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異世界にとばされた社畜OLですが、ツンデレエルフと行商ライフを満喫中です!  作者: しらたき 茶々麻呂
04_VS 魅了の魔女 ハル編

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46/231

46_重大インシデント発生

 ダンジョンの出口でレイドさんパーティーと別れて、私とビョルンさんは商人ギルドに戻ってきた。


 アニタさんの執務室を訪れると、執務机の上に山のようにそびえ立つ書類に囲まれたアニタさんと、それを補助するロッドさんが出迎えてくれた。  


「ルナ、ビョルン、戻ったかい!」


「ただいま戻りました、アニタさ……ふぐぅ!」


 ドスドスと力強く駆け寄ってきたアニタさんの大きな腕に抱きしめられて、気の抜けた声が出た。


「それで、首尾はいかほどかね?」 


 ロッドさんの問いかけに、ビョルンさんが懐から袋を取り出して答える。


「無事に『水鏡の結晶』を採取できた 」


「そうかい! よくやった。あんた達ならやってくれると思ってたよ」


 アニタさんとロッドさんは、同時に大きなため息をついた。アニタさんは褒めるように私を撫でて、ビョルンさんの背中を力強く叩いていた。


「そちらはどうだ」


「それがねぇ……」


 アニタさんの顔が晴れない。何か問題があったのだろう。ビョルンさんと顔を見合わせると、アニタさんは観念したように言った。


「エリザベス様の腹心、クレイモアだったっけ?そいつが昨日領主の裏帳簿を寄越したのさ」


 アニタさんは机の上に辞書ほどの分厚さの書類束を取り出した。それらは領収書や支出のリストのようだ。


「うちのギルドのメンバーも、何人か汚職に関わってた。今、そいつらを洗い出しているところだったんだが」


 アニタさんの眉間のシワが濃くなる。


「何度やっても、帳簿の数字が合わないんだよ」


 アニタさんの言葉をビョルンさんが引き継ぐ。


「うちのギルドメンバーは、自らの罪を簡単に露呈させるほど、愚かではないということか」


「そういう事さね」


 たしかにギルドの帳簿の売上合計額が裏帳簿から予想される売上よりも少ない。ロッドさんは一つの店のリストを見ながら、静かに言った。


「この領土で最も大きい宝飾店。そこの数字がどうしても合わない。つまり」


「その宝飾店が領主に唆され、数字を改竄していると?」


 私の言葉に、アニタさんとロッドさんは同時に頷いた。


「ハル夫人がその宝飾店の常連という話もある。関わりがあると予想する方が自然だろう」


「まったく、小癪な真似をする!」


 忌々しそうにアニタさんが顔を歪めて、机を叩く。商人ギルドの商人が掟を破ったのだから、アニタさんの怒りは最もだ。


「早急に対処しないといけませんね」


 でなければ、ハルや領主たちに提出する裏帳簿の信憑性が失われてしまう。


 アニタさんは棚から清潔な服を取り出して、私に渡してくれる。ただ着替えて来いというわけではないだろう。


「『水鏡の妙薬』の生成は任せろ」


 ビョルンさんは静かに、しかし堂々と言う。私は私の仕事をしろということだと判断して、深く頷いた。アニタさんはその様子に満足して、力強く頭を撫でてくれる。 


「ダンジョン帰りのところ悪いけど。ルナ、あんたには別に頼みたい仕事がある」


「はい、なんでもします! アニタさんのためなら馬車馬の如く働く覚悟、あります!」


 強い気持ちを込めて頷くと、彼女はガハハ!と笑った。


「よぉし、いい返事だ! じゃ、あたしのかわいい愛弟子とでも言っといてもらおうか?」


「へ?」

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