第36話 ランキング戦開幕
ランキング戦まで十二日。
アルベルトは待つのをやめた。
「行くか」
「何をです?」
「準備だ」
「嫌な予感しかしません」
その予感は当たった。
◇
翌日。
ランキング戦まで十一日。
アルベルトはDPを大量投入した。
召喚。
召喚。
さらに召喚。
結果――
スライムが増えた。
合計十二体。
「またですか」
「まただ」
「ゴブリンじゃなくて?」
「スライムだ」
安い。
働く。
素材になる。
アルベルトにとって最高だった。
◇
さらに翌日。
ランキング戦まで十日。
配合開始。
スライム同士を融合。
ビッグスライム追加。
さらに配合。
シャドウスライム追加。
DP回収効率も上がる。
忘れられた洞窟は小さいながらも回り始めていた。
◇
ランキング戦まで八日。
通知。
⸻
ランキング戦エントリー完了
対戦相手決定
989位
小鬼の巣穴
⸻
「決まりましたね」
「ああ」
ついに来た。
アルベルトは落ち着いていた。
むしろ静かすぎた。
リリスの方が緊張している。
「勝てますか?」
「分からない」
珍しい返答だった。
だが続きがある。
「ただ」
「ただ?」
「勝ち筋はある」
◇
ランキング戦まで五日。
最後の偵察。
見張り台。
巡回。
ホブゴブリンウォリアー。
全て確認。
変化なし。
アルベルトは静かに頷いた。
十分だ。
これ以上の情報は要らない。
◇
ランキング戦まで三日。
シャドウリーパーの訓練終了。
シャドウスライムの潜伏訓練終了。
アルベルトは作戦を最終確認した。
やることは変わらない。
群れは無視。
ホブゴブリンロードのみ狙う。
以上。
◇
ランキング戦まで一日。
忘れられた洞窟。
中央広間。
アルベルト。
リリス。
シャドウリーパー。
スライム達。
全員が集まっていた。
ダンジョンコアが赤く光る。
⸻
ランキング戦開始まで
10
9
8
⸻
カウントダウン。
ついに来た。
忘れられた洞窟にとって二度目のランキング戦。
そして。
初めての格上挑戦。
リリスが小さく息を吐く。
「緊張しますね」
「ああ」
アルベルトも頷いた。
少しだけ。
本当に少しだけ。
◇
0。
その瞬間。
世界が白く染まった。
転移。
ランキング戦専用フィールド。
荒れた岩場。
そして正面。
大量のゴブリン。
ホブゴブリン。
ホブゴブリンウォリアー。
さらに奥。
王のように座る一体。
ホブゴブリンロード。
配合眼が反応する。
⸻
ホブゴブリンロード
脅威度:高
⸻
敵軍二十七。
こちらは少数。
普通なら絶望的な戦力差。
だが。
アルベルトは笑った。
「予定通りだ」
ホブゴブリンロードは油断している。
当然だ。
格下が正面から来たように見えるのだから。
しかし。
その時。
誰も気付いていなかった。
影の中。
シャドウリーパーとシャドウスライムが既に消えていたことを。
◇
ホブゴブリンロード討伐作戦。
開始。
忘れられた洞窟の運命を賭けた戦いが、ついに幕を開けた。




