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『キリトリセカイ』Vol.02(101~200)  作者: 百字八重(ももじやえ)


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141 / 結婚するのかしないのか


若い世代の、約35%以上が、将来、結婚したくないのだという。

お昼、テレビをつけていると、そんなニュースが飛び込んできた。


「やっと時代が俺に追いついたか」

と、独身を貫いている兄のタケルが笑いながら言う。

「おじちゃん、どういう意味?」

娘のマナがタケルに詰め寄る。

「みんな、自分だけの自由な時間が欲しいってことだよ、本音ではね」

と、タケル。

「結婚すると、自由な時間がなくなるの?お母さん、ほんと?」

と、今度は私に視線を投げかけ尋ねるマナ。


私は少々戸惑いながらも、

「そりゃあそうよ。今時の親は、特に母親は、仕事に家事に子育てで超忙しいんだから」

と説明した。


「お母さん、子供、産んで後悔してない?」

マナが私をじっとみつめて、聞く。


「後悔なんてするわけないじゃない。私、ずっと子供が欲しかったんだもの」

私は笑顔で答えた。

すると、マナは一呼吸置いて、次のようにつぶやいた。


「ふうん、子供が欲しかったんだ。それって別に私じゃなくてもよかったんじゃないの」

と。


しまった、と思った。

娘も中学生になり、いろいろと繊細で敏感になってきているのを忘れていた。

笑う。

「そう思いたいなら、そう思っておきなさい」

そんな娘をいちいち気遣うのも馬鹿らしいので、私はつっけんどんにそのように返しておいた。


私だって、中学生のころはそれなりに繊細で敏感だった。

でも同じように、母親は鈍感で、ぶっきらぼうで、およそ少女の心を理解し得ない人だった。

自分の母親が「ああ」だったからこそ、私はここまでたくましく育ったのだ。

だから私も娘を甘やかさないと決めている。


「結婚して、後悔してない?」

マナは立て続けに聞いてきた。

「しつこいよ。結婚したら出産して、子育てして、後悔なんてする暇なんてないわよ実際」

と私。

娘は、「うん……」と、どこか腑に落ちない様子である。


日本という国のことを考えれば、結婚し、出産するカップルが多いにこしたことはないのだろうが。

そんな政治的な施策は将来の清き一票と政治家に任せるとして。

「まぁ、後悔のないように生きることだな」

と、娘をおもんぱかって親身に語り掛けるタケルを、どこか無責任だと感じながら、私はお昼ご飯の支度をするのだった。








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