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『キリトリセカイ』Vol.02(101~200)  作者: 百字八重のブログ


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114 / 独身貴族


風見俊吾の朝は早い。


5時のアラームでさっと目覚めると、着替えを持ってそのままマンションの最上階にあるジムに向かう。

そこで軽くランして汗を流してから、その日に決めておいた部位を筋トレで鍛える。

その後サウナに入りしっかりと汗を流したら、そのまま炭酸水をロックで胃に流し込む。


自分の部屋に戻ると、彼女が朝食を作ってくれているので、それをいただく。

シリアルに季節の果物、ヨーグルトにプロテインといういつも変わらないメニューである。

ウォークインクローゼットの中で念入りに今日のスーツを選ぶ。

もちろん、ここにあるものはすべてオーダーメイドである。

オクスフォードに足をすべりこませて、最後に左腕にロレックスのエクスプローラーを装着すれば戦闘態勢が整う。


部屋を出て一階の駐車場にとめてあるクラウンのクロスオーバーに乗り込むと、今日もとりあえず、いきつけのホテルの喫茶店に向かう。

朝10時になるまで、そこでモーニングを楽しむ。

その日の気分で紅茶の種類も変える。

今日はアッサムをミルクティーでいただく。


11時に出社。

父から継いだここ、株式会社アレグロは、貿易関係の仕事で成り立っている。

午前中の会議にだけ顔をだし、ひととおりの意思決定をすれば、あとはいきつけのレストランで彼女とランチ。


午後は同業者と軽くゴルフに出かけ、夕方にはサロンで髪の毛と爪のメンテナンスを行う。

夜になればマンションの自室でゆっくりと映画鑑賞。

ハイレゾ対応のタワースピーカーに囲まれた空間で、シャトー・マルゴーの官能的な香りを楽しみながら。


毎晩、違う女を抱いた末に果てながら思う。

「ああ、満たされている」と――。


深夜、ひとり起きて理由も分からない涙を流すことがあるのは、彼女も知らない俺だけの秘密。


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