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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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203/223

第203話 五百位台への門

特別戦当日。


忘れられた洞窟の中央広間には、珍しく緊張感が漂っていた。


相手は五百九十三位《鋼鉄迷宮》。


下級リーグ上位。


ここから先は新人リーグ時代のような相手ではない。


英雄個体を二体保有。


堅牢な防衛設備。


長年順位を維持し続ける実力派ダンジョン。


だが。


忘れられた洞窟側も以前とは別物だった。


夜狼王。


影王。


ヴァルク。


アダプトキング。


蒼天竜将。


王冠宰相。


三十年前の研究施設。


終号。


もはや弱小ダンジョンだった頃の面影はない。


「行くか」


アルベルトが言う。


全員が頷いた。



転送門が開く。


今回の戦場は仮想戦場。


防衛側が選択した標準戦闘領域だった。


視界が切り替わる。


巨大な迷宮。


鋼鉄で出来た壁。


複雑な通路。


無数の監視塔。


そして中央にそびえる巨大要塞。


鋼鉄迷宮。


名前通りだった。


「面倒ですね」


リリスが呟く。


普通の軍団なら苦戦する。


侵入するだけでも時間がかかる。


だが。


忘れられた洞窟は普通ではない。



アダプトキングが周囲を見る。


数秒。


それだけだった。


「右」


短く言う。


夜狼王が動く。


蒼天竜将も飛ぶ。


影王は既に消えている。


ヴァルクは笑った。


「簡単だな」


リリスが固まる。


まだ何もしていない。


だがアダプトキングは理解していた。


迷宮。


防衛設備。


監視塔。


全部囮だった。


本命は中央要塞。


指揮官を落とせば終わる。



数分後。


夜狼王と蒼天竜将は上空を制圧していた。


敵飛行戦力。


飛行型ガーゴイル。


飛竜兵。


全滅。


圧倒的だった。


蒼天竜将が翼を振るう。


風刃が飛ぶ。


敵飛行部隊が吹き飛ぶ。


そこへ夜狼王が突撃する。


牙が閃く。


終わりだった。


上空制圧完了。


戦闘開始から十分も経っていない。



地上ではヴァルクが暴れていた。


鋼鉄製の防衛門。


粉砕。


監視塔。


粉砕。


壁。


粉砕。


もはや攻略ではない。


災害だった。


鋼鉄迷宮側も必死に迎撃する。


大型守護獣。


鋼鉄巨兵。


次々投入される。


だが。


止まらない。


ヴァルクが殴る。


終わる。


それだけだった。



そして。


中央要塞。


影王が到達する。


誰にも見つからない。


誰にも気付かれない。


守護兵。


監視兵。


全部無視。


影の中を進む。


数分後。


最奥部。


指揮室。


そこに英雄個体がいた。


巨大な騎士。


全身鋼鉄。


巨大な大剣。


終号が解析する。



鋼鉄騎士王



英雄個体



脅威度:高



影王が笑う。


珍しい。


そして。


次の瞬間。


戦闘が始まった。



鋼鉄騎士王は強かった。


五百位台の英雄。


伊達ではない。


普通なら。


だが。


影王も普通ではなかった。


影支配。


影捕食。


暗殺特化。


研究施設が生み出した王属性個体。


正面から戦う必要すらない。


影から現れる。


攻撃。


消える。


また現れる。


鋼鉄騎士王が怒る。


だが当たらない。


そして。


三分後。


首筋に深い傷。


五分後。


膝をつく。


七分後。


首が落ちた。


決着。



その瞬間。


鋼鉄迷宮全体へ通知が響く。



指揮官撃破



統率崩壊



夜狼王が笑う。


ヴァルクも笑う。


アダプトキングが指示を出す。


総攻撃。


残った敵軍が崩れる。


完全に終わった。



戦闘開始から二十六分後。


鋼鉄迷宮ダンジョンコア破壊。


勝利。


終号が反応する。



特別戦勝利



順位更新中



管理室が静まり返る。


リリスが息を吐く。


今回は早かった。


本当に早かった。


強かった。


だが。


忘れられた洞窟の方がさらに強かった。



通知が続く。



戦利契約発動



対象選択



鋼鉄騎士王



中央広間が静まる。


アルベルトが笑う。


英雄個体。


しかも防御型。


忘れられた洞窟に存在しない系統。


価値は大きい。


「決まりだな」


誰も反対しなかった。



終号が最後の通知を表示する。



順位更新


611位



563位



中央広間が静まり返る。


一気だった。


五百位台。


下級リーグ上位。


ついに到達した。


だが。


アルベルトの視線は順位ではない。


新たに契約した鋼鉄騎士王。


そして終号が表示した新しい配合候補だった。



鋼鉄騎士王


×


ヴァルク



成功率84%



予測結果


???



リリスが頭を抱える。


「やっぱりそうなりますよね」


当然だった。


忘れられた洞窟の快進撃は止まらない。


そして次の強化は、もう始まっていた。

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