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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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204/223

第204話 要塞の進化

鋼鉄迷宮との特別戦から翌日。


忘れられた洞窟の管理室には朝から全幹部が集まっていた。


理由はもちろん一つ。


鋼鉄騎士王である。


五百九十三位《鋼鉄迷宮》最強戦力。


英雄個体。


しかも防御特化。


今までの忘れられた洞窟には存在しない系統だった。


「で」


リリスが資料を見る。


「やるんですよね」


「やるな」


即答だった。


聞くまでもなかった。



終号が表示を展開する。


鋼鉄騎士王。


ヴァルク。


成功率八十四%。


予測結果。


???


管理室が静まる。


まただ。


また読めない。


最近そればかりだった。


王候補。


特殊進化。


研究施設。


終号ですら先を読めない配合が増え始めている。



だが。


今回は全員の反応が少し違った。


ヴァルク本人が乗り気だった。


「面白そうだ」


非常に単純だった。


元々森護兵将。


さらに岩牙守護将と融合して生まれた存在。


進化や配合への抵抗が少ない。


むしろ強くなれるなら歓迎だった。



アダプトキングが資料を見る。


数秒。


そして頷いた。


「推奨」


「理由は?」


リリスが聞く。


アダプトキングは即答した。


「役割完成」


全員が納得する。


確かにそうだった。


ヴァルクは既に前衛として完成に近い。


さらに鋼鉄騎士王を加える。


そうなれば。


忘れられた洞窟最強の盾になる。



その時だった。


王冠宰相が走ってくる。


「キュウ!」


嫌な予感しかしない。


最近の日課だった。


だが今回は少し違った。


宝箱。


しかも大きい。



リリスが頭を抱える。


「どこからですか」


「キュウ!」


答えにならない。


いつも通りだった。



宝箱が開く。


中から出てきたのは。


鉱石。


大量の鉱石。


しかも普通ではない。


終号が解析する。


数秒後。


全員が固まった。



鋼魔結晶



英雄級素材



中央広間が静まる。


アルベルトが見る。


ヴァルクが見る。


鋼鉄騎士王も見る。



終号が追加表示を出す。



鋼鉄騎士王


進化補正素材


確認



成功率


84%



91%



沈黙。


リリスが固まる。


「またですか」


王冠宰相が胸を張る。


完全に得意顔だった。



アルベルトが笑う。


「やるか」


「やるな」


リリスも諦めた。


九十一%。


止める理由がない。



数十分後。


中央広間。


配合陣が展開される。


ヴァルク。


鋼鉄騎士王。


二体が並ぶ。


どちらも巨大。


どちらも前衛。


どちらも軍団の壁。


忘れられた洞窟を支えてきた存在だった。



終号が確認する。



上位特殊配合


実行



成功率91%



アルベルトが押す。


光が広がる。


眩しい。


今まで何度も見た。


だが。


毎回違う。


配合は同じ結果にならない。


だから面白い。



光が膨らむ。


管理室全体を包む。


ヴァルクの姿が消える。


鋼鉄騎士王も消える。


そして。


終号が反応した。



大成功



中央広間が静まり返る。


リリスが固まる。


アダプトキングも見る。


夜狼王も立ち上がる。



光が爆発した。


数十秒後。


収束。


そこに立っていた存在を見て。


全員が言葉を失った。



巨大だった。


今までのヴァルクよりさらに大きい。


全身を覆う黒銀色の装甲。


四足。


しかし背中には要塞のような構造物。


巨大な角。


重厚な外殻。


まるで動く城だった。



終号が表示する。



新種認定



個体名


要塞王ヴァルグラン



中央広間が静まる。


「長いですね」


リリスが呟く。


「長いな」


アルベルトも認めた。


だが。


強そうだった。


非常に。



終号が能力を表示する。



戦闘適性:極高


防御適性:極高


統率適性:高



特殊能力


移動要塞


城壁展開


軍団防護


鋼鉄再生



全員が黙る。


強い。


説明不要だった。



ヴァルグランが一歩踏み出す。


その瞬間。


周囲へ巨大な防壁が出現した。


リリスが飛び上がる。


「出ました!」


本人も少し驚いている。


無意識だったらしい。



アダプトキングが即座に評価する。


「強い」


珍しく即答だった。


ヴァルグランは軍団戦特化。


防衛戦特化。


そして。


要塞そのものだった。



その時。


終号が新しい通知を表示する。



順位更新




542位



中央広間が静まる。


誰も戦っていない。


なのに順位が上がった。



リリスが資料を見る。


数秒後。


理由を理解した。


「評価更新ですね」


終号が頷く。


新種。


大成功。


英雄融合。


その結果。


ダンジョン評価そのものが上昇した。



アルベルトが順位表を見る。


五百四十二位。


もう六百位台ではない。


五百位前半。


下級リーグ最上位。


そして。


四百位台が見えてきていた。



その時だった。


終号が新しい通知を出す。



緊急通知



特別戦招待



対象


487位


紅蓮火山



管理室が静まり返る。


五百位台を飛ばして。


四百位台。


中級リーグ目前。



リリスがゆっくり顔を上げる。


「早くないですか」


「早いな」


アルベルトも認めた。


だが。


笑っていた。


要塞王ヴァルグランの誕生で、忘れられた洞窟はまた一段、厄介で頼もしい場所になった。


そして次の通知は、紅蓮火山を名乗っていた。


終号の赤い文字が、やけに熱く見えた。

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