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3.エフォリア

「おぉ~危のうございますなぁ~ほら…よっ!」


「ギャン!」


盗賊は僕の渾身の一撃を軽くよけると頬をを張り倒してきた。

軽く撫でたつもりだろうが僕の体は吹っ飛んだ。


「ほら!どうしました?おぼっちゃま。

 そこで寝てますと、お仲間がみーんなぶっ殺されんぞ?なぁ♪」


「うぅぅ……うー…うー……」


我ながら酷い顔をしているのが分かる。流石に勝ち目がない。

だが何とかしなければ、あれに無手で組み打つか?

この対格差じゃ厳しいなぁ…せめて手元に(じょう)があればなぁ。


杖?杖ってなんだ?僕は母さまと姉さまを救わなきゃいけないんだ。

僕らを守ろうとして倒れている家臣の仇を取らなきゃいけないんだ。

剣を剣を拾わなきゃ。


「お願いします!私は何をされても良いから子供たちを見逃して!」


「あー髪の色が違うから分からなかったが、あれもテメェのガキか?

 あのガキの生皮を剝がしながらよ、お前とお前の娘を犯すってのも

 面白そうだなぁ」


絶望の表情を浮かべるミルシナを下卑た表情で乱暴に引き剥がす。

盗賊はゆっくりとした足取りで剣を探している "私" へ歩んできた。

女神の導きか、私は転がっている御者が手にしていた約4.2フィートの

棒を手に取った。



『何してんだよ!棒なんて役に立たない!剣じゃないと!』


『いや、これでいい』


『だって普通の棒じゃないか!こんなのでどうやって戦うんだよ!』


『戦えるぞ、十分だ』


『母さまと姉さまを…助けてよぉ……』


『任せなさい……オジサンはこう見えても、割と強いんだよ』



私は杖を持ち立ち上がると、何も考えず間合いを詰めてくる盗賊を見据えた。

久々に触る、そして慣れていた愛用の杖でもない。

この体躯では4.2尺1分は少し長いが日本人の子供よりは、まぁ長身だ。

よし、問題はないな。


「さて、"常の構え"も久々だ」


「あぁ?なにぶつぶつ言ってんだガキィ?恐怖で狂ったか?

 そんな棒一本持っても、お前は無残に死ぬんだよ!」


「おねがい!その子を殺さないで!」


『あぁ、母さまの声が聞こえてくる…でも大丈夫です。

 ご心配をかける不孝者で申し訳ございません。』


ん?…あぁ、エフォリアの記憶と山樫杖一郎の記憶が混ざっているのか。

大丈夫だ、君は私だ私は君だ…ん?マシンハ〇ブサの歌詞みたいだな?


「ぷっ……いや申し訳ない、ちょっとだけ面白いことがあってね」


「ガキが舐めてるんだな!?てめぇ楽に死ねると思うなよ?」


体躯の差で既に相手の間合いに入っている。

だが、私の持っているのは剣ではなく杖だ、その間合いは私の間合いだ。

そう思うと更に笑いがこみ上げてきた。

その笑いが癪に障ったのか盗賊が不用意に振りかぶった拳に合わせて

がら空きの側頭部に "斜面" を打った。



スパァン!



壮快な打突音があたりに響く。

側頭部を杖で痛打された盗賊は何が起こったのか理解が遅れたようだ。

脳が揺れたか、その場で盗賊は膝から崩れ落ちると私は、その隙を

見逃さず杖を引き落とし脳天へ振り下ろす。


「残心は基本だろうに……貴様は私を見縊り過ぎだ。」


先程の壮快な打突音と違い、頭蓋の鉢を割る重く鈍い音がゴッ!

とあたりに響く、あまりの手応えに一瞬だが油断した。

そう、意識を刈り取る打突を放ったと思い込んでいた。

どうやら、残心が薄れているのは私も同じだったらしい。


「油断はテメェもだ!死ねぇ!」


盗賊は必殺の間合いとタイミングで横薙ぎに切り込んでくる。

殺った!と思ったのだろうが、盗賊の表情は反して険しくなる。

危なかったのは事実だ。ギリギリだったので、少し驚いた。

胴払いで剣の刃区(はまち)の部分に杖を滑り込ませ留めていた。


「おっと!?あぶない!あぶない。

 アレを食らって倒れないとかなかなか根性がある」


「カヒュー…ヒュー…ざけんな…ガキィ」


「降参するか?頭が割れている。治療しないと死ぬぞ?」


今度は残心は解かんよ。

その決意をもって私は盗賊を見据えた。

記憶が混ざり合う

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