第7話 カラスをこらしめろ!(2)
翌朝、今日は休みだ。令太はいつものように家族と朝食を食べていた。今日は玉子焼きではなくベーコンエッグだ。
鶴子はとても悩んでいた。ここ最近、またカラスがやって来て、大変だ。何度追い払っても、どんな対策をしても、またやって来る。どうにもならないんだろうか? ゴミが散乱してばかりで大変だ。奈美子が先日、それで悩んでいたが、鶴子も悩んでいるとは。これは何とかしないと。
「カラス、どうにかならんのかな?」
令太も気にしていた。お化けに変身して巣をめちゃくちゃにしたり、竹刀で叩いてもまたやって来る。どうにもならないんだろうか? トンビにとりついて追い払うしかないんだろうか?
「もう放っておきなよ、令ちゃん」
末子はあきらめている。どうしようもないんだから、もう放っておこうよ。何をしても無駄だ。
「そうそう! 近所のおばちゃんが何とかするって」
だが、鶴子はあきらめていない。近所の主婦が何とかするだろう。
「ほんまかな?」
突然、鶴子は令太の肩を叩いた。どうしたんだろうか?
「ご近所さんを信じようや!」
「そうそう!」
令太は笑みを浮かべた。だが、心の中では思っていた。自分の力で何とかしないと。僕は他の人とは違って、お化けに変身できて、お化けの力を持っているんだ。その力を使って、普通ではできない人助けをしてやる!
昼下がり、山間の村に1匹のお化けが飛んでいた。令太だ。この辺りにトンビはいないかな? もしいたら、そいつにとりついて、カラスを追い払おう。
「トンビか・・・」
山間の村はとてものどかだ。東京や大阪とかけ離れている。これが日本の昔の風景なんだ。地球の本来の風景なんだろうか? ここには失いかけた自然がある。都市化の中で、失ったものって、何だろうか? 自然だろうか? もっとあると思うけど、今はこれしか思い浮かばない。
と、令太はトンビを見つけた。そのトンビは輪を描くように飛んでいる。そして、ピーヨロロロと鳴きながら飛んでいる。これがトンビの素晴らしさだ。
「あっ、おった!」
令太はトンビの高さまで上がった。とても気持ちいい。トンビはこんな中を飛んでいるのか。
「ごめん!」
令太は念じながら、トンビに体当たりした。令太はトンビにとりついた。
「ピーヨロロロ」
トンビは一目散に大阪に向かって飛んでいった。目的地は松田町停留場近くだ。ここのゴミ捨て場の近くのカラスが標的だ。何とかしないと。
1時間飛んで、ようやく大阪市にやって来た。大阪市はとても賑やかな街だ。僕が育った大阪市の空はとても素晴らしいな。生まれた東京もまた素晴らしいけれど、ここがいいな。
令太はようやく松田町停留場の近くにやって来た。ここにいるカラスが標的だ。
「どこやったかいな」
だが、カラスはそこにいない。どこに行ったんだろうか? どこに行ったんだろうか? また移動したんだろうか?
と、令太は巣を見つけた。その巣はハンガーでできている。またハンガーだ。これもどこかの家から盗んできたものと思われる。とてもひどいな。何とかしないと。
「ここや!おるおる・・・」
トンビはカラスの巣をじっと見ている。そこに、カラスがやって来た。カラスはトンビに気付いていない。
「それっ!」
トンビはカラスの巣に向かって滑空して飛んでいった。カラスは何かの気配に気づき、辺りを見渡した。するとそこには、トンビがいる。トンビは今にも巣を狙ってやって来ている。
「うわっ、トンビ!」
「逃げろー!」
カラスは逃げていった。巣は残された。トンビは巣にやって来て、辺りを見渡した。と、トンビは足元に何があるのに気づいた。カラスの卵だ。
「卵もある・・・」
ふと、トンビは思った。卵をつついて、ひなが生まれないようにしよう。そうすれば、カラスはもっとショックを受けるのでは?
