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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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202/223

第202話 育成加速

第四記録の閲覧から三日後。


忘れられた洞窟は、かつてないほど活気に満ちていた。


理由は単純だった。


戦闘観測区画。


そこで解放された育成補助機能である。


終号によれば、この施設は元々「王候補の完成速度を高めるため」に作られていたらしい。研究者は何十年もかけて戦闘記録を蓄積し、その経験を効率よく育成へ反映させる方法を模索していた。


その成果が今、忘れられた洞窟で動き始めている。


中央広間には巨大な光の盤が展開されていた。


以前の進化陣とも配合陣とも違う。


戦闘観測区画から転送された育成補助装置。


その上で夜狼王と蒼天竜将が訓練を続けている。


二体が動くたび、床に浮かぶ紋様が淡く光る。


終号が経験値を解析し、成長効率を補正しているのだ。


「便利ですね」


リリスが呟く。


「便利だな」


アルベルトも認める。


研究者が残した施設の中でもかなり実用的だった。



終号が現在の状態を表示する。



夜狼王


成熟度82%



85%



蒼天竜将


成熟度71%



75%



中央広間が少しざわつく。


三日。


たった三日。


普通ならほとんど変わらない期間だった。


だが。


育成補助機能は異常だった。


夜狼王も蒼天竜将も明らかに成長している。



上空では夜狼王と蒼天竜将が模擬戦を続けていた。


最初は互角だった。


だが。


今は違う。


連携が生まれている。


夜狼王が急降下する。


蒼天竜将が回避する。


その直後。


互いの死角を潰すように位置を変える。


戦っている。


だが同時に学んでいる。


そして。


終号がその経験を育成へ反映している。



「面白いですね」


アダプトキングが珍しく口を開いた。


「何がだ」


「敵だった頃より強い」


アルベルトも頷く。


蒼天竜将は忘れられた洞窟へ来てから急激に成長している。


以前は飛行戦力の指揮官だった。


今は違う。


夜狼王という比較対象がいる。


だから伸びる。


戦うたびに。


学ぶたびに。


強くなる。



その頃。


影王も成長していた。


訓練場の端。


誰もいない場所。


影王は黙々と能力検証を続けている。


影支配。


進化後に得た能力。


最初は黒い手を出す程度だった。


だが今は違う。


地面の影が揺れる。


次の瞬間。


黒い狼が現れた。


影で出来た狼。


完全な実体ではない。


だが確かに存在している。


リリスが固まる。


「増えてません?」


「増えてるな」


影王も少し驚いていた。


無意識だったらしい。



終号が反応する。



影支配


成長確認



影獣生成


習得



「便利ですね」


「便利だな」


また強くなっていた。


最近の忘れられた洞窟はそんなことばかりだった。



その時。


王冠宰相が走ってくる。


全員が見る。


最近はこれだけで警戒される。


本人は不満そうだった。


「キュウ!」


だが今回は宝箱ではなかった。


資料だった。


古い羊皮紙。


終号が解析する。


数秒後。


新しい表示が現れる。



下級リーグ特別戦


招待状



中央広間が静まり返る。


アルベルトが立ち上がる。


リリスも見る。


特別戦。


久しぶりだった。



終号が続ける。



対戦候補


593位


鋼鉄迷宮



中央広間が少しざわつく。


六百位台ではない。


五百位台。


さらに格上だった。



ヴァルクが笑う。


「面白い」


夜狼王も目を細める。


アダプトキングも反対しない。


忘れられた洞窟は六百十一位。


普通なら断る。


だが。


今は違う。



終号が追加情報を表示する。



保有英雄個体


二体



管理室が静まる。


二体。


かなり多い。


蒼穹の塔ですら一体だった。


つまり。


今までで最強の相手。



だが。


アルベルトは笑っていた。


夜狼王も。


ヴァルクも。


影王も。


最近の忘れられた洞窟は強敵を見ると喜ぶようになっている。


リリスだけがため息を吐いた。


「普通は警戒するんですよ」


「している」


「全然そう見えません」


即答だった。



終号が最後の表示を出す。



特別戦開始まで


五日



夜狼王成熟度


85%



蒼天竜将成熟度


75%



王候補融合計画


待機中



五日。


育成するには十分な時間だった。


忘れられた洞窟は再び動き出す。


次の相手は五百位台。


下級リーグ上位。


そしてその先には、中級リーグへの入口が見え始めていた。

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