表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界にとばされた社畜OLですが、ツンデレエルフと行商ライフを満喫中です!  作者: しらたき 茶々麻呂
04_VS 魅了の魔女 ハル編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/185

83_冒険者パーティのとっておき

「やぁ、ルナさん、ビョルンさん! お二人ともお揃いで!」


 爽やかに笑いながら現れたのは、冒険者のレイドさんだった。その後ろにはパーティーの皆さんもお揃いで。レイドさんとドゥーガンさんはエールの泡で口髭を作り、リーナさんは焼きリンゴを嬉しそうに頬張っている。


「ルナちゃん! 聞いたわよ、大活躍だったんですってね!」


 シンシアさんが駆け寄ってきて、その豊満な胸の中にむぎゅっ! と抱きしめてくれた。美人の腕の中に飛び込めるなんて、なんと幸せなことか。


「でもまた無茶したんでしょう? もう、少しでも目を離すと危なっかしいんだから」


「ひゅみまひぇん」


 シンシアさんの胸の中に押しつぶされながら、お説教を受けてしまった。


「だからお姉さんに、これ。あげる」


「へ?」


 リーナさんが近づいてきて、首元にするりと滑らかな布が巻かれた。それは艶やかな質感のスカーフで、鮮やかなブルーが夕日を反射するように静かに光っていた。


「シルキーモスの糸を織りこんだ妖精の布に、シンシアが加護をかけた。留め具はドゥーガンのお手製」


「レイドがシルキーモスを狩ってくれたの。私たちパーティからあなたへのプレゼントよ」


 レイドさんは照れくさそうに笑って、頬をかいた。


「エルフにはこいつだ」


「ちょっとドゥーガン。そんな渡し方しなくてもいいだろう?」


 ドゥーガンさんはビョルンさんに木箱をほうって寄越した。その様子を見たレイドさんが慌ててビョルンさんに頭を下げるが、ビョルンさんは気にした様子は無い。


「俺は施しを受けるほどの者ではないが」


「ほんの気持ちです。以前狩ったグリフォンの羽なんですが、シンシアが加護魔法を掛けてくれたんです。僕ら冒険者よりも商人の方が入り用だと思って」


 木箱の中には、立派で真っ白な羽根ペンが収められていた。その立派さに値段をつけるとしたら…きっと、金貨数枚はくだらない。


「ルナちゃんを守るのなら、剣以外の武器も必要でしょう?」


 シンシアさんは私の肩に手を添えて、ウインクをしてみせる。     


「私たち、ルナちゃんに何かあったら許さないから」


 シンシアさんの顔は穏やかだけど、笑っていない。ビョルンさんは困ったように耳を下げ、小さく頷いた。


「……了解した」


「あら? 返事が聞こえないわ?」


「了解、した」


 ビョルンさんは忌々しげに舌打ちして、大きくエールを煽った。ビョルンさんも同族の女性には頭が上がらないみたいで、珍しい姿はちょっと面白い。


「これで売上記録を毎日付けることが出来ますね、ビョルンさん」


「……」


「ほら、そういう顔しないっ!」


 言葉にしないが面倒くさがっていることは一目瞭然だ。私は肘でビョルンさんの腹をつついた。


「ルナさん」


 レイドさんが静かに私の名前を呼んで、改まって頭を下げた。 


「あなたとビョルンさんのおかげで、ルーンデールの不正は暴かれた。これで冒険者たちは正当な報酬を得られるし、街の人たちもモンスターに怯えなくていいんだ」


「これで水で薄めたエールを飲まずに済むしな」


 ドゥーガンさんはふいと目を逸らす。しかしその口角は少し上がっていた。レイドさんはそんなドゥーガンさんに笑いながら、私の手を強く握った。


「本当にありがとう。ルナさん、ビョルンさん」


 昨日は本当に大変だったけれど、こうして面と向かってお礼を言われると達成感で目の前が滲む。シンシアさんは私の頭を慈しむように撫でてくれた。


「私たち、あなたたちのことを応援しているわ。いつまでもまっすぐに、頑張ってちょうだいね」


 アニタさんとはまた違う、姉のような慈愛の眼差しに、じんわりと胸が暖かくなった。

 私はレイドさんたちパーティを見上げて、笑顔を見せる。そしてビョルンさんの腕を掴んで宣言した。 


「はい。私たち二人で、これからも頑張ります!」


 ビョルンさんは落ち着かなげに耳を下げたが、その言葉を否定することはない。それが彼なりの肯定の態度であることは、私も、レイドさんたちも分かっていた。  


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