表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オーダーメイド 〜魔道具の祖は主人公な妹と共依存になるようで〜  作者: 中安・ユージーン・風真
第一部 四章 Order:凪を拒む夜会

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
208/211

三日目はどこへ行こう

「……この、微妙に疲れが取れてない感覚……」


朝、マエリスの寝起きは最悪の気分だった。

深い眠りから強制的に覚醒させられたような不快感。目の奥がゴロゴロし、頭重感が気分をさらに落ち込ませる。


寝起きでも意識がはっきりしている点だけは幸いだが……いや、これ以上は語る必要もあるまい。


薄ら陽光が差し始めた早朝。マノンの腕の中でマエリスは、夜会の内容を改めて精査し始めた。


(事件の全体像は分からないから、最後のヒントは一旦置いておくとして。まず今日の行動をどうするか考えないとね)


エレノアはピクニックでも行けばと言っていたが、本当にピクニックするのは自分が消化不良になるため考えない。

そもそも、マノン達の異常が解決していない以上、暢気でいられるはずもない。


(エレノアが勧めたのはマシュクール山脈──ボクが怪しいと考えてた場所の一つだ。口振り的にマノンを遠ざけたいっぽいから、ここはむしろ何もないのかな?)


エレノアが嘘を吐いていなければだが……そういうことをするタイプではないとマエリスは即断する。


(というか、海と街が綺麗に見えるのなら、屋敷の真裏のシャントセ山脈でも良かったはず。ボクが屋敷にいるのはトルテを通じてエレノアも知ってるはずだし……ティフォージュ地底湖ってこの近くなんだよね。やっぱりそっちが答えなのかな?)


何か見落としがある気がしてくるマエリス。それを解く鍵が最後のヒントにあるような気がしていた。


(でもそこが一番分からないんだよね……今までとは全く別の方向から投げられたから。悪い人はいないってどういうこと? 実在しない奥さんとかもうサスペンスじゃん)


「んん……? お姉ちゃん、おはよ……」

「あ、おはようマノン」


困惑による身動ぎで起こしてしまったのか、マノンが紅い目を擦りながら起き上がる。


「あれ……? まだ早いよね? どうしたのお姉ちゃん? 具合悪い?」

「え? ああいや、今日はどうしようかなって考えてただけだから」

「もしかして、楽しみで眠れなかったの? 子供みたいで可愛いね」

「違うから」


それは寝付けなくなるのであって早起きの理由にはならない。


「シャントセ山脈か、ティフォージュ地底湖に行ってみたいなって思っててさ。できれば地底湖」

「あー。あそこって青の洞窟って言われるくらい綺麗な場所だよね。でも一度海に出ないといけないからちょっと面倒臭いんだよね」


マノンは行ったことがあるのだろう、思い出しながらそう語る。


「シャントセ山脈は、というか山は登ったことないなぁ、そう言えば」

「そうなの?」

「うん。高い所には行ったことはあっても、ハイキングみたいに楽しみに行ったことはないね」


思わず、じゃあそっちに行こうかと言いそうになるマエリス。

妹に甘くなるのは仕方なくとも、今回は心を鬼にしなければならないという覚悟で言葉を捻じ曲げる。


「それじゃあ、今度ハイキングに行こうか。直近でも、魔季島に行ってからでもいいよね」

「本当!? 約束だよ!」


嬉しそうに笑うマノンを見て、マエリスは今度こそ約束を守ることを決意した。




「申し訳ありませんけれど、私は屋敷に残りますわ」


ティフォージュ地底湖に行くことを相談した際、最初にフィエットがそう言った。


「今日は来客がありますの。観光は皆さんで楽しんでくださいな」

「いや、観光じゃなくて調査なんだけど……」

「それとシャントセ山脈は行かなくて正解ですわ。あそこは登山道が整備されていない岩山ですの。初心者が行くにはハードですわ」

「だから観光じゃないんだって」


マエリスの反論をヒラリとかわして、フィエットは次にマノンに話しかける。


「マノンさん、道は覚えていらして? 案内は必要ですの?」

「ううん、大丈夫だよ。ありがとね、フィエット」

「ホストとして当然の気遣いですわ。入口近くに案内所がありますの。必要と思ったら声をかけてくださいまし」


そして最後にフィエットはユリとシルフに話しかけた。


「シルフさんとユリさんも。あまりおもてなしできず申し訳ありませんわ」

「あ……っす」

「十分な心遣いをいただいていますよ。むしろ昨日は失礼しました。これからもインヴァネス様とアムレート様をよろしくお願いします」


心なしか、フィエットから距離を取ろうとしているように見えるシルフ(中身アケボシ)と、一晩経って落ち着いたのか穏やかに礼をするユリ。


「では楽しんでいってくださいな。お帰りを待っていますわ」


フィエットはそう言って、貴族令嬢のお手本のような姿勢で見送った。




「……さて、言われた通りに一人になりましたわよ」


屋敷から出ていく一行の姿を窓から眺めていたフィエットは、反対の扉の向こうへと視線を向ける。するとゆっくりと、音もなく扉が開いた。


「うちの恰好をしてるのですわね、リフィさん。ブルー侯爵家に鞍替えするおつもりで?」


廊下に一人、メイドが佇んでいた。

お読みいただききありがとうございます。


ブックマーク・誤字報告、いつもありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