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【コミカライズ】ドワーフの最強拳士、エルフの幼女に転生して見た目も最強になる!【しとります】  作者: 呑竜
「第十一章:王女の旅立ち」

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「冒険の書三百六:良いドワーフと悪いドワーフ」

 ピチチチチッ、ピチチチチッ。

 ピチチチチチチチチチチチチチチチチチチッ。

 

「ええい、やかましいっ」


 小鳥どもの大合唱で目が覚めた。


 レースのカーテンを開けると日が差し込み、窓を開けると清々しい風が入り込んで来た。

 さすがはエルフヘイムというべきだろう、木々の匂いが色濃く鼻先に漂ってくる。


「……ふん、こうるさい鳥どものさえずりはともかく、ちゃんとしたベッドで眠れるのは素晴らしいのう。起きた時に肩や腰が凝っていないというのが素晴らしいわい」


 肩をぐるぐる回しながら、その軽さに驚いていると……。


(ふぁ~あ、よく寝たぁ~)


 フィオナのあくびが聞こえてきた。


「起きたかフィオナ……というか、おまえも寝るのか?」


 魂なのに?


(う~ん……なんかそうみたい。疲れてくるとパターンって気絶するみたいになるの)


「そうゆーものか……」


(感覚もあるよ。あんまり強くはないけど、あんたが物を触ったら触った感覚があるし、熱かったら熱いかも? みたいに感じるの)


「味は?」


(ぼんやりしてるけどあるよ。昨日のお夕飯は美味しかった……気がする。たぶん……)


「眠りもするし、感覚もあると。そのくせ、すべてがぼんやりしてるというのはいささか寂しい気もするが……」


(そんなことないよ。だって、あんたが感じてる痛みをそのまま感じたりしたら、わたしたぶん気絶しちゃう)


「ああ……なるほどな」


 痛みに慣れた武人のワシならともかく、こいつはただのエルフの小娘だからな。

 それこそパラサーティアで味わったぐらいの傷を負ったりすれば、ギャンギャンうるさく泣き叫びかねない。

 耳を塞いでも防げない、どこまで走っても逃れられない大音量の子どもの泣き声……それはさすがに、恐ろしすぎる。


(それにわたしの場合、人生二回目って感じだし? こうしていられるだけでもラッキーみたいな?)


「ああ~……うん、なるほどな」


 魔の森でオルグに追われて転んで死んだはずが、魂だけが復活した。

 自分の体はワシに奪われているが、それはそれで楽しめていると。

 少なくとも、あのまま死ぬよりはよっぽどマシだと。

 

「前向きでけっこうなことだな」


 ワシがフィオナの立場ならどうするだろう。

 ぶんむくれてふて寝のひとつも決め込むところだろうが……。


(後ろ向いててもしかたないしね)


 フィオナは明るく笑う。


(もしかしたらピピと話せるかもだし、ルルカともう一度旅ができるのも楽しそうだし。あんたといられるのも、あんがい悪くないしね)


「……ワシといられるのが、悪くない?」


 意外な言葉に、ワシは首を傾げた。

 フィオナからすれば、ワシは自分の体を奪った仇のようなものではないのか?


(うん。だってあんた、けっこう頑張ってくれたじゃない。わたしの代わりに謝ることで、わたしの名誉を護ろうとしてくれたじゃない。あの時思ったの。あんたってば無骨で頑固なドワーフだけど、いいドワーフなんだって)


「いいドワーフ……そういうものか」


(そうゆーものよ) 


 そう言うと、フィオナは笑った。

 子どもが友人にそうするように、屈託なく軽やかに。


(さ、着替えてご飯食べよ。そしたら王宮(わたしの家)を案内してあげる)

 

「なるほど、そいつは悪くないな。では着替えて朝飯を……あ」


 そこでようやく気がついた。

 疲れ切っていたせいだろう、ワシは正装のまま眠ってしまっていたのだ。

 寝返りを打ったせいだろう、ドレスにはくっきりとした折り目がついてしまっている。

 ずいぶん高級な品のようだし、ドワーフ的には問題ないが、エルフ的には大問題なのではないだろうか……。


(皺がついちゃってる。これはメアリに怒られそう……)


 フィオナがつぶやいた瞬間、部屋のドアがノックされた。


「姫さま、もう朝ですよ。みなさますでに、食堂にお集まりですよ」


 聞き慣れない女エルフの声がした。

 

(あちゃ~、さっそくかあ~)


 フィオナは苦しそうに呻くと……。


(ごめんね。メアリってばこうゆーことにはすご~~~くうるさいの)


 謝るようにつぶやいた。

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