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第11話 怖い、それともかわいい?(2)

 次の日の昼下がり、令太は外を見ていた。今日は休みだ。ゆっくりとしたい気分だが、令太はそんな気分ではない。先週から悩んでいた。お化けって、怖いんだろうか、それとも、かわいいんだろうか? 自分はこの力を使っていいんだろうか? 両親からもらったので、それを良い方向に使いたいと思っているのに。


「うーん・・・」


 令太は青い空を見ていた。その先には、両親がいるんだろうか? ここをさまよっているんだろうか? わからないけれど、僕を見ているんだろうか? お化けの力を使って、誰かのため、悩んでいる人のために頑張っている自分をどう思っているんだろうか? 気になって気になってしょうがない。


「僕は悪い事してへん。本当に怖いと思われとんかな?」


 本によると、悪さをする怖いものだと思われている。その一方で、かわいいとも思われている。先日、花子が見せてくれたお化けのぬいぐるみ、とてもかわいいな。そう思うと、お化けってかわいいと思えてくる。だが、見るだけでも怖いと思われている。


「お化けって、見た目だけでも怖いと思われそやな」

「令太」


 令太は振り向いた。そこには平吉がいる。平吉は店のエプロンを付けている。店があるのに、どうしたんだろうか? ランチタイムが終わったので、暇だからここに来たんだろうか?


「お、おじいちゃん」

「なんか、あんたお化けの事で悩んどるそやな」


 令太は驚いた。まさか、平吉から言われるとは。きっと、誰かから聞いたんだろうな。まさか、家族に言われるとは。


「うん」


 令太はうなずいた。令太は下を向いてしまった。平吉に言われて、おののいてしまったようだ。


「俺はな、怖いと思っとる。だけど、悪い事せんのなら怖いと思わんよ」


 平吉は怖いと思っている。だが、悪い事をしなかったら怖いと思っていないようだ。そう思うと、自分は怖くないんだろうと思った。だが、お化けって、観ただけでも怖いと感じる人もいる。悪夢を見せるし、とりつくからだ。令太はその力を使う事があっても、それは人助けのためだ。とりつく時は、必ず謝っている。とりつく事はよくない事だと思っているからだ。


「そっか・・・」


 少し疲れた。昼寝でもして、心を落ち着けよう。落ち着けば、何とかなるだろう。


「部屋に戻るわ」

「おう」


 令太は部屋に戻っていった。平吉はその後姿を見ている。令太は悩んでいるようだ。大丈夫だろうか? 平吉は令太が心配になったようだ。


 令太は部屋に戻ってきた。部屋はカーテンで見えないようになっている。お化けに変身できるようになってから、その様子を誰にも見せたくないと思っているからだ。だが、誰も不審に思っていない。


「はぁ・・・」


 令太はベッドに横になり、考えていた。もちろん、お化けの事でだ。


「うーん・・・。怖い、かわいい、どっちなんやろ」


 なかなか悩みが解けない。ちょっと昼寝でもして、考え直そうか。


「ちょっと昼寝するか・・・」


 令太は目を閉じた。そのせいであまり眠れていないようで、すぐに寝入った。


「令太・・・」


 令太は目を開けた。ここは自分の部屋だ。そこには両親がいる。まさか、両親がやってくるとは。


「父さん、母さん」


 令太は戸惑っている。どうしてここにやって来たんだろうか? まさか、お化けが怖いか、かわいいかで悩んでいる自分のためにやって来たんだろうか?


「お化けが怖いかかわいいかで揺れているようですね」

「はい」


 令太は正直に答えた。どうやら、両親は姿を消して見ていて、その悩みを聞いていたようだ。


「お父さんやお母さんはね、普通だと思ってるのね。でも、悪い事さえしなければ、かわいいと思う人もいるよ」


 それを聞いて、令太はほっとした。平吉に近い考えだな。かわいいと思うのは、花子同様だな。


「そうかな?」

「あなたはお化けの力を悪い事に使ってないでしょ? だったらいいじゃないの?」


 確かにそうだ。自分は両親からもらったおばけの力を悪い事に使っていない。人助けのために使っている。そう考えると、自分はいい事をしている、いいお化けなんだ。悪い事なんて、全くしていない。


