


シャドウスライム。


ビッグスライム二体。


スライム九体。


普通に戦えば勝負にならない。


だから。


最初から普通には戦わない。



「始めるぞ」


アルベルトが言った。


その瞬間。


スライム達が前進する。


ぷるぷる。


ぷるぷる。


ものすごく弱そうだった。


ゴブリン達が笑う。


完全に油断している。


「ギャハハ!」


実際弱い。


そこは否定できない。


だが。


アルベルトの目的は別だった。


「囮だ」


リリスが苦笑する。


「本人達は知ってるんですか?」


「知らない」


「可哀想ですね」


スライム達は元気に前進していた。


知らぬが仏である。



ゴブリン達が迎撃へ向かう。


前線が動く。


ホブゴブリンも動く。


ウォリアーも動く。


その結果。


中央の守りが少し薄くなった。


アルベルトは見逃さない。


「今だ」


影が動く。


シャドウリーパー。


シャドウスライム。


二体が岩陰から滑るように進む。


誰も気付かない。


ゴブリン達の視線は前方。


スライム達へ集中している。



一方。


前線。


スライム達は予想以上に頑張っていた。


体当たり。


体当たり。


また体当たり。


ダメージはほぼない。


しかし。


意外と邪魔だった。


「ギャッ!」


ゴブリンが転ぶ。


別のゴブリンも巻き込まれる。


さらに転ぶ。


ぐちゃぐちゃになった。


リリスが呆れる。


「思ったより有能ですね」


「そうだな」


アルベルトも少し驚いていた。



その頃。


シャドウリーパーは敵陣奥へ到達していた。


ホブゴブリンロードまで残り二十メートル。


十五メートル。


十メートル。


誰も気付かない。


だが。


五メートルまで近付いた時。


「グルル?」


ホブゴブリンウォリアーの一体が反応した。


鋭い。


流石は精鋭だった。


だが。


遅い。



シャドウリーパーが飛び出す。


黒い刃が閃く。


一直線。


狙いはホブゴブリンロード。


首。


ただ一点。


「ギィ!?」


ホブゴブリンロードが気付く。


反応する。


だが間に合わない。


黒刃が首へ迫る。


その瞬間。


ホブゴブリンウォリアーが飛び込んだ。


斧を振るう。


ガキィン!!


衝撃。


攻撃が逸れる。


首ではなく肩。


ホブゴブリンロードが吹き飛んだ。


「惜しい!」


リリスが叫ぶ。


致命傷ではない。


しかし。


重傷だ。



ホブゴブリンロードが怒号を上げる。


「ギィィイイイ!!」


戦場が変わった。


全ゴブリンが振り返る。


全ホブゴブリンが振り返る。


全ての敵意がシャドウリーパーへ向く。


普通なら終わり。


包囲される。


だが。


アルベルトは待っていた。


「第二段階」


「やっぱりあるんですね」


リリスは半ば諦めていた。


当然ある。


アルベルトである。


一発勝負だけで終わる男ではない。



その瞬間。


ホブゴブリンロードの足元から黒い影が飛び出した。


シャドウスライム。


誰も見ていなかった。


潜伏していたのだ。


「ギッ!?」


ホブゴブリンロードが驚く。


シャドウスライムは戦闘力が低い。


だが。


奇襲は得意。


黒い身体が跳ねる。


そして。


顔面へ直撃。


べちゃっ。


「……」


「……」


戦場が静まり返る。


なんとも締まらない絵面だった。



だが。


その一瞬。


ホブゴブリンロードの視界が塞がれた。


その一瞬こそ。


アルベルトが待っていた隙。


シャドウリーパーが再び動く。


今度こそ。


一直線。


黒刃が振り抜かれる。


ホブゴブリンロードは反応できない。


視界がない。


避けられない。


そして――


斬撃が走った。


ランキング戦。


決着の瞬間が迫っていた。

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