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2.最悪と盗賊

門の前に堅牢そうな馬車が停車している。

傍には屈強な専任護衛が2名馬を従えて待機おり、馬車を扱うお抱えの

御者が忙しく準備にいそしんでいた。

侍女が荷物を持ち、ミルシナとセリアそしてエフォリアを馬車に迎える。


「ご苦労様、準備の方はどうかしら?」


「これは奥様、準備に滞りはございません。

 今月の地域ご訪問も、滞りなく行えます。」


御者は深く一礼をし答えると、母と一言二言交わし御者台へ座った。

母と姉は月に一回、地域の訪問を行い領民からの声を直接聞いて父へ話すのだ。

この行事は辺境伯である父が自主的に行っていたが、政務の忙しさから母が代理で

行うようになって数年経っている。

今回から僕も同行することになった。

領地を見て回る事で、領民の暮らしに触れてほしいとの事だ。


「母さま!姉さま!早くいきましょう!」


「エフォリア、慌ててはいけませんよ?落ち着きなさい。あ!転んじゃう!」


「こらぁ!エフォリア!お母さまを心配させちゃだめでしょ!ですわ!」


年甲斐もなくはしゃいでしまった。

このような機会でもないと、屋敷の外にはまだ出してもらえないのだ。

最近の姉さまは、淑女教育のやり直しと母さまから手ほどきを受けている。

これを機に伯爵令嬢として相応しくなって欲しいと年長者としては思うのだ。


『あれ?…最近なんか変だな…年長者?年甲斐?』


最近、変な夢を見るが、今日は特に妙な感覚に苛まれる。

僕は末っ子なんだけど変なの、と思うも、目の前に広がる風景に目を奪われた。

屋敷の敷地から見る景色と実際に外に出てみる景色はやはり違う。

はしゃぐなと言われても無理がある。


「姉さま!あれ!母さま!あれ!!!!アハハハ!」


「はいはい、見えてますわよ…フフ…」


「セリア、エフォリア、はしゃぐのも良いけど、程ほどにしなさい…ウフフ」


その様子に外から見ている専任護衛も思わず顔が緩む。

御者も心地が良いのか、思わず鼻歌を歌いながら軽快に馬を操る。

中の3人は同乗している侍女から飲み物を受け取りゆったりと日帰りの旅を

楽しむのだった。



◆◆◆◆◆◆◆<<宵闇>>◆◆◆◆◆◆◆



ヴァイト辺境伯領は自治権を認められた領地を有していた。

隣国との国境、それらを守る駐屯地、商用施設や領主の邸宅がある中央街がある。

周辺に村や町が点在し、さらに周りを広大な樹海が取り囲む。

樹海を縦断する大きな一つの街道が王都へ続き、更に町や村を結ぶ街道がある。

街道はネットワークの役割だ。領内で起こった事は街道に敷設されている魔道路が

緊急時に領主直轄の騎士詰所に異常を知らせてくるのだ。

街道は領内の治安と物流を比較的良好に保つ一助を担っていた。


「結構時間がかかりましたね母さま。」


「ごめんなさいね、陳情が多く纏めるのに時間がかかったわ。

 早く帰ってこの報告書をクエルクスに渡しましょう。」


ミルシナはそっと微笑んで認めた報告書を木缶の中にしまう。

辺りが暗くなっていく最中、その時が訪れた。



ココンコココン



特殊なノックの音が響いてきた。

緊急事態の時は、専任護衛が中の僕らに知らせる合図だ。

ミルシナとセリアの顔が一瞬で険しくなり魔法を繰り出すための杖を用意した。

侍女が懐から護衛用のナイフを取り出し馬車の出入り口に視線を向ける。

御者窓から切羽詰まった声が聞こえてくる。


「奥様!盗賊です!速度を上げまさぁ!」


そう告げると返事を聞かずに馬車の速度が上がる。

馬車の中はひっくり返ったように慌ただしく跳ね上がった。

僕はミルシナに抱きかかえられた。

外からは金属が打ち合う音や怒鳴り声が聞こえてくる。


「何人ですか!?」


「5人!身を低くしてくだせぇ!」


盗賊、この世界においては、ある意味で魔物より最悪の存在だ。

現代準拠でも本当に怖い盗賊さんたち。

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