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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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第22話 新人交流会

忘れられた洞窟から王都までは転移門で一時間ほどだった。


「緊張してきました」


リリスが落ち着かない様子で周囲を見回す。


巨大な石造りの建物。


ダンジョン管理協会の新人研修館。


毎年ここで新人ダンジョンマスター交流会が開かれるらしい。


「別に戦うわけじゃない」


アルベルトは平然としていた。


「その方が不安なんです」


「なぜだ」


「アルベルトさんは戦闘より会話の方が危険だからです」


失礼だった。


だが否定できなかった。


会場へ入ると、すでに多くの若い男女が集まっていた。


全員が今年の新人ダンジョンマスター。


卒業生二十五名。


そして各ダンジョンの補佐官たち。


ざわざわとした空気の中で、一人の青年がこちらに気付く。


「あれ?」


金髪の青年だった。


アルベルトも覚えている。


同級生だ。


卒業成績三位。


レオン・グランツ。


「アルベルト?」


会場の視線が集まる。


「あのアルベルトか?」


「最下位で卒業した?」


「忘れられた洞窟に行った奴だろ?」


ひそひそ声が聞こえる。


学園時代と何も変わらない。


リリスが少しムッとした。


だがアルベルト本人は気にしていない。


「久しぶりだな」


「本当に配属されたんだな」


レオンが苦笑する。


「噂は聞いた」


「そうか」


「閉鎖寸前だったろ」


「だったな」


過去形だった。


レオンが眉を上げる。


その時、会場中央の壇上へ職員が現れた。


交流会が始まる。


「諸君、まずは初ランキング戦お疲れ様だった」


会場が静かになる。


「本交流会は、初ランキング戦を終えた新人ダンジョンマスターを対象としている」


なるほど。


だから今なのか。


アルベルトは納得した。


「それでは順位上昇が大きかった者から発表する」


壁面へ巨大な表示が現れる。


第五位。


第四位。


第三位。


第二位。


首席卒業生の名前もある。


やはり強い。


リリスが感心していた。


そして。


第一位。


会場がざわめく。


表示された文字は。



アルベルト・クロイス


忘れられた洞窟


998位 → 990位


順位上昇数 8



静寂。


誰も喋らない。


レオンが固まる。


首席卒業生も固まる。


職員ですら少し驚いた顔をしていた。


最下位卒業生。


閉鎖寸前ダンジョン。


それが今年最大の順位上昇。


当然だった。


「え?」


誰かが呟く。


「八つ上げた?」


「忘れられた洞窟が?」


「どうやって?」


会場が騒がしくなる。


リリスがなぜか得意げだった。


自分のことではないのに。


職員が続ける。


「ではアルベルト君。ダンジョン紹介を」


「俺か」


「君だ」


断れなかった。


アルベルトは壇上へ向かう。


視線が集まる。


苦手だった。


非常に。


「忘れられた洞窟だ」


説明終了。


会場が沈黙する。


リリスが頭を抱えた。


「終わるな!」


思わず叫んでしまった。


会場から笑いが起きる。


アルベルトは少し考えた。


そして後ろを指差した。


「アダプトジェルゴブリン」


会場がざわつく。


見たことがない。


図鑑にもない。


そんな顔ばかりだった。


レオンが立ち上がる。


「何だそれ?」


「アダプトジェルゴブリンだ」


「だから何だそれ!」


まともな質問だった。


しかしアルベルトは答えられない。


配合眼の秘密がある。


すると職員が興味深そうに魔物を見つめる。


「新種か?」


「たぶん」


「たぶん?」


また会場がざわつく。


リリスはもう諦めていた。


この人に説明役は無理だ。


結局その後はリリスが補足説明を担当した。


会場は終始笑いに包まれた。


そして交流会の最後。


新人全員へ次回ランキング戦の日程が通達される。


三十日後。


ちょうど一か月後だった。


帰り際。


レオンがアルベルトへ声を掛ける。


「なあ」


「何だ」


「次は負けない」


アルベルトは少し考えた。


そして頷く。


「そうか」


相変わらずだった。


だがレオンは笑う。


学園時代から知っている。


この男は本気で興味がない時は返事すらしない。


今の返答は。


競争相手として認めた証拠だった。


交流会が終わる。


帰路につくアルベルトたち。


そして忘れられた洞窟へ戻る途中。


アルベルトの視界に再び文字が浮かぶ。



シャドウ × アダプトジェルゴブリン


成功率 74%



「……」


「見えてますね?」


リリスが即座に反応する。


「見えている」


「ダメです」


「まだ何も言ってない」


「言う前に止めます」


忘れられた洞窟の次なる成長は、もう目前まで迫っていた。

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