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4.狐狩り

村の拠点にたどり着いた騎士団は小隊より報告を受け、

進軍の準備を開始する。

樹海に慣れている村出身の警備兵も交え、部隊が分けられた。

スカウトに追加の依頼としてアジトへの案内の了承を得ると、

あれよあれよと樹海へ突入するための準備が整っていく。


準備を確認した隊長格の騎士が下馬し、兜を外した。

エフォリアの兄、ヴァイト辺境伯長男、アクータ子爵の顔があった。


「騎士よ兵士よ!王国のため、我らが領民のため、我らが辺境伯のため

 我ら自身の安寧のため、諸君らの力を借りたい!頼む!」


アクータはそれだけ述べると、兜を装着する。


おぉぉぉぉぉぉ!


騎士と兵士たちは鬨の声を上げ応えた。

規模が規模だ。どうせ相手に存在はバレている。

それならば、絶対の意思を以て「お前らを狩る」と伝えてやる。

決して逃がさん!

その意思を騎士、兵士の各々が樹海内にいる盗賊に向けて放った。


「展開した部隊を進めよ!樹海内はスカウトの指示に従え!

 盗賊は樹海の闇に紛れるぞ!魔法士!索敵結界準備!

 相手は全てAランクの冒険者だと思え!油断するな!」


指揮を執るアクータも樹海へ歩もうとする。

しかし、それを傍付きの騎士が制止する。


「アクータ様、指揮官は指揮をするものです。

 前線は我々が」


友の仇を取りたい。

その一心が自分を前線に歩ませようとした。

自分の歩みを阻む騎士に対し、止めるなと訴えそうになる。

だが、仲間を死地へ送る彼も内心は一緒に行きたいのだろう。

されど任務、私情を捨てアクータの護衛に徹している。

その姿と意志に対してアクータは冷静さを取り戻す。


「そうか……わかった。

 前線に伝えよ、無理はするな、負傷者が出たら間髪入れず後送せよ」


「御意」


樹海内では既に一方的に近い蹂躙が開始されていた。


「がぁぁぁぁぁ!!!」


「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」


辺りから断末魔の声が響く。

盗賊団は各々ゲリラ戦を仕掛けているが、魔法士の索敵結界が

潜伏している盗賊を発見していく。

結界に触れた盗賊は自動的に騎士の兜に表示され、騎士本人が討つか、

指示を受けた警備兵が複数で槍衾にしていく。


バン!ヒュン!!


「ぐっ!?」


騎士の1人がと遠間から放たれた矢により負傷する。

戦況は圧倒的とはいえ、盗賊も必死の抵抗を行っているのだ。

兵士の防御は全て騎士が展開する防御魔法によって担われている。

時折、その間を抜ける矢や剣が騎士を穿つ。


「くそ……交代!後続の騎士は前へ!」


負傷した騎士は後続の騎士と入れ替わる。


「くそが…ここまで一方的かよ!騎士は半端ねぇ!

 カシラも見つかんねぇし女もどっか行っちまった!」


カシラの傍に控えていた3人の内の1人だった。

【スナイパー】の職業である彼は、騎士の猛攻の間隙を

付いては矢を放ち、隠れ、また矢を放つを繰り返していた。


「しかも硬ぇしよぉ、10本放って1本通れば御の字とか

 あり得ねぇわ」


悪態をつきながらも盗賊は弓を番え、隙を見て放つ。

1人の騎士の首元の隙間に矢が飛んでいく。

殺った!と思ったが、騎士は馬鹿ではない。

他の騎士が矢を叩き落とすと、射線に目を向けた。


「やべぇ!?囮かよ!」


騎士が斬撃を繰り出すと、衝撃が刃となって周辺を吹き飛ばす。

巻き込まれた手下共と土や木が塵芥と化し辺りに散らばった。


「やったか?」


「いや、あれは手練れだ。スナイパーだな。

 隠れられると厄介だぞ……油断するな」


弾き飛ばされた土や木片が降り積もる。

これは死ぬ……そう思っていても死ぬのは勘弁だ。

そう思い退路を探すと、カシラの姿を見つける。


「カシラ!そこにいたの……か……」


「……」


既に胴と首が泣き別れている姿だった。

くそ!くそ!あの5人が悪い!虎の尾どころじゃねぇ!

ここの騎士は他の処の騎士よりヤバいじゃねーか!

何が骨休めだ小遣い気分だ馬鹿野郎!!

そのような悪態が出るのを堪える。


「死んでやるかよ!逃げ切ってやる……」


息を潜めスナイパーの技術である偽装と潜伏を行う。

土や死肉に紛れやり過ごすと考えていた。だが……

首筋に平状の光るものが押し付けられる。

恐る恐る振り向くと、一人の騎士が自分の首に剣を

当てていた。


「お前が最後の狐だ、縛に着くか死ぬか選べ」


捕まった盗賊は騎士による苛烈な取り調べが行われる。

実際は知らない。盗賊は捕まったら9割が死罪だからだ。

死罪を免れても、死ぬと変わらない鉱山送りが相場だ。


「くそがぁ!」


懐に忍ばせていた短剣を取り出し襲い掛かろうとした。

その動きを見せた瞬間、世界がグルンと回転する。


「……こんなところ来るんじゃなかった……」


盗賊の最後の言葉だったかもしれない。

Q.圧倒的ではないか騎士団の力は……

A.統率力も練度もヤバい職業軍人が油断もしないなら

 こうなるのは必然……。


◆魔法士

 魔法の才を持っている人が騎士と同等の位で任命される職。

 各々の索敵などの専門職を魔法と言う不思議な力で行い

 単体の火力も高いオールラウンダーな職。

 半面、運動が苦手な人も多い。


◆暗殺者【アサシン】

 暗殺専門の職、スカウトの上位職。

 実際はスカウトと同じ役目を熟す。

 あらゆる面に措いて上位互換。

 本業の暗殺は主に冒険者ギルドの特殊依頼で

 一般には出回らない。


◆スナイパー【狙撃者】

 アーチャーの上位職、弓を含む飛び道具の扱いに長ける。

 潜伏や偽装の技術が高い。

 猟師としても一級品。

 アサシンとは別に暗殺任務を受ける場合もある。


◆スカウト

 主に斥候、探索、罠の察知、解除、潜伏を以て

 パーティーに貢献する職。なり手が少ない。


◆アーチャー

 弓の扱いに長けた人

 

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