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【コミカライズ】ドワーフの最強拳士、エルフの幼女に転生して見た目も最強になる!【しとります】  作者: 呑竜
「第十章:王女の帰還」

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「冒険の書二百七十四:復活したもの」

 ウルガの持たせてくれた各種素材と世界樹の涙を小瓶で混ぜて出来た『万能の霊薬(エリクシル)』。

 ピンク色に発光する液体をワシは、ぐいと一気に飲み干した。


 食道を流れ落ち胃を経て小腸にまで達した霊薬が、急速に体内へと吸収されていく。

 腸壁を通過し毛細血管へと至り、心臓へと運ばれていく。 


 その間三十秒にも満たないだろう、おそろしいほどの吸収速度だ。

 ドワーフ族に伝わる最高級の火酒でもここまではいかないだろうというほどの高速で霊薬が体内を駆け巡り、そして……。

 

「お……っ?」


 ドクン、心臓が強く打った。


「お……おおぉおぅっ?」


 心臓を経て全身へ運ばれた霊薬が、『再生』を行い始めた。

 血を肉を骨を、傷を体力を。

 ここまでの戦いで消耗したものたちを、急速に回復させていく。


 しかも、それだけでは終わらなかった。

 対ラーズ戦で酷使しすぎたせいで焼き切れていた『精髄せいずい』を復活させた上に、より強固に作り替えてくれた。

 壊れた筋肉が再生する時により強くなるように、精髄が太く頑丈になったのがわかる。


 ――ドッドッドッ……!

 ――ドッドッドッドッドッドッ……!


 き止められていた魔力の流れも復活した。

 これまでの旅でレベルアップした分、総量が増えているのだろう。

 以前よりも大量に以前よりも勢いよく、全身を駆け巡っているのがわかる。

 体の内に押し込めきれなかった魔力が、体の外へ漏れ出していくほどに。

 その様はまるで……。

 

「すごい……姫さま……。まるで地上に星が生まれたようなのよ……」


「ううむ……ルルカを思わせるほどの凄まじさだ……」


 そうだ、そう思った。

 全身から発散されるまばゆいほどの魔力の輝き。

 それはまるで、ルルカの聖気のようではないかと。

 女神に最も愛された娘の、それのようではないかと。

 もちろんこれがこのまま出力となるわけではない、『魔気変換まぎへんかん』で気に変換する過程で多少は減衰げんすいするだろうが、それでも……。


「これほどの量の魔力を気に変換すれば……いったい何ができてしまうのか……」


 ぎゅうと拳を握ったワシが、興奮に身を打ち震わせていると……。


 ――ッドオオオオオオォォォオォォーン!


 突如として、轟音が鳴り響いた。

 聞こえてきたのはエルフヘイムの方角だ。


「今のはイールギットさまの最高位魔術? 国の中であれを使うだなんて……いったい何と戦ってるのよ?」


 音に驚きしゃがみ込んだルチルナが呆然とつぶやくのを聞きながら、ワシは「うっ……?」と呻いて耳を抑えた。


「どうしたのだ師匠?」


 ワシの変化に気づいたマリアベルが、心配そうに声をかけてくる。


「大丈夫か? まさか、霊薬が効きすぎたとか?」


「わからん……わからんが……何かが……」

 

 耳の奥を叩くような感覚がある。

 トントン、トントン。

 扉をノックするような振動を感じる。


 最初は副作用を疑った。

 マリアベルの言う通りで、霊薬が効きすぎたのではないかと。


 しかし、どうも違うようだ。

 ただの振動ではない、よく聞けばそれは『声』だった。

『誰か』がワシの中にいて、盛んに話しかけてきているのだ。


 しばらくワシは、その『誰か』と話をした。

 他の誰にも聞かれぬように、小声で。


『誰か』は娘だった。

 年端としはもいかぬ、幼い娘。 


「………………なに? わかった、試してみよう」


 娘に言われるがまま、ワシは口を開いた。

 ワシの容態を心配するルチルナに向けて。

 

「……のう、ルチルナよ。あの爆発は(・ ・ ・ ・ ・)たしか( ・ ・ ・)……『翠星宮エルダーステラ』のある方角だな?」


「う、うん。そうなのよ」


 思ったのとは違った質問をされたからだろう、ルチルナは驚いたような声を出した。


「月の光に反応し発光する月光石ルナライトと、世界樹の伐採木によって作られた巨大な白亜はくあの建物……間違いないな?」


「け、建材については詳しく知らないけど……大きくて白い建物ではあるのよ」


「王の間の奥に『翠命珠(エルダー・スフィア)』へと通じる階段と『昇降機(エレベーター)』があり、昇降機は古代魔術によって動いている……間違いないな?」


「そ、そこまではわからないのよ。王族しか知らない秘密だから……そりゃ、姫さまは知ってるだろうけど……」


「そうだな、そのとおりだ。ワシは王族、ワシは姫。だから(・ ・ ・)知ってる( ・ ・ ・ ・)当たり前だ(・ ・ ・ ・ ・)


 ワシは再び小声になると、自らの内にいる娘に問いかけた。


「正解だ。すべておまえの言う通りだった。おまえはたしかに、王族しか知らぬ秘密を知っている」


(ほら、言ったでしょドワーフ)


 娘はふんと鼻で笑うと、いかにも生意気そうな口調で言った。


(わたしが何者か、これで証明できたでしょ?)


「別に疑ってはおらんさ。ただ意外だっただけだ。まさかおまえが……」


 万能の霊薬が復活させてくれたのは、血や肉や骨だけではなかった。

 精髄を回復させ、より丈夫にしてくれただけでもなかった。

 もう一つ、復活させてくれたものがあったのだ。


「フィオナ・ウル・ノクス・エリオンドール。おまえまで復活しようとはな」


 それは――フィオナ(・ ・ ・ ・)の魂だ( ・ ・ ・)

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