「確かに。僕は悪い事に使ってない。誰かのために使ってる」

「ならばいいじゃない。その力を、誰かのために、いい方向に使いなさい」


 両親は笑みを浮かべている。令太はじっと見つめている。


「はい。わかりました」


 令太は少し安心した。お化けは悪い事さえしなければかわいいんだな。


「令太、お父さんとお母さんはいつでも見守っていますよ」

「ありがとう、お父さん、お母さん」


 そして、両親は消えていった。令太はその様子をじっと見ている。


 令太は目を覚ました。そこにはいつもの自分の部屋がある。やはり夢だったようだ。


「夢か・・・」


 令太は決意した。これからも、お化けに変身してみよう。いつも通り、悪い事に使わなければいいじゃないか。


「うーん・・・」


 令太は布団にくるまり、お化けに変身した。そして、辺りを見渡した。と、そこには花子がいる。まさか、お化けに変身する所を見られたかな?


「あれっ、花ちゃん」


 令太は焦った。誰にも見られたくなかったのに、花子には見られてしまった。花子が言いふらしそうで怖いな。


「令太兄ちゃん・・・」


 花子は驚いている。だが、怖がってはいない。


「ご、ごめん。こんな姿で・・・」


 令太は戸惑っている。とんでもない姿を見せてしまった。花子はどう思っているんだろうか? 令太は固まっている。


「かわいい!」


 花子は笑みを浮かべた。どうやらお化けの姿の令太が気に入ったようだ。


「あ、ありがとう・・・」


 令太はほっとした。だが、少し戸惑っている。本当にかわいいんだろうか?


 花子はお化けの姿の令太に抱きついた。本物みたいにかわいくて、冷たい。


「大好き! ひんやりしてる!」

「えへへ・・・」


 令太はデレデレになった。まさか、お化けの姿で花子に抱きつかれるとは。本当に花子はかわいいものが大好きだな。


「本物なん?」


 花子は思った。これは本物のお化けなんだろうか?


「いや、その力をもらっただけや」

「そうなんや」


 お化けに変身する力をもらっただけなのか。それでも本物のお化けに会えて、抱きしめる事ができて、嬉しいな。


「やけど、僕と花ちゃんだけの秘密やで」

「わかった!」


 花子は約束した。これはできる限り2人だけの秘密だ。誰にも言いふらさないようにしよう。もし言いふらしたら、世間がびっくりするから。




 その夜、令太はお化けの姿で花子に呼ばれた。一体何だろうと思い、壁をすり抜けて、花子の部屋にやって来た。花子の部屋にはたくさんのぬいぐるみがある。


「令太兄ちゃん、このぬいぐるみに化けて!」


 花子はクマのぬいぐるみを見せた。先日、光子にもらったものだ。それを見て、令太はそのクマのぬいぐるみをイメージして、クマのぬいぐるみに化けた。本当に化ける事ができるんだと思い、花子は驚き、感動した。


「すごい! どんなものにも化けられるん?」

「うん! 僕の知ってるもんなら何でも! やけど、見た目だけで動物の能力は真似できないんや。動物に関してはとりつく事もできて、とりつけば、動物の能力も真似できるんや。やけど僕、とりつくってよくないと思ってんねん」


 やはり、本やテレビ、映画で見るように、とりつく事もできるのか。だけど、令太はいい事だと思っていないようだ。それでも、こんな事もできるって、すごいな。


「そうなんや」


 次に令太は机をすり抜けた。これもお化けの能力だ。


「それから、物や壁をすり抜けられるねん」


 これもおばけの能力の1つだ。こんな事もできるんだな。花子は感心している。


 令太は姿を消した。そして、椅子を動かし、座って、鉛筆を持った。


「こうやって、姿を消して物を使うと、まるで物が勝手に動いとるように見えるんや」

「これもすごい!」


 花子は驚いている。まるでポルターガイストが起こっているようだ。これを実際に見たら、みんなびっくりするだろうな。


 再び令太は姿を現した。令太は尻尾を振っている。この仕草もかわいいな。


「あと、寝ている人の夢を操る事もできんねん。時には悪い夢も。やけど、悪い夢見せるってよくないと思ってんねん」

「そんな事も? すごいよ令太兄ちゃん! ウチのお化けや! かわいい!」


 花子は再び令太を抱きしめた。花子がお化けの姿を受け入れてくれて、それにかわいがってくれるとは。令太は嬉しくなった。

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