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異世界にとばされた社畜OLですが、ツンデレエルフと行商ライフを満喫中です!  作者: しらたき 茶々麻呂
04_VS 魅了の魔女 ハル編

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80_勝利の美酒はどんな味?

「ふーっ!やっと終わった!」


 ルーンデールの中央市場は、かつてないほどの熱気に包まれていた。夕焼け空には色とりどりの旗がたなびき、街並みを黄金色に照らし出している。


 私はというと宴の準備をするためにあっちこっちに走り回っており、膝は砂まみれでベストは調理油がハネている。昨日の舞踏会とは全く異なる衣装だけれど、それでも気分は昨日よりも晴れやかだった。


「今日は無礼講だよ! 好きなだけ飲んで、好きなだけ食いな! 代金は全部、エリザベス様持ちだからね!」


 アニタさんの大きな掛け声とともに、大きなエール樽が次々と開けられた。市場には名産のハーブをふんだんに使った料理が所狭しと並び、エール樽が山積みにされている。


 無礼講とばかりに街の住人や冒険者ギルドの冒険者たちまでもが集まり、肩を並べていた。みんなルーンデールを愛する同志たちだ。


「エリザベス様バンザーイ!」


「ルーンデールに繁榮あれ!」


 片手には肉、もう片方にエールを持った参加者たちが思い思いに叫ぶ。まだアルコールは入っていないはずなのに、皆の熱気は最高潮だ。


「ふふふっ。さぁさ皆様、ジョッキをお持ちになって。いきますわよー!」


 市場の中央に積み上げられたエール樽の上に足をかけたエリザベスさんが、参加者たちに向けて叫ぶ。お行儀が悪い所作なのに、どこか品を感じさせるのがこの人の不思議なところだ。


「乾杯ーッ!!」


 エリザベスさんの掛け声に合わせて、広場に集まった人々が一斉にジョッキを掲げる。もちろん私もエールのジョッキを天高くに突き出した。


「ほら、ビョルンさんも」


「酒は不要だ」


「いいえ、必要です。今日は無礼講なんですから、ほらほらほら」


「押し付けるな、鬱陶しい」


 頑なにエールに手を伸ばさない彼、私はエールの入ったジョッキを押し付ける。紛うことなきアルコールハラスメントなのだが、ビョルンさんは呆れつつもジョッキを受け取ってくれたのでセーフとする。良い子はこんなハラスメント行為は真似しちゃダメだぞ、なんて誰に宛てるでもなく考えた。


 ゴン、と自分のジョッキをビョルンさんのジョッキに押し付けてから、私は大きくエールを煽る。その飲みっぷりには周囲から歓声が上がるほどだ。


「……ぷはーっ! さいっこう!」


 私の提案で、エール樽を魔法で冷やしてもらっていた。そのためキンキンに冷えたエールが喉を潤し、スッキリとした後味が残る。しかもこれは薄められていない純度100%のエールだ。美味しくないわけがない。


「美味しいですね、ビョルンさん」


「俺の氷魔法を氷室代わりに使うとはな」


 不機嫌そうに鼻を鳴らすビョルンさん。 


「でも、ビョルンさんのおかげで、みんなが美味しいエールを飲めるようになったんです。ありがとうございます」


「……フン」


 素直な感想を述べると、無愛想なエルフはそっぽを向いてエールを煽った。しかしその耳の先はじわじわと赤みを帯びていく。


「ほんっと、素直じゃない人!」


 私は思わず口に出して、またエールを煽った。すぐに空になったジョッキに追加のエールが注がれて、また一気に飲み下す。麦の爽やかな香りとスッと通り過ぎていくのどごしがたまらない。  


「おい、飲みすぎるなよ」


「いいじゃないですか、今日くらい。大仕事の後の打ち上げはこうでなくちゃ」


「はぁ……明日の昼には発つ。くれぐれも二日酔いなどという無様を晒すなよ」


「ご心配なく。今のところ二日酔いとは無縁ですから。なんせあなたよりも若いので!」


「……」 


 わざと大げさに言ってみせると、ビョルンさんは呆れたように私の鼻をつまむのだった。

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