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1.アクータ兄様

快晴の朝だ。

前世の記憶が発現して一週間が経過している。

流石に未だ感覚のズレが激しいがいずれ慣れるだろう。

記憶が発現してから、朝の日課は杖術の鍛錬だ。

最近は私の鍛錬に長男のアクータ兄様も見学に来る。

兄様は剣術に秀でた才能を持っているので、よく父様から

手ほどきを受けていた。


「それにしてもエフォリアのそのじょー……じゅつ?だっけ?

 傍から見ても、なんとも不思議な動きをするね」


「そうですか?」


「うん、棒を使った闘法はそれなりにあるけど、どれとも違うよ。

 単純に振り回すではなく、攻守共に長年の研鑽が見える感じだ……

 エフォリア、その技術はどうやって学んだんだい?」


おっと、我が兄は中々に鋭い。

というわけでもないか。

私も前世で兄弟が知らない間に不思議な技術を

体得していた時は、根掘り葉掘り聞いたものだ。

通常なら答えに困る質問だ、何せ私は、あの盗賊に

襲撃された日まで外に出たことがなかったからだ。

鍛錬も言えばアクータ兄様と同じ、父からの剣の手ほどき。

だが、この世界には中々便利な答え方がある。


「うーん……それがですね、急に頭にパッと思い浮かんだんです」


「そっかぁ、じゃぁエフォリアは女神様からスキルが授けられている

 かもしれないね」


「かもしれません。たしか、適性するスキルが授かっている場合に限り

 その技術が突然使えるようになるんですよね?」


「よく知っているね、詳しくは15歳の成人の儀まではわからないのだけど、

 スキルと相性が良い場合は、成人の儀を受ける前から使える場合があるんだ」


「へへ……父様にも同じように言われました」


「あぁなるほど、それと、エフォリアの場合はあんな状況だったからスキルに

 目覚めたかもしれないからなぁ」


あんな状況とは、盗賊に襲撃された事件の事だ。

母様と姉様と私、侍女のナーリャが危うく攫われるところだった。

その時、私達を守ってくれた専任護衛の2人は残念ながら助からなかった。

幸いなことと言えば、御者のトムボさんは一命を取り留めたのだ。

少し顔が曇る。もう少し早く前世の記憶が発現していれば、臣下を失うことが

無かったかもしれないのだ。


「エフォリア、あまり思い詰めるものじゃないよ?

 彼らは彼らの役目に殉じたんだからね?

 母様達が無事だった、トムボさんも助かった。

 それで良しとしよう。それに……」


兄様の表情が険しくなる。

あの護衛2人は騎士ではなくても、それに準ずる実力はあった。

そして、兄様の剣の稽古によく付き合っていた、言わば身分の関係ない

友人だったのだ。


「あの2人の仇は取るからね……

 領内に入り込んだ盗賊団は1人残らず逃がさないよ……」


背筋が冷たくなる感覚だった。

普段は優しく、弟や妹をを甘やかすアクータ兄様が、このような顔をするのは

内心で怒りを抑えているのだろう。


「兄様……」


「あぁ!ごめんごめん!怖がらせちゃった?ごめんねエフォリア。」


「いえ、そういうわけでは……」


「よし、それじゃ私もお父様の手伝いの準備をしよう。また後で」


アクータ兄様はそう言うと、私の肩をポンと叩いて後にした。

剣術の才能がある兄様は父様との鍛錬の他に、騎士団へ出入りしている。

実力は騎士のレベルに達していた。

そして、将来はこのヴァイト辺境伯領を継ぐ身としての教育を受け、

王国より子爵位を徐爵されている。実質は父様の補佐役でもあった。


「兄様は凄いな、私も経営関係の知識は持っているが前世の知識だからなぁ」


経営学は前世とそこまで差は無いだろうが、転生者であるのはバレたくはない。

バレたとてあの家族の態度が変わるとは考えられないが……


「さてと、そろそろ終わるかなー……」


杖術の鍛錬を切り上げて汗を拭う。

そろそろ準備して食卓の間に向かわないと、姉様が痺れを切らすかも。

姉様は魔術の才能じゃなく、格闘士の才能なのでは?と思う時がある。

自身の淑女としての勉強は二の次で、私を立派な貴族にすると息巻いているのだ。

そして、お仕置きと称して割と上手く関節を決めたり締め技を掛ける……

本当に勘弁してほしい……


「エフォリアどこ~?ちょっとこっちに来なさいな~」


言っている傍から姉様が私を呼ぶ声が聞こえてくる。


「は……はい!ただいま行きますので待っていてください姉様!」

つかの間の日常編


※お姉さまの名前…セリアです…。

 なんかセシルって別のプロットのキャラの名前が混ざっていて

 大幅修正!混乱させてしまい申し訳ありません。

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