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『キリトリセカイ』Vol.02(101~200)  作者: 百字八重のブログ


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4/10

104 / ブラックプリンス


真理の機嫌が悪い。

こんな時は、強引にキスを奪ったあとで激しいセックスをするに限る。

セックスの後、いつも真理は泣いている。

「あたしの気持ち、分かる?」などと聞いてくる。

めんどくさいので、そろそろ別れ時かとも思うが、真理の見た目はかわいいし、セックスも悪くはない。

そういうわけで、ずるずるキープしてもう一年になる。

が、マジでそろそろ切ってもいいかなと思っている。


真理の部屋を出て、ぷらぷらファミレスで朝食をとる。

最近、野菜を食ってねぇ。

体の中がギトギトしてドロドロになった感覚を覚える。

店を出て、コンビニに寄って栄養ドリンクを一気飲み。

連日続く二日酔いに、もはやその効能は全然役目を果たさない。


スマホをいじって片っ端からかけてみるが、先輩も卓也もヨージも啓介も淳もあっくんも美咲も綾も加奈子もつかまらない。

空は快晴。

太陽がさんさんときらめいて、桜の見ごろを過ぎた四月の町をありありと照らしている。

その明るさに気圧されて、俺はよろめきながらビルの日陰に入る。

ひんやりと冷たい春の日陰に包まれて、俺の頭痛は幾分か和らぐ。


そういえば、家に帰った時に不在届がポストに入ってたっけ。

発送元を見ると、十年は顔を見せていない実家からだった。

また野菜やら手作り料理やら、余計なものを送ってきたのだろう。

そういう、家族だの絆だのいう、田舎者のダサい感覚には唾を吐きたくなる。


さて、今夜は出勤だ。

俺を目当てに沢山の女が来店するだろう。

そんな彼女たちに、俺は今夜も「ブラックプリンス・古紫」という名詞を配る。

毎晩浴びるように飲む酒で体はとうに限界を迎えているが、弱音を吐いている場合でもなく、悠長に病院に通っている場合でもない。

俺は夜の帝王。

それくらいに自分を鼓舞して、稼いで稼いで稼ぎまくる。

使って使って使いまくる。

「この先に何が待っているのかは分からないが、ああ、神様どうか、俺を見捨てないで」

最近はよくそんな歌を聞いている。


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