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『キリトリセカイ』Vol.02(101~200)  作者: 百字八重のブログ


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11/12

111 / ママの予定


ゴールデンウィーク最終日、私は朝5時に起きた。

仕事の日は6時に起きるので、いつもより1時間、早い。


寝ている夫を起こさないようベッドから這い出ると、まずはキッチンへ向かう。

ぼんやりとした意識のまま、電気ポットに水を入れる。


ジジジという小さくて低い電子音が、静かなキッチンに響く。


待っている間、洗い物のかごに入っていたマイカップを引っ張り出し、戸棚から出したインスタントコーヒーを適当にいれる。

さらさらと、コーヒーの瓶から、茶色い粉がカップの中へと流れ落ちるのを見る。


カチと鳴って、お湯が沸いた合図がする。


よいしょと電気ポットを片手で持ち上げる。

目が覚めていたらなんてことはないのに、朝のゆるんだ筋肉では、電気ポットひとつ持ち上げるのでもひどく重く感じられる。


こぽこぽ、と、お湯をカップに注ぐ。


たちまちカップの中で粉とお湯が混ざり合い、あたりにかぐわしい香りがたちこめる。

家の前を走ってゆくランナーの足音が聞こえる。


キッチンの片隅に置いてある丸椅子に腰かけ、ひとくち、あちちとコーヒーをいただく。


ひどく、穏やかな朝である。


さて、何をしよう。

休みの日なので、家族は9時くらいに起きてくるだろう。

現在、5時30分。

スマホのメモ帳アプリで新規のページを作成する。

「9時までにすること」と題して、思いつくことを打ち込んでゆく。

まずは朝食、その次に洗濯、掃除。

結局いつものルーティンを真っ先に思いつく。

それでも、だいぶ時間が余りそう。

さて、何をしよう。

私はしばらく考えて、「散歩」と打ちこんだ。

それから、「ストレッチ」「座禅を組む」こんなところだろうか。

そうそう、読みかけの「小説を読む」。


と、その時、リビングのドアが開いた。

顔を出したのは、小学6年生になったばかりの息子の昌磨だった。

「あれ?ママ何してんの」

「いや、早く起きちゃて」

「ぼくも」

そう言って、昌磨はキッチンまでやってくる。

「何飲んでんの」

「コーヒー。インスタントのやつ」

「ぼくも」

「だーめ。水か牛乳にしておきなさい」

「じゃあ牛乳」

「自分で出しなさい」

言われて昌磨は座っている私の前を通り過ぎて冷蔵庫へと向かう。

「昌磨、これから一緒に散歩いかない?」

牛乳ひげをつくりながら昌磨が「行く!」と目を輝かせる。

朝かあら元気いっぱいだなぁ。

息子のそんな姿に目を細めながら、他の予定はこなせないな、と私は頭の中でメモ帳の項目を淡々と消していった


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