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異世界にとばされた社畜OLですが、ツンデレエルフと行商ライフを満喫中です!  作者: しらたき 茶々麻呂
04_VS 魅了の魔女 ハル編

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33_腕の中の小休止

 日が傾き始めた頃、グリオンさんやハーフリングさんたちが引き上げ、空になった露店を片付けていた。やっと終わった、作戦完了だ。


 と、思うと同時にふっと力が抜ける。


 あ、やば、倒れる。


「ほぎゃ!」


 転がったのは硬い土の地面ではなく、誰かの腕の中だった。その腕の持ち主は私よりも大きくてたくましい人。

 意識がまだ朦朧とする中、その腕の持ち主が誰か気づき、血の気が引いた。


「す、すみません、ビョルンさん!」


 驚いて顔をあげると、同じく驚いたようなビョルンさんと目が合った。そりゃ急に人がぶっ倒れかけたら驚くよね。


「今になって気が抜けてしまったみたいで……」


「だろうな」


 ビョルンさんは低い声で言った。その声は心なしか、いつもより柔らかい響きを持っていた。私を受け止めてくれた腕は大きくて、力強い。その腕の中にいると、守られているような気がしてとても安心する。


「昨日もほぼ眠っていないだろう」


「あは、バレてましたか」


 そう、実は昨日の仕込みでほとんど眠れていません。昨日から気合いが入りすぎていたせいか、力が抜けた反動が大きかったらしい。


「ありがとうございます、ビョルンさん。あなたには助けられてばっかりですね」


 ビョルンさんは私の身体を支えたまま、表情をわずかに引き締めた。


「そういう契約だ」


「そ、そうでしたね……」


 その言葉を最後に沈黙が流れる。気まずい。非常に気まずいです。


 先程からビョルンさんの心臓の音、呼吸の音すら聞こえるほど近くにいる。なんだかハーブの良い匂いもする。私の短い人生では、異性にこれほど接近したことはほとんど無い。挨拶のハグとは全く別の緊張感が、鼓動を早めた。


 それに加えてさっきの、『ハルを好きにならないで』なんて嫉妬深い女みたいな失言をしてしまったこと。


 それが気まずくて、ビョルンさんの顔をまともに見られない。だけど彼もまた、落ち着かないのか耳が下がっている。


 これは、よくない。よくないぞ、星宮瑠奈、しっかりしろ!


「すみません!もう大丈夫です!」


「無理をするな」


 飛び退こうとしたのをビョルンさんは制して、彼は私を丸椅子に座らせてくれた。触れていた手が離れ、ようやく呼吸が整う。どこか名残惜しさを感じる……なんて感想は気が付かないフリをした。


「……よくやった」


 丸椅子に座った私を見下ろし、ビョルンさん絞り出すように、掠れた声でそう言った。その言葉には安堵と、かすかな誇らしさが混ざっていた。


「へ?」


「お前の機転が無ければ……今頃、俺の負債はさらに膨れ上がっていた」


 たしかに彼の言う通り、あのまま衛兵隊長に店を潰されていたらとんでもない大赤字だっただろう。それなりの材料費が掛かっていたんだから。


「商人ギルドのメンツもありましたし、何とかなって本当に良かった。運がついてましたね」


 ビョルンさんに素直に褒められるのは、なんだか胸が擽ったい。私は意味もなく前髪を整え、彼もなんだか落ち着かなさそうに視線を他所に向けた。彼が腕を組む時はだいたいなんとなく決まりが悪い時の合図だ。


 微妙な空気を霧散させるようにパタパタと手を振って、私は本題に入った。 


「そ、そういえば。作戦は成功したんですよね。結果はどうでしたか?」


「あぁ」


 彼は頷き、ことさら声を低くして、私の耳元で囁いた。


「ハルのユニークスキルが分かった。あの女の能力は……」


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