第3話 高校生の秘密(2)
その頃、啓一郎と女性は楽しそうに昼食を食べていた。いつもはへんげ屋でお好み焼きを食べるけれど、今日は道頓堀の近くのお好み焼き屋で食べよう。ここの方がずっとおいしいだろうなと思ったからだ。道頓堀は今日も多くの人で賑わっていて、入るのが大変だった。だけど、それほどおいしいんだろうな、評判なんだろうなと思う。
「今日はここ行こか?」
「うん」
2人はお好み焼き屋に入った。お好み焼き屋は多くの人がいる。ここは人気店のようだ。その中には、外国人観光客もいる。とても賑やかだ。
2人が注文して、しばらくすると、注文したお好み焼きを店員が持ってきた。2人はその様子をじっと見ていた。テーブルに置かれると、2人は食べ始めた。とてもおいしい。ここのはおいしいわ。
「うまい!」
「せやろ!」
女は啓一郎に感謝している。こんなおいしい店を見つけてくれて、本当に嬉しいな。この人となら結婚したいなと思った。
「ええとこ見つけてくれて、おおきに」
2人はその後、千日前通りを歩き、デートを楽しんだという。だが、2人は知らなかった。その時も後ろに令太がいるのを。
それから数日後、令太は下校していた。令太は何事もなかったかのような表情だ。先週、啓一郎が女性と一緒に歩いている事もだ。
と、令太は万里子を見つけた。万里子は買い物袋を持っている。おそらく、買い物の帰りと思われる。万里子を見た令太は、先日見た事を話そうと思った。
「あれっ、万里子さん」
「あら令ちゃん、どないしたん?」
万里子は驚いた。まさか、令太に出くわするとは。どうして話しかけてきたんだろう。
「息子さんやけど、難波や道頓堀で女と歩いとったんやて」
それを聞いて、万里子は驚いた。啓一郎がこんな事をしていたとは。どうしてそれを知ったんだろう。全くわからないな。
「そうなんか・・・」
そして万里子は思った。実は前々から、啓一郎はデートをしているんじゃないかと思った。自分も恋をしていた頃は、秘密にしていたな。あの時と一緒だなと思ったのが、デートをしているんじゃないかと思った原因だ。
「どないしたんですか?」
「うちの恋もそうやったわと思うて」
そう思っていたのか。どうしてそれに気付かなかったのか。どうして啓一郎に恋をしているのかと聞かなかったのか。
「そうやったんか・・・」
と、万里子は令太の肩を叩いた。どうしたんだろう。
「まぁ、令ちゃんも直に、そんな事あるで」
「ほんまかな?」
令太は疑問に思った。自分にもいい人が現れるんだろうか? 僕は頭がよくて運動神経もいい。それに、お化けに変身できる。そんな僕にも、運命の人が現れるんだろうか? 僕はどんな人と結婚するんだろうか? まだ考える時期じゃないけれど。
その翌朝、いつものように啓一郎は朝食を食べていた。今日は登校日だ。啓一郎は高校に行くだけで、そのまま帰ってくる。難波や道頓堀には行かない。
「啓一郎、あんた、恋しとるやろ?」
それを聞いて、啓一郎はびっくりした。どうしてそんな事を言うんだろう。まさか、知ってしまったんだろうか?
「えっ、なんでわかったん?」
「馬場さん家の令ちゃんが見たんやて」
三浦令太・・・、聞いた事があるな。たまに行くへんげ屋の店主の孫の1人で、店主の娘の1人息子だ。土日に皿洗いで厨房の奥にいるのを見た事がある。まさかあの子が見ていたとは。あの子は勉強熱心で、学習塾で難波に行く事があるので、その時に見られたのかな?
「えっ、おったっけ?」
だが、啓一郎は首をかしげた。令太を見た覚えはない。
「見なかったん?」
「うん」
見なかったのか。きっと、見えない場所で見ていたんだろうな。
「まぁ、とりあえず、見てたんやで」
結局、啓一郎はデートの様子を見られてしまった。お見合いを計画するまで隠そうと思ったのにな。
次の週末の朝、1人の女が啓一郎の家にやって来た。啓一郎と一緒に歩いていた女だ。ばれてしまったのだから、もう言っちゃおうと思ったようだ。
女はインターホンを押した。そして、家に入った。
「お邪魔します」
「あら、どなた様ですか?」
見た事のない女だ。誰だろう。まさか、啓一郎の彼女だろうか?
