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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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207/223

第207話 七日間

夜狼王を奪われた翌日。


忘れられた洞窟にいつもの空気はなかった。


静かだった。


異様なほどに。


中央広間。


夜狼王がいた場所は空いたままになっている。


誰もそこへ近付かない。


王冠宰相だけが時々見に行く。


そして。


何もないことを確認して戻ってくる。


それを何度も繰り返していた。


「キュ……」


元気がない。


初めてだった。


リリスも何も言えない。



影王は姿を消していた。


訓練場。


研究施設。


地下都市。


どこにもいない。


終号が位置を確認すると。


忘れられた洞窟の最深部だった。


ただ座っている。


動かない。


喋らない。


それだけだった。



ヴァルグランは訓練場を破壊していた。


訓練ではない。


八つ当たりだった。


巨大な拳が岩壁を砕く。


また砕く。


さらに砕く。


リリスが止めに行ったが無駄だった。



アダプトキングだけが冷静だった。


正確には。


冷静でいようとしていた。


軍団を維持しなければならない。


忘れられた洞窟が止まれば終わる。


だから動く。


だから考える。


だから前を見る。



だが。


それでも。


夜狼王がいない。


その事実は重かった。



管理室。


アルベルトは終号の前に座っていた。


一晩中。


ずっとだ。


資料。


戦闘記録。


研究施設記録。


王候補関連情報。


全部見ている。



リリスが入ってくる。


少し迷う。


そして聞いた。


「寝ましたか」


「寝てない」


予想通りだった。



アルベルトは画面を見たまま言う。


「勝てない」


リリスが止まる。


初めてだった。


アルベルトが認めた。


勝てないと。



冥府回廊。


強い。


本当に強い。


夜狼王を取り返したい。


だが。


今の戦力では無理。


同じことを繰り返すだけ。



だから。


必要だった。


強化が。



その時。


終号が反応する。


青い光。


新しい表示。


全員の視線が集まる。



緊急解放



研究施設最終権限



召喚石保管庫


開放



中央広間が静まり返る。



地下都市。


封印区画。


今まで開かなかった扉が動く。


重い音。


三十年間閉ざされていた空間。


その奥には。


大量の棚が並んでいた。



リリスが息を呑む。


ミレイも止まる。


アダプトキングも黙る。



棚。


棚。


棚。


そして。


全部召喚石だった。



数百。


いや。


千近い。


異常な量だった。



終号が説明する。



研究用召喚石



未使用


保存状態良好



中央広間が静まり返る。



アルベルトが歩く。


棚を見る。


一つ。


また一つ。


全部違う。



火属性。


氷属性。


飛行型。


大型種。


英雄種候補。


変異種候補。


研究者が集めた素材。


三十年分。



リリスが呟く。


「これ全部……」


「使わなかったんだな」


アルベルトが答える。



そこで終号が新しい情報を表示した。



研究者最終計画



王喰計画対抗案



素材備蓄


完了



中央広間が凍りつく。



ミレイが息を呑む。


リリスも止まる。


王喰。


ここでも出てきた。



研究者は知っていた。


王喰が危険だと。


だから。


対抗戦力を作ろうとしていた。



だが。


完成しなかった。



アルベルトの目が細くなる。


面白い。


違う。


今回は違う。



怒っていた。



夜狼王を奪われた。


初めてだった。


研究対象ではない。


素材でもない。


仲間だった。



だから。


取り返す。



終号が表示する。



召喚石使用可能



推奨数


50



中央広間が静まる。


リリスが固まる。


「五十?」


「五十だな」


「多すぎません?」


多かった。


今までで最大規模だった。



アダプトキングが資料を見る。


数秒。


そして頷く。


「必要」



冥府回廊へ勝つためには。


夜狼王を取り返すためには。


今のままでは足りない。



ヴァルグラン。


影王。


アダプトキング。


王冠宰相。


蒼天竜将。


全員強い。


だが。


まだ足りない。



だから。


強くなる。


もっと。



その時だった。


王冠宰相が走ってくる。


久しぶりだった。


少し元気だった。



「キュウ!」


持っている。


宝箱。


また宝箱。



リリスが思わず笑う。


こんな状況なのに。


本当に変わらない。



宝箱が開く。


中には古い記録媒体が入っていた。


終号が反応する。



研究記録


確認



タイトル



大量育成理論



中央広間が静まり返る。



アルベルトが笑った。


本当に久しぶりだった。



七日。


短い。


だが。


忘れられた洞窟には研究施設がある。


終号がいる。


そして。


配合士がいる。



夜狼王を取り返すための。


忘れられた洞窟史上最大の強化計画が。


今まさに始まろうとしていた。

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