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【コミカライズ】ドワーフの最強拳士、エルフの幼女に転生して見た目も最強になる!【しとります】  作者: 呑竜
「第十一章:王女の旅立ち」

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「冒険の書三百十一:フィオナ探検隊③」

 次にワシらが向かったのは『鳥かご』と呼ばれる施設だ。

 要は高い位置にある木の枝に吊り下げられた牢屋で、見た目がデカい鳥かごそのもの。


「なるほど、『沈黙の樹(サイレンス・ツリー)』で魔力も聖気も瘴気も吸収してしまうから『唱える者(スペルキャスター)』対策もバッチリだと。ふむ……ほうほう。なかなか硬いし、普通の人間なら脱出は難しいだろうな。普通の人間なら」


(とかいって、格子を拳でコンコンするのやめなさいよ。お試しで牢を破壊するとか、腰ミノ履いた蛮族でもしない蛮行だからね?)


「人聞きの悪いことを言うな。いくらワシでもそんなことするはずがなかろうが。これはただの知的好奇心であってだなあ……」


(知的好奇心、ねえ……?)


「うう……こうゆーのをついつい壊してみたくなるのだよなあ~……」


 ワシが内なる衝動と戦っているところへ……。


「そうだよ~。大変だったんだよ~」


 ルルカが涙ながらに抱きついてきた。

 

「ディアナちゃんと別れた後にイールギットさまに捕まってさ~。チェルチちゃんと一緒に閉じ込められてさ~。怖あぁぁ~い目に遭ったんだよ~。ヨヨヨヨヨ~……」


 ルルカのように涙を流すほどではないが、チェルチもしみじみとした口調で当時を語る。


「あん時ゃホントにまいったぜ。あたいの魔術もルルカの神聖術も封じられて手も足も出ないところへイールギットの奴が来てさ、いきなり尋問始めるんだもん。さすがに死んだかと思ったぜ」


「でもでも、チェルチちゃんの機転のおかげでなんとかなったんだよね。あれはホントにすごかったよ、イールギットさまの弱点をこうバチバチバチ~ってついてさっ」


 ルルカが褒めると、チェルチはわかりやすく調子に乗った。


「へっへ~ん。まあわかりやすい奴だったからな~」と、腕組みをして鼻高々。

 

 ルルカの説明によると、チェルチは『外交官の護衛という国際的な立場』を強調し、さらに『イールギットの孫娘たるワシからの好感度』と合わせて二重の盾としたらしい。

 変化の術や魂魄支配を使った搦《から》め手の戦いが得意なチェルチらしい姑息《こそく》な……もとい、知的な戦い方だ。

 

「あいつってば孫大好きおじーちゃんなもんだからさ、ディアナに嫌われたくなくて必死なの。いや~、笑えたぜあん時は」


「……ま、なんとなく想像はつくがな」 


 フィオナに対するイールギットの愛情の重さを考えれば、いかにもといったところだ。


「逆に言うと、もしワシのおじーちゃんでなかったら詰んでたかもだがな」


(そうね、おじーちゃんってば敵には容赦しないし。『魔族? ダメだろ絶対殺す』とか言われてたかも?)


 改めて自分たちの置かれていた状態の危うさに思い至ったのだろう、ルルカとチェルチはガタガタと震え出した。


「よ、よよよよかったねえ~、チェルチちゃん? わたしたち、一歩間違ってたら今ここにいないかも……?」 


「はああああぁ~? たたたたたたたかだかエルフのジジイに負けるとかあり得んからぁ~。ガチでやっても負けないからぁ~」


 思いきりビビっているふたりはともかくとして、ワシらはダークエルフの一党が捕まっている鳥かごの前に到着した。



 

 + + +




 集団用なのだろうひと際大きな牢屋の中に、ダークエルフたちがまとめて押し込まれている。


 鎧を着た男の騎士が数人に、メイド服を着た女が数人。

 イールギットの奴めによほど追い詰められたのだろう、ぐったりと倒れ伏したり空を仰いでポカンと放心したりしているが……。


「ほう、これが『ギイさま♡親衛隊』とかいう奴らか? 年端《としは》もいかぬ子どもを担ぎ上げてギャアギャア騒ぐ、痛々しい連中か?」


 ワシの評価が気に喰わなかったのだろう、グルンとものすごい勢いでこちらに顔を向けてきた。


「はあ~⁉ なに言ってんだおまえ~⁉」


「白エルフが調子に乗りやがって! なに様のつもりだ⁉」 


「ギイさまはわたしたちの女神なのよ! なんにも知らない素人が口出ししないで!」


 ギャアギャア、ギャアギャア。

 ついさっきまでぐったりしていた奴らが、勢いよく立ち上がり目を血走らせている。

 今の言葉を否定せよと、格子の隙間から手を伸ばしてくる。

 その様は、さながら人の肉を求めるゾンビの如くだ。

 

「おっと……こいつは失言だったか?」


 奴らの、つまりはダークエルフの一党の旗印たるギイを小馬鹿にするのは、それがたとえ事実だったとしても問題だったようだ。

 フィオナも呆れたような口調で叱ってくる。


(気持ちはわかるけど、今のはさすがにダメでしょ。あのね、遥か東方の島国では事実陳列罪ってのがあるらしいよ? どんな事実であってもそれを突きつけて相手を追い詰めるのは罪になるんだって)


「そういうものか……?」


 戦場に生き戦場に死す武人にとっては想像もつかないことだが……。


「腹が立ったら普通に殴ればいいだけでは……?」


(あんたって……)


 心底呆れた、という風につぶやくフィオナはさて置きだ。


 ダークエルフの一党はますますいきり立った。

 おまえだけは絶対殺す、とばかりに無理やり格子を破ろうとしてくる。


「……うう~む。このままではさすがにまずいか? 大人しくさせんとケガ人が出るかもか?」


 ダークエルフに愛着などないが、囚人を傷つける趣味もない。


「聞けおまえら。先ほどは悪かった。言葉足らずで誤解をさせてしまったようだ」


 大人なワシは、極めて理性的に対応しようとした。


「ギイはギイなりに上手くやっておると思うぞ。ただちょっとお行儀がなってないというだけでな。姫というわりにはいささかはしたなさすぎるというだけでな」


「うおおいてめえ! 反省のはの字もねえじゃねえか!」


「言葉足らずってそっちの意味かよ⁉ 悪口を言い足りなかったってことか⁉」


「フィオナとか言ったか!? 白エルフの姫君たるあんたも、言うほどおしとやかじゃねえじゃねえか!」


「そうよそうよ! よりにもよって自分のことを『ワシ』呼ばわりって!」


「わたしたちの『黒百合姫』ギイさまの輝きには遠く及ばないわ!」

 

「「「「「ギャハハハハッ!」」」」」


 誰かが叫んだ罵倒の言葉と、その後に続いた嘲笑が悪かったのだろう。

 こちらの陣営が――ワシをこよなく愛する皆の目の色が変わった。

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