「啓一郎さんの恋人の、川瀬桜と申します」
やはり彼女のようだ。まさか家に来るとは。万里子は戸惑っていた。
「ほぉ、なかなかいい子やないの。いらっしゃい」
桜は2階に向かった。今日は啓一郎と一緒にゲームをやろうと決めている。一緒にゲームをやった事はあるが、ゲームセンターばかりで、家でゲームをやるのはこれが初めてだ。
桜は部屋に入った。すでに啓一郎はゲームの電源をつけていて、スタート画面が表示されている。
「ほな、一緒にゲームやろか?」
「うん!」
2人はゲームを楽しみ始めた。2人はとても楽しそうだ。その下で家事をしていた万里子は、2人の声を聞いていた。2人はとても楽しそうだ。
しばらくゲームを続けていると、万里子がやって来た。
「楽しんどる?」
「うん」
その声を聞いて、2人は振り向いた。万里子は笑みを浮かべている。
「ええ子やないの」
「ありがとう」
「結婚まで至るとええね」
「おおきに」
そろそろ正午だ。今日はよく行くへんげ屋に行ってみよう。
「そろそろお腹減ったなぁ。行きつけの鉄板焼きの店あるから、行かへん?」
「うん」
「じゃあ、行こか」
2人はへんげ屋に行く事にした。桜はへんげ屋に行くのは初めてだ。というよりか、へんげ屋の存在を知らなかった。
少し歩くと、松田町電停の近くに『へんげ屋』と書かれた看板のある店を見つけた。これがその店だろうか?
「ここ?」
「うん。『へんげ屋』っていうの」
2人はへんげ屋に入った。ちょっとノスタルジックな空間の店だ。
「いらっしゃい!」
達郎は2人を見た。啓一郎はわかるが、あの横にいる女性は誰だろう。まさか、啓一郎の彼女だろうか?
「あら、啓一郎くん、隣の子は?」
「あっ、恋人の桜さん」
やっぱりそうだったのか。きれいな女性だな。
「そう。やっぱり恋しとったんやな」
「お宅の令太くんが見とったらしいんや」
それを聞いて、平吉は驚いた。まさか令太がその様子を見ていたとは。それは知らなかったな。
「えっ!? 令ちゃん? ほんまに見とったんか? いつの間に難波に来とったん?」
皿洗いをしていた令太は振り向いた。令太がいる事を知った啓一郎は驚いた。今日は皿洗いをしていたんだな。
「あ、ああ・・・。塾の帰り・・・、だったんだ・・・」
令太は少し戸惑った。本当はお化けに変身して付け回していたって事を言いたくなくて、嘘の事を言った。本当は塾じゃなかったのに。
その夜、令太は3階のベランダから夜空を見上げていた。僕はいつになったら恋をするんだろう。いつかはまだわからないけれど、その日は着々と近づいているだろう。僕はどんな人と恋に落ちるんだろう。
「どないした?」
令太は振り向いた。そこには平吉がいる。夜空を見上げている令太が気になって、やって来たようだ。
「おじいちゃん、いつか僕も、恋人作って、結婚するんかな?」
「まぁ、そうなるやろな。でも、令ちゃんがどんな子と恋に落ちるんやろな。ワテもわからんわ」
平吉にもわからないな。でも、みんなが納得するような人と恋に落ちたいな。
「うーん・・・」
「そんなに気になるん?」
「うん。啓一郎くんが恋をしてるって聞きはったんで」
やはりそれで気になったのか。だが、まだ小学生だ。まだ考える時期じゃない。もう少し成長してから、考えたらいい。その頃には、自分はいるんだろうか? 平吉は少し不安になった。もう死んで、達郎が4代目の店主になっているかもしれない。
「でもなぁ令ちゃん、まだ考える時ちゃうよ。これから生きてく中で、恋ってのは生まれるもんや」
「そうなん?」
「ああ。令ちゃんの未来に期待やわ」
平吉は思った。令太にはどんな未来が待っているんだろうか? 令太はきっと、偉い人になるだろうな。だって、令太は成績優秀だから、きっと素晴らしい未来が待っているだろうな。




