2.一家団欒
私は手早く着替えを済ませると、足早に姉様の処へ向かう。
丁度、食卓の間に向かう廊下で姉様は仁王立ちしていた。
「お待たせしました姉様!」
「もう、殿方があまり淑女を待たすもんじゃないわよ?」
「はは、すみません……」
淑女は廊下で仁王立ちはしないよ姉様……
と言いたい言葉をグッと飲みこむ。
前世を合わせると私の人生は長い、空気は読めるのだ。
「何か言いたい顔ね?ハッキリ言いなさいな」
「いえ、本日も姉様は可愛いですね、と思いまして」
「あら?中々やるじゃない?そう言われると淑女は嬉しいものなのよ。
でも可愛いよりは美しいとかの方がもっと喜ばれるから覚えといてね」
肝に銘じておきます。
取り留めない会話をしながら、私と姉様は家族が控えている食卓の間に向かった。
既に、父様と母様、そしてアクータお兄様もテーブルに着いている。
「「おはようございますお父様、お母さま、お兄様」」
「「「おはよう」」」
このやり取りは決められた訳でもなく、物心がついた時から行っていた。
いわば恒例行事といえる。ヴァイト辺境伯家では、朝食は家族が揃って食べるのが
習わしと決められているのだ……なんでも、父様が姉様が生れた時に決めたらしい。
「エフォリアは今朝もその…じょー……じゅつ?の鍛錬を行っていたのか?」
クエルクス父様がそう話しかけてくる。
私が杖術を以て盗賊を仕留めたのは、母様から報告を受けたらしい。
盗賊騒ぎがあった翌日に、父様から根掘り葉掘りと聞かれたのは流石に疲れた。
王国の守りの要、辺境伯である父様は杖術に興味があるらしい。
「はい父様。今朝も滞りなく鍛錬に励みました」
「お父さま!エフォリアは凄かったんですよ!
絶体絶命でもうだめ!と思ったときに颯爽と盗賊を打ち据えたのは、流石は私の
可愛い弟だわ!私もアレ、じょー……じゅつ?を教えて欲しい!」
興奮気味の姉様が話に加わる。
私が盗賊を仕留めたのが余程に印象強かったらしい。
まぁ、神道夢想流杖術は老若男女が学ぶ事ができるので、教えるのは吝かではないが。
「お待ちなさいセリア……」
ミルシナ母様がすさかず姉様を窘める。
「うっ……何でしょうかお母さま……」
「あなたは淑女としての教育があります。
今度から防御だけでなく攻撃魔法のお勉強が始まりますよ?
じょー……じゅつ?も良いですが、両立できるのかしら?」
「う……で…できます!……たぶん……」
伯爵令嬢である以上は、これは仕方がない。
淑女としてのマナーは姉様にとって将来を左右するのだ。
頑張れ姉様!と心の中で応援することにした。
「ところでアクータよ、実際、エフォリアのじょーじゅつはどうなんだ?」
「そうですね、エフォリアの今朝の鍛錬を見てましたが……
長年の研鑽で培われた確かな技術があると感じました。
例のアレの負傷具合から見て、技の威力も申し分ないかと」
当然だ!前世の私がヲの字の趣味よりも情熱を以て取り組んでいたのが
この神道夢想流杖術なのだから。おっと、少し顔がにやける。
自分が取り組んでいる物が褒められるのは気分がいいね。
そう思っていると、姉様が小声で話しかけてきた。
次男は王都の貴族学院で寮生活中




