お風呂
ふたりは、夜明けとともにベッドにもぐりこんだ。
「おい死神、お前はあっちで寝ろ。」といって、死神を蹴飛ばした。
彼女の匂いの残るベッドでお昼過ぎまで寝てしまった。
空腹で目を覚ますと、縁側に暖かな日の光が差し込んでいた。
今は、可愛い女の子の姿なのを、鏡で確認するとそのままそのおうちのお風呂に向かった。
あの鏡で、自分の姿を見てから、人間の姿でいる間は、なんとなく前世の記憶がよみがえってくるというより、猫だった頃の記憶が薄れていく。
『確かに、ねこの時も人間の言葉は理解してたから、奴の言うように前世は、人間だったのかしら?』
『まさか、私が猫だったのは、何かの呪いの所為かしら?』
『多分そうなら、あの死神が関わってるのは間違いないわね!いつか、問い詰めてやる。』
そのおうちのお風呂は、とても広かった。
『これなら、足を延ばせて浸かれそうね。』
『でも、どうやってお湯を入れればいいの?』
『仕方が無い、今日は、シャワーだけにして、あとであいつに教えて貰おう。』
おもむろにシャワーの栓を開けた。
「キャ、冷たい。」いきなり、シャワーから水が出て来た。
「どうしました、姫様」
といきなり、お風呂のドアが開いた。
そこには、私のパンツを被った死神が立っていた。
「姫様、ひどいじゃないですか。いきなり、水を掛けるなんて。」
「お前こそ、何で私の下着を被ったんだよ。」
「いや、それは、天気もいいので洗濯しようとしていたら、『キャッ』って、声が聞こえて慌てて扉を開けようとしたからじゃないですか。」
「心配したんだから。」
「はいはい、どうせ私の裸が見たかっただけでしょ。」
「でもいいわ。お風呂にお湯を入れてくれてありがとう。」
「どういたしまして。なんなら、お背中流しましょうか?」
「いいえ、結構よ。」
「そうですか?できれば、どさくさにまぎれて、前も洗って差し上げようかと思いましたが、残念ですね。」
「では、私は、ちょっと用事があるのでこれで、失礼します。」
そう言うと、お風呂の扉の前から人影が消えていった。
「これで、ゆっくりお風呂に入れるわ。」
「上がったら、縁側でジュースでも飲もうかしら?多分、あいつが居なければ、猫になることもないでしょう。」