「突ついたれ!」
トンビはカラスの卵をつつき始めた。すると、中から白身と黄身が出てきた。なかなかおいしいな。
「うまうま・・・」
だけど、食べるならやっぱりスーパーで見かける卵だな。
「よし、帰ろう!」
令太はトンビから離れた。トンビは何が起こったんだろうという表情で見ている。令太は姿を隠しているので、トンビにも人間にも見えない。そして、令太は部屋に戻っていった。
その直後、主婦がやって来た。主婦は近くの商店街で買い物をしようと向かっている。主婦たちは気になっていた。この辺りでごみを突いているカラスはいるんだろうか? またいたら、また対策を練らなければならないから。
主婦たちはゴミ捨て場を見た。すると、そこにはカラスがいない。
「あれっ、カラスおらへん・・・」
と、そこに鶴子がやって来た。鶴子は上機嫌だ。どうしたんだろうか?
「今さっきトンビがおったんやよ。もうおらんようになったけど」
鶴子はトンビがカラスをやっつけていたのを知っていた。だが、鶴子は知らなかった。そのトンビはお化けに変身した令太がとりついて、やっつけたというのを。
「そやったんか」
「トンビに感謝せんとな」
鶴子は笑みを浮かべている。大変だったけど、これで何とかなるだろうな。
「おう」
「今日からもう心配せんでええね」
「よかったよかった」
主婦たちは安心した様子で商店街に向かって歩いていた。鶴子はその様子を嬉しそうに見ている。
その夜、別の主婦がへんげ屋にやって来た。彼女たちもとても上機嫌だ。何しろ、カラスがどこかに行ってしまったからだ。カラスがゴミ捨て場を荒らしに来るのを気にしていたが、いなくなった。これでこの辺りは清潔になっていくだろうな。
「あら、いらっしゃい!」
「生と豚玉デラックスで!」
まさか、生を注文するとは。それに、豚玉デラックスとは。よほど嬉しいんだろうな。
「今日はどないした? やけに高いの注文して」
「カラスがいなくなったんでね」
やはりカラスがいなくなったからのようだ。カラスは本当にずる賢いから、それがいなくなって本当によかった。巣を作るために、いくつもハンガーを取られたのも嫌だった。だが、この悩みももう解決するだろうな。
「そういえばいなくなったな」
「うん。これで安心してゴミ出せるわ」
1人の主婦はほっとした。これで安心して毎日を過ごせるわ。
「せやな」
「ほんまよかったわ」
と、そこに平吉が瓶ビールとコップと栓抜きをもってやって来た。
「生でーす!」
平吉は瓶ビールとコップをテーブルに置くと、栓抜きで瓶ビールのふたを取った。それを見て、彼女たちはビールをコップに注いだ。
「カンパーイ!」
「カンパーイ!」
2人ともいい気分だ。こんないい気分の彼女たちを見るのは、何日ぶりだろうか?
来週の月曜日、週末の休みを終えて、今日からまた小学校だ。令太も文也も花子も、通学団の集合場所にやって来た。3人とも上機嫌だ。不気味なカラスが追い払われたからだ。
だが、ゴミ捨て場を見た時、文也は驚いた。また散らかされているのだ。これはどういう事だろうか? またカラスの仕業だろうか? カラスがまたやって来て、突いているんだろうか?
「あれっ!?」
と、そこにカラスの姿がある。またカラスが来たようだ。
「またカラスが来とぉ」
「懲りへんなぁ」
偶然ここにやって来た鶴子はあきれている。またやって来た。どうしたらいなくなるんだろうか?
「おう。どうにもならんわ」
「ネット使うとか、対策グッズ買わんといかんかもしれんな」
「せやなぁ」
鶴子はため息をついた。カラスとのいたちごっこって、いつまで続くんだろうか? 永遠に続くんだろうかと思ってしまうな。




