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異世界にとばされた社畜OLですが、ツンデレエルフと行商ライフを満喫中です!  作者: しらたき 茶々麻呂
04_VS 魅了の魔女 ハル編

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85/246

85_もうひとつの異世界人召喚儀式

『は……? なにここ?』


 目が覚めたら、そこは夜の教会だった。青いステンドグラスから差し込む月明かりが、冷たく聖堂内を照らしている。


 外国の教会みたいだけど、なんか微妙に雰囲気が違う。テーマパークみたいなチープな感じは一切ない。

 私、さっき大学からの帰りのバスに乗って、それで……?


『あぁ、私の女神よ!!』


 目の前で這いつくばっていた男が急に立ち上がって、私の腕をつかもうとした。キモくて反射的に距離を取った。そこで初めて、自分の足元に赤い魔法陣があることに気がついた。


『え、キモ。なんなのよ!?』


 だけど男はすぐに立ち直って、ニコリと微笑んで見せた。二十後半くらいの外国人。金髪と青い目をした、ミュージカルみたいなキラキラした服を着た、王子様風の男の人だ。


 ……まぁ、顔は悪くない。言動はちょっとキモイけど。


『どうか拒まないでくれ。君は私の運命。異世界から選ばれた、私の女神だ』


 異世界?


 よくわかんないけど、ここは日本じゃないってことはわかった。スマホつかないし。最悪。別に家が好きなわけじゃないけど、帰れないのはマジでダルい。しかもこのイケメンは私に喋らせるつもりがないのか、すごく一方的に捲し立ててくるのでかなりウザい。


 私は爪を弄りながら、話半分にその男の話を聞いた。


『私は君の為ならば、なんでも全てを差し出そう! 金も、権力も、この命すら捧げよう! だから、私のそばにいておくれ』


 うわ、なにそれ。重。キモい。鳥肌が立つくらい、生理的にムリ。


 でも、この感じじゃすぐに帰らせてくれそうもないし。面倒くさくて舌打ちが出ちゃった。


『マジで、なんでもいいの?』


『もちろんだ。何が欲しい? 言ってごらん』


 優しい言葉と王子様みたいな態度に少し考えてみる。確かに金は持ってそうな身なり。怪しい宗教勧誘とか誘拐(ゆうかい)ではなさそう。


 じゃあ、言うだけ言ってみるか。


『豪華な服と靴、おいしいご飯、お姫さまみたいな部屋……ぜんぶちょうだい?』


『あぁ、いいとも。すぐに手配させよう』


 笑われるから言わないけど、実は昔からプリンセスに憧れてたのよね。まぁ、これが夢なのかなんなのかよく分かんないし、今はわがまま放題しちゃおうかな。


 どうせ、このイケメンがどうなろうと私には関係ないもんね。


『聞かせておくれ、愛しい人。君の名前は?』  


 (しぼ)り取れるところまで、(しぼ)り取ってやるわ。よくわかんないことに私を巻き込んだこと、後悔しないでよね。

 

 私は可愛い笑顔を作って、男ににっこりと微笑んだ。


『私の名前は……ハルよ、旦那様』

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